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不条識な狼の理55

♗55


 ノア教の言う断罪の雨。

 SOAが掴んだノア教の連中の計画というのはノア教の連中自ら雨を降らせる、いや降らせ続けるという計画だ。それも聖書のノアの箱舟の話のように陸が無くなるまで雨を降らせ続けるという。

 そんな事が可能なのかと言うと、ノア教が秘密裏に開発した雨雲を製造する機械というので可能らしい。その機械の場所はもうSOAで掴んであるから、歩を筆頭にあたしとヒカミとハクスイの計四人で壊しに行くというのが今回のSOAのノア教に対抗した計画である。

 勿論、あたしらの事は歩のご指名だ。本当は歩自ら説明する予定だったが、緊急でキアラに会いに行っている関係上、貴志さんが代わりに説明し、今日中に歩が戻り次第、奴らの雨雲マシーンの所へ向かうと。


 ハチャメチャな計画だとは思ったけど、とにかく雨が降り始まった以上、もう時は一刻を争うみたいで、あたしたちは食後のお茶を済ませるとすぐに準備に取り掛かった。歩の帰宅と同時に直ぐにその機械が隠されている山へと向かった。どうやら夕方までに着かないと色々計画が狂うらしい。



    ◆



 こんな大雨の中を、バイクで二人乗りするどころか、三人乗りするというのは初めてだった。

 二台の大きいバイクに、歩の部下が二台とも運転し、一台は、あたしと歩が乗るチーム。もう一台はハクスイとヒカミが乗るチーム。

 まああれよね。完全に体重で分けたってやつ。

 全然どうでも良い話だけど、診療所であるのを良い事に体重と身長を測ってみた。あたしは百六十五センチ五十五キロというというザ平均体格に対し、ヒカミは百五十一センチ四十キロという本当に子供のような数字が出た。本人は公式百五十三って言い続けてきたのに、しれっと二センチもサバ読んでた事になる。

 対し、歩は百七十ぐらいだから、普通よりは大きめで、ハクスイは百八十二とまあ、デカくて邪魔なだけある。

 ちなみに体重を聞くと、リアルにヒカミの倍近くあるから、痩せるって宣言してたけど、ハクスイの場合ほぼ筋肉だからそんなに簡単に痩せれないような気がする。




 バイクで三十分ほど山道を登り、辿りついたのは、山林の中の洞窟の入り口であった。

 標高が下がる形状らしく、洞窟の中には雨水が入り込んでいる。

 洞窟へ流れる雨水を見つめながら、歩が作戦の続きを説明してくれた。


「ここの奥に、奴らの雨雲マシーンがある。と言っても中にうじゃうじゃ見張りがいてってわけではないようだ。あの機械は誰にも止めれないと相当な自信作らしく、どうやら入り口の見張りだけでだけで、機械中心部は無人じゃないかとまで想定されてる。」

「おいおい。そんなんで大丈夫なんか?機械なのにこんなに雨水も侵入してるみたいだしよ。」


 とヒカミの的確な質問。


「まーこれは仮定にしか過ぎないが、現場に人を配置できない程度にこれしか方法が無かったってのが本音らしい。

 ここの、洞窟の地下で機械でナンチャラする事によって、そこから出た物質が、隣の火山にまで流れて、その火山経由で空にナンチャラが届いて雨雲を無限に作るらしい。

 火山のルート上、この洞窟の地下を使うしかなかった。

 しかし、この洞窟の最深部だと、行きはいけても、帰りは行きのルートでは帰ってこれないみたいだ。」


「どういうことだ?」

「結構降りるんだよ。登ってこれない程度に。」

「待てよ。だとしたら、おれたちはどうやって脱出するんだ?」

「そこは調べてある。ここから結構進んだ海岸沿いに、ここに繋がってる洞窟があるんだ。

 こんな夕方にここに着いたのもそのせいだ。夜中に、干潮になる予定だから、その時間なら、安全に海岸沿いの洞窟を出れる。満潮の時間だと、この雨もあるから、万が一で出口も洞窟も海に沈む可能性があるからな。」


「それだけは本当に勘弁してほしいな。海底洞窟なんて想像しただけで死ぬ。とっととぶっ壊して、干潮のうちに脱出しようぜ。」


 そうか、歩はヒカミが水が苦手というのは一年前の迷路外の川の時にしか知らない。水が入っていく洞窟に入るなんて、ヒカミにとってストレスなのではとヒカミを見ると、予想外にもハクスイと一緒に早速洞窟の方に歩き出した。

 歩は送ってくれた、部下の方を向いて。


「それじゃあ、向こうの海岸洞窟で、アタイの親友たちを頼んだよ。」


 二人の部下たちは、背筋を伸ばして、歩の事を見ている。


「姉御。世話になりました。」

「おいおい。まるでアタイが死ぬみたいじゃないか。よせよ大事な仲間の前で縁起でもない。あとは頼んだぜ。」


 そう言って、歩は二人の肩を叩いた。




 なんだろう。この違和感。

 親友たちを頼んだよってまるで歩は途中で離脱するような言い回しだし、この部下二人も。




 今の歩と部下の会話はあたししか聞いてなかった。

 ヒカミとハクスイは雨を避けるように、洞窟の入り口に辿りつき、ハクスイに至っては、煙草に火をつけていた。

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