不条識な狼の理19
♗19
「二十八日の深夜のことだった。深夜だからもう二十九日に日付は変わってたな。
その、アタイらの悪仲間たちで時間通りに半数以上が来ないってことが起きて、手分けしてそいつらを探しに行ったんだよ。
アタイはまあうちのチームではアタイと同じぐらいの立場で同じぐらい力を持った男。まあ彼氏なんだけどさ。彼氏の家に起こしに行ったんだよ。どーせみんなで飲みすぎただけだろって。案の定寝てたんだよ。普通に寝息を立てて。
しかし、何をやっても起きないんだ。どんなに眠くても水でもぶっ掛けりゃ大体は起きるのに、本当に何をやっても起きない。そうしたら、他の連中を探しに行った仲間から連絡があってな。
どうやらそっちでもあっちでも同じ状況。普通に家にはいるんだが、何をどうやっても起きないで寝てるだけという不気味な有様だ。
アタイの予想は、こいつらは新しいクスリでも試してバクっちまったのかと。しかし、今回起きない奴らの直前の行動を洗ってみても、寝てた連中が一緒に行動していたという情報が一切なくてな。何なら一週間以上顔を合わせてない奴もいた。
各自が同時に自宅や別の場所にいるにも関わらず、同時にヤク炙るのはどうも考えられん。メンヘラじゃあるまいし。やるとしたら、あんなん皆んなで飲んでるテンションで全員で吸うから面白いんだ。
となると、クスリの線は消える。仲間が起きないというこの不気味な状況でアタイらはとにかく情報を仕入れた。
数日前に、都内の中学校で、集団自殺を失敗して全員意識不明というキナ臭い情報を手に入れた時にはもう朝になってた。
その情報の時点で、アタイらも派手に動きすぎたからな。どうやら、アタイらがこの集団睡眠事件を追ってることが、他の奴らにも回ったらしく。〔佐竹羨望の孫〕と名乗る奴からコンタクトがあったのは二十九日の昼間だ。
佐竹の孫とは直接会ってはないが、とりあえず仲間うちでアタイに電話が回ってきた。
まず、確認をされたのが、昨日の集団睡眠に罹った人の中で、一番身近な関係性の人間が眠ってるのは貴方ですか?と
確かに、アタイは彼氏持ってかれてるわけだし、だから他の連中も、まずアタイに佐竹の孫と話させるのが筋なのは当然だ。
迷わず。大事な人が起きないことを話した。そこからの剣幕と早口ったらなかったな。
向こうの世界の時間軸での一日は、こっちの世界での約一分だ。一秒でも無駄にしないで。すぐ着替えて。武装して。なるべく小型の銃と持てるだけの銃弾。薬と携帯食品。あと水も。靴は一番履きなれた丈夫なものを。次に招待状が来るのは貴方だ。
そんな感じのことを、えらい勢いで言われてな。普段のアタイだったらまともに、受け止めなかったろうけど。やはりなんだかんだ言って、恋人が何かに巻き込まれているのなら、何にだって縋りたいもんさ。
考えられるだけの装備を身につけて、招待状が来るギリギリまで佐竹の孫と通話を続けて情報を貰った。その奴らが作り出した、通称W・Iシステムとやらも。ゴール出来たら願い事が叶う事も。ミノタウルスの攻略法も。
多分一時間ぐらい話したんだと思う。アタイが腹を決めて、絶対にクリアしてやると完全に自信を持つ余裕があったからな。
アタイに割り込みで招待状の電話がかかってきたのは十五時前ぐらいだったかな。
あとはまあこんな感じだ。
二場は最初に大体のやつには武器を渡すらしいけど、アタイは武器は十分持ってたからね。貰ったのは今狼の首に着いてるソレだよ。まあその首輪の力かどうかは知らんが現に狼は今は落ち着いているからその首輪の使い道がそれで正しいとしてだ。
その前提でその首輪は、アタイらの全員のタイミングが一致しないと使う機会に恵まれなかったはずなのに。なんだか、手の上で踊らされている感じがして気持ち悪いな。」
まあ、どこから。何を言えば良いのか。歩のこちらの世界に来た経緯は意外と壮絶で、そして意外とロマンチックであった。だって、突然仲間たちが目覚めなくなって、彼氏を救うために、ここに来たって。
たまたま迷い込んだあたしとはわけが違う。
