表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/91

不条識な狼の理6


♗06


 時計がないから正確な時間はわからないけど、多分三十分は歩いてるんじゃないかな。あたしたちは相変わらず、あたしの歩幅のペースに合わせて雑談しながら進み続けた。





「そういえば、ふと思い出したんだけど、なんかさぁ、親が良く見てる番組で懐かしの平成2Dアニメ特集とかあるじゃん。」

 話題の切り口はヒカミだった。




「あーあの年一ペースでやってるけど、毎回同じ内容のやつでしょ。分かる分かるー」

「あれでさ、なんか一見、日朝八時半系の十代の女の子たちが戦うやつなんだけど、実はめちゃくちゃ残酷な話が展開するあのアニメわかる?」



 確かに年一でそういった番組があるのをあたしは知ってはいたけど、実際ちゃんと見たことはなかったから、また二人の会話についていけない気がする。

「あっ、知ってる。タイトルまでは思い出せないなぁ。魔法とか使える設定なのに、めちゃくちゃ血塗れになって戦うやつ。」

『えー何それ?あたし話に入れないよ。』

 あたしがそう言うと、ヒカミが助け船を出してくれた。

「平成史に残る伝説の二大アニメって言われた作品で、一つはなんか男の子がロボットと合体する話のやつで、もう一個が今おれがハクスイと話してた、魔法使いの女の子が悪と戦う話のアニメなんだ。

 絵柄とかも日朝系だから、最初は普通に視聴するんだけど、どんどん仲間が死んでくっていう有り得ないぐらいシリアスな作品でね。」

 スラスラとアニメのあらすじを解説するけど、あたしにはヒカミが何を言いたいのか全く分からなかった。



 現状、あたし達は突然の日常から切り離され、シリアスな展開に直面している。

 これをアニメみたいだと揶揄したいだけなのか、だとしたら、ヒカミにしては中身の無い話になる。

「そう!そう!あれってさ。おっぱいが大きい子から順に死ぬってやつ!」

 ハクスイがこれが正解とばかりにヒカミに向かって言った。

 そして、あたしには言葉の内容を理解する前に、二人の視線はあたしへと注がれた、

 否、あたしの……って、おい!

『あたしが真っ先に死ぬと!!??』

「サク、君の事は忘れないよ。」

「いい奴だったね。サク、、」

『いや、殺すなし!早いし!』

 確かに、いや、あたしが大きいって訳じゃ無い。ただ、ハクスイが普通よりちょっと小さいのとヒカミが異常に平らなだけなんだ(胸の話)



 と、ここでヒカミが突然思い出したように少しニヤける。

「何!?どうしたの?」

 あたしを無視するようにヒカミはハクスイを見て喋り出した。

「なぁ、ハクスイ……この戦いが終わって、故郷に帰ったら、おれたち結婚しよう。」

 確かに同性婚は法的に何も問題ないけど。

「うん。やっと言ってくれたのね。 勿論よ。その為に、必ず生きて二人で帰りましょう。」

 ってその返しはまさか、

『死亡フラグかよ。』

「や、サクだけ死亡フラグじゃ、ちょっと悪いかなぁって。」

「私も何か立てないと。」

 あたしのツッコミの前にハクスイが入る。これ以上立てんでいいわ!あたしの立場も知ってくれ。

 この二人は本当に頭の回転が早いのだ。ちょっとふざけただけでも、言葉のキャッチボールが基本的に豪速球だし、しかも、二人ともボケだから、あたしのツッコミを入れる隙が本当に僅かしか出来ない。


 そして、あたしがツッコミを入れる前だったのだ。

 また奴が現れたのは。

 へぇ、へぇ、へぇ、と独特な湿気を帯びたあの呼吸音。そして、独特の動物園のような匂い。

 七回目の襲来だ。

 また、あたしたちの前に狼が現れたのだ。

 狼を目の前に、あたし達三人は立ち止まり、すぐにあたしを守るように、ヒカミがあたしの前に立つ。




 そして、ハクスイが抜刀しながら、更にヒカミの前に立ち、刀を下段に構えた。

 どちらが、先に動くのかと、狼とハクスイが向き合っていると、

「ここは俺に任せて、お前達は先に行きな!」

 ハクスイは先に啖呵を切るのであった。

 普段、一人称が私であるはずのハクスイが俺と突然言い出した違和感。って事は

「よせ!お前独りを残してそんな事、おれだって戦える!!」

『まだフラグ立てるんかい!』



 この二人は本当にこんなので大丈夫なんだろうか。もう七回目とはいえ、あたしがこれ程の怪我を負わされた程の敵が目の前にいるのにこの余裕。

 そして、あたしの心配をよそにキャフンという、犬のような鳴き声と共に、

「よっし!返り血浴びないで倒せた!」

 とハクスイは狼の血のついた刀を掲げていた。



 ハクスイの得意げな様子を祝うように、ヒカミが「テテテンテンテンーテーン!!」としっかりレベルアップのBGMを口ずさんでいた。

 大丈夫か?こんなんで?って言いたい事は沢山あったが、やはりヒカミとハクスイの安定した強さと信頼はあたしの中で安心以外他ならなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