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不条識な狼の理31
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「えっと、詫びの品って、随分すげえの持ってきたな。これおれが調理するって事だよな。」
あたしは仕留めた猪を手に、全員に詫びを入れた。
こんな時に、笑って許してくれるのは本当に良い仲間に恵まれてると思う。ヒカミやハクスイはまあいつもの事だけど、歩に至っても、「部族の結婚式かよ。」と笑っている。キアラに至っても、「昼食が虫にならなくて良かったですね。」と笑ってる。え?待ってあたしが来るまでの間にそんな怖い会話してたの?
でも当たり前の事だけど、調味料なんて一切ない。素焼きだ。本当に全く飲まず食わずの久々の食事ならまだ食べれたんだろうけど、残念ながらあたしたちは昨日の朝までは普通に休憩所の支給品の缶詰を食べている。そりゃ味覚も正常のままで。
「おれが作っておいてあれだけど不味いな。」
独特の獣臭がかなりあるし無駄に脂が強くて、確かに不味いのだ。
「成獣の雄だから、まあ個体差もあるけど、臭いも香草無しじゃやっぱ厳しいな。これが子だったらもうちょい臭いがマイルドなんだろうけど。」
ヒカミが一方的に料理評論をしながら食べてる。みんな素直だ。不味い物を食べながらだと会話を失う。