いや。あたしはそうだ。あたしはそうなんだ。でも、ヒカミは?別に彼氏を追いかけてとかじゃなくて、ヒカミはあたしを助ける為に来てくれた。ハクスイもヒカミの招待状で来てくれた。
あたしはヒカミを見るととんでもなく難しい顔をしてヒカミは天井を仰いでいた。
「その手の上で踊らされてる偶然が何か引っかかるんだよなぁ。
取り敢えず、キアラさん向けに手短に話すけど。
おれと、サクとハクスイは同じ中学校で……あっ、」
思い出したように、ヒカミはハクスイを見る。
「ハクスイ。招待状は何時に受けた?」
「十五時十三分。間違いないわ。招待状の音声が最初電話だよ思って、電話を見たのよ。だから確実ね。」
「歩。こっちに来て何日経った?」
「三週間ほどだ。そして、招待状は十五時前。」
「ってことは、一分イコール一日という時間軸は大変信憑性がある。早起きを考えても、こっちの世界に二年いても何も問題ない。」
あたしは最初ヒカミが何を言ってるのか意味がわからなかった。
「いくらこっちに二年いても卒業式は遅刻しないって計算でも流石に二年も居たくはないわね。」
そう言って、ハクスイは紅茶のお代わりを取りになのか立ち上がって台所へ向かった。
そっか。ヒカミはこの一瞬で卒業式のことまで考えていたんだ。でもあたしの姿は……
「心配すんなよ。サク。こっちの肉体はこっちの世界で用意された器なんだろ。その理屈で行けば、向こうに魂が戻れば、またこっちに来る前の姿のはずだぜ。
おれはあと二年で、三十センチぐらい背が伸びる予定だから、向こうに戻った時に、三十センチ下がった視界に苦労するだろうがな。」
そんなことまで、あたしには全然想像つかなかった。どうやらこの話し合い、あたしが一番頭悪いのは確かだ。ヒカミが三十センチ伸びるのはありえないことは理解できるけど、根本的に頭の回転が一番遅い、あたしは。
「ティーパックはいれるもので、ティーバックは履くものだよ。」
あたしの憂いをよそに、一番頭悪そうな発言をしながらハクスイはまた席に着いた。意味深にティーパックを、カップから出し入れしている。
「まあ。ごめん話逸れちゃって。おれら同じ中学でさ。
サクがどうやら、招待状無しで、たまたまこの世界に巻き込まれて、入ってきちゃって。おれはサクからの招待状で、ハクスイはおれからの招待状でここに来たんだ。
あれそういえばハクスイ招待状って歩に使ったんじゃなくて、歩はたまたま会っただけなんだから招待状まだあるよな?」
「あるわよ。肌身はなさず。」
ハクスイは着物の胸元に手を突っ込むと、例のコピー用紙のような折りたたんだ招待状を取り出した。
あたしの位置からだけ見えた。多分他の人は着物の中に入れてただけに見えたんだろう。あたしだけは、この変態がちゃんとブラの間から出したのをしっかりと見た。
「おー悪い。一つだけ試したいことがあってね。誰かペン持ってる?」
「わたし、持ってます。職業柄、ペンとメモだけは絶対に肌身はなさず持ってるんですよ。」
キアラがヒカミにペンを渡すと、ヒカミはハクスイの招待状に[田中ヒカミ]と自分の名前を書いたのだ。
一同。えっ?何でという顔でその招待状を見つめている。
「うん。やっぱり何も起きないか。いや、念の為にね。もう既に招待されている人間が、招待書かれたらどうなるのかなぁって思って。」
ヒカミは言いながら、ジェスチャでお礼の仕草をしながら、キアラのペンをキアラの目の前に起き、ハクスイに招待状を畳んで渡した。そしてハクスイは、またその招待状を乳とブラの間に挟んでいるのをあたしはしっかり確認した。
「さて、遠回りになっちまったな。そろそろキアラさんがここに来た経緯を聞こう。」
そういえば今更ながらの突っ込みだが、やはり司会進行というか、リーダーシップはハクスイよりヒカミの方が圧倒的に向いている。
「わたし、えっと。ちょっとオタク気質といいますか。同人活動ってやつですかね。それやってまして。
