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 幅の広い短剣と大剣を出して捌いていく。

 何故武器がこんな大量に入っているかは不思議で堪らないが…まあ入っているものは仕方ない。

 大きさはやはり三メートル以上。身長百七十五センチの俺二人分くらいだから三.五メートルくらい?

 胴周りは俺が手を回しても掴みきれないくらいだ。


 にしても尾鰭だけで立つのはなんとなく不安定だな。立てないことはないが…前進できないし。


 そしてサメのヒレを切り落と…せなかった。


 思い切り力を入れて剣を振り下ろすとバランスを崩し倒れた。

 …不便だ。


 それでもなんとか立ち上がりながら切り落とし、海水の手を再び作ってサメをひっくり返し、内臓があると思われる位置を避けつつ、大剣を使い物切りにしていく。それらは水魔法で洗ってから袋に突っ込む。


 そして内臓を取り出し、血合いを水魔法をウォータージェットのように放出し綺麗にしてから、皮を剥ぐ。簡単剥ぐことができるかと思ったがうまくいかないので短剣を差し込みなんとか剥がしていく。


 脂が多いし、皮が凄く硬かったが剣は大丈夫だろうか…? すぐダメになりそうだな。


 とりあえず内臓は海に捨てる。頭は…街に行った後このサメはどんな魔物か調べるためにも取っておくか。皮は…使えるのか知らんけど一応取っておく。ぼろぼろだけどな。


 内臓を取り除いた胴体部分も物切りにして皮袋を広げて突っ込む。


「さて、食べてみるか?」


「きゅいー!」


「や、焼くか?」


「きゅいっ」


「そ、そうか」


 なんか凄くやる気満々というか…食べる気満々というか…ラピス…可愛いとはいえ野生動物…ではないか。温室育ちの日本にいるペットとは違い、ちゃんと魔物なんだなーと思った。


 とりあえず食べられるサイズに切り分ける。下が氷でよかったな。まな板要らずだ。

 だが氷の上に火を焚くわけにはいないので手のひらに出した火の上で炙って少し冷ましてからラピスの口元に持っていってやるとパクッと食べてくれた。


「上手いか?」


「きゅい」


 美味しいらしい。もきゅもきゅ食べるラピスを横目に、俺も同じように食べてみるが…美味しいか?

 いや、美味しいな。脂ものってて臭みもなく不味くない。ただ、醤油か塩が欲しいところだ。


 とりあえず感動するほどではなかったとはいえ初の魔物を食べ終えた。


「当分食料には困らないな。まあ神が用意してくれたご飯もまだまだあるが」


「きゅい!」


「でもまあ倒せるのはわかったし…次からは一緒に魔法で倒そうな」


「きゅ、きゅい」


 まあ無理強いはしないが…。


「実戦の方が早く強くなると思うぞ?」


「…きゅぃ」


 あんま乗り気ではないようだ。まあ物凄く怖がってたしなあ。怖かっていた割には、早く食べよう! って感じだったんだが…。


「あれ…? そういえば魔石は? 見なかったが…どんな生物にもあるんだよな?」


「きゅい!」


 ラピスが皮袋を叩いてきた。


「仕舞った部位にあるのか?」


「きゅい」


 とりあえず一通りだすと、ラピスは自分より大きな頭をベシバシ…なんか叩き方強くね?


「頭にあんのか?」


「きゅい」


 …………頭かー。頭を割るのは嫌だな…。別に今すぐ必要じゃない…ということで仕舞う。


「きゅい?」


「別に今必要ってわけじゃないからな。さてと、腹ごしらえも済んだし行くか」


「きゅいー!」


 ラピスと共に海にダイブして…。

 ザパァン!


 すぐさま海中から上がった。


「きゅきゅきゅきゅきゅきゅ!」


「ラ、ラピス落ち着け!」


 小刻みに震えるラピス。そして俺は心臓が破裂するかと思うほど脈打っている。


 そーっと海を覗くと黒い影がいくつも見えた。


「サメ、だよな?」


「きゅきゅきゅきゅ」


「だから落ち着けって!」


 …すぅーーはぁーー。俺も落ち着こう…。

 海に潜ったらサメが大量にいた。何故だ…。さっきはあのサメ以外いなかったのに……って内臓捨てたからか!?


「ラピスすまん。俺のせいだ」


「きゅ、きゅい?」


「内臓捨てたからだと思う…」


「きゅ…」


 流氷がずっと続いているならいいが所々切れているし、歩いて移動はできない。足の形状的にも。


 ならば倒すしかないんだが…。


「雷魔法打ち込むか」


 土魔法で台座を作る。


「ラピスここに乗れ」


「きゅい」


 これで雷の影響を受けずに済むと思うが…。

 両手を向かい合わせにしてその間に雷の玉を作っていき、ある程度の大きさになったところで、海水の手で開けた穴に放り投げる。


 ピカッ!

 バチンッ!


 …………死んだのかわからないな。海に入って確認したくもないし…。


 バチンッ! バチンッ! バチンッ!


 とりあえず続けて三回ほど雷の球を放り投げ、火魔法で流氷の穴を広げるように溶かしていく。


 するとサメが何匹も浮かんできた。


「おお! 倒せた! あ、いや、気絶してるだけかもしれないし…」


 海水で手を……オーシャンハンドと名付けよう。安直だな…。


 とりあえず海水の手で一匹ずつ持ち上げ、大剣で首を落としていく。合計十五匹倒した。内臓を取っておきたいが…処分できないし、水魔法で血を流して頭と胴体をそのまま皮袋に突っ込んでいく。


「ラピスすぐ移動だ。また寄ってこられた困る。海に入ったら全速力で進むぞ? 魚追いかけたりするなよ?」


「きゅい!!」


 当たり前! ってちょっと怒ったような感情が伝わってきた。まあこの状況で寄り道なんてしないか。


 海中に入ると周りには何もいない。上を見ると小魚が流氷に引っかかるようにして浮いていたが…回収してたらまた集られるかもしれないので諦める。


 そしてラピスとともに南と思われる方へひたすらに泳いだ。



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