その活動の一環で、二場さんの肉声データを手に入れたんですよ。人間を進化させる。魂の在り処を定義して、人間を生物ではなく概念へと進化させて、宇宙と同調させるプロジェクト。その話を男と会話している内容でした。今思えばその男というのが佐竹羨望だったのかと思うのですが。
それから、わたしは、二場さんの遺作を知っているという方に連絡を受けます。その内容はわたしだけじゃなくて、わたしに二場三命さんの小説を最初に布教してくれた親友のシキにもきていて。シキがその二場さんの遺作を知る方と連絡を取りました。その後わたしにはシキから招待状を送られ、この世界に来ました。
最初はシキと一緒に行動していましたが、シキと途中で逸れてしまい。再会した時には……」
そう言って、キアラは自分の胸のあたりを確認し始めた。首から、胸の中を覗くようにして。
あたしは、キアラの正体もわからず、ハクスイからも怪我をしていたというニュアンスの説明しか受けていない。
「わたし刺されました。シキに刺されました。どうして、なぜ生きて、今ここでお話ししているんでしょう。」
自分でもなぜ忘れてたのがわからないと言った表情だ。しかし、誰もわかるはずがないのだ。
「どうしたもこうしたもねえよ。」
しびれを切らしたのは歩だった。
「多分ね。ここの話はアタイが一番理解している。
まずチーム三馬鹿は、佐竹とのゴタゴタのあと狼はシラミズとヒカミを追いかけるんだ。シラミズとヒカミは途中で二手に分かれ、狼はヒカミの方に行った。
シラミズはたまたまアタイと会って、アタイは狼を狩りに、シラミズとは後で落ち合うって話で一度別れたんだ。
そのシラミズが個人行動している間に、お前を拾ったんだよ。シラミズがアタイが元々医者志望だったのを知ってるから、血塗れで寝てるあんたを救助し、ここの休憩所に連れ込んで、待機していた。
そこに狼と、怪我をしたヒカミを連れてアタイはここに合流して、二日ぐらい経ったってのが今の流れだ。」
「ということは、怪我をしたわたしを救ってくれたのは歩さんという事ですか?」
「それが違うんだよ。ここだけは、今までの会話を全部振り返っても、ノーヒントで違和感しかない。」
「それはつまり、」
「右肺バックりやられてるんだ。死んでもおかしくない。なのにお前。その切られたとこ完全に縫ってあるし、治癒してるんだぜ。」
なるほど。これがハクスイの言う説明出来ない状況の子という事か。服も破けて血塗れで怪我をしていると思って連れて来たのに、その傷は何故か治癒していた状態で意識を失っていた。医者志望の歩が死んでもおかしくない傷であったという程なのに。そして、本人も状況を知らない。知っているのは一緒にきた親友に刺されたという最悪な事実だけだ。今のヒカミのように。
「それも傷口が本当に普通に外科手術の痕なんだ。まあかなり上手いやつが縫合したような。あくまで神業ではなく、人間業で優秀な外科医がやった痕って感じだ。違和感しかねえ。」
確かに、刺した親友と、謎の治癒。しかも本人は事情を全く知らないときたもんだ。
「まあ仮説って程でもねえけどさ。サクは寝てたからわからないだろうけど、おれとハクスイは、佐竹に脳のリミッターを外して細胞分裂を急激に早める薬ってのを見せられてるんだ。
おれは医学には全然詳しくないけど、歩のヒントを元に、キアラさんが刺されるのをわかってて、刺された直後にすぐに縫合して、急激に治癒力を高める何かチート薬と投与した誰かがいる。という推理を提唱する。」
そういえば。あのマッドサイエンティスト佐竹はそんなこと言いながら、あたしに注射したような気がする。そんな忘れてそうな、聞き流す情報もすぐ出てきて推理できるのは、やっぱりヒカミならではなんだろう。
「キアラさん。証拠も何もない。おれの妄想のような推理だが、もしそのようにして、キアラさんに治療を施した誰かがいるのなら、君の親友のシキさんはきっと君に殺意があったのではなく、何らかの理由があっての事だと思う。多分シキさんに会わないと真相は見えないから、もし自分を殺そうとした人だって恨みそうな気持ちや、もう二度会いたくないって恐怖心があるんだったら、一旦その気持ちは目を瞑って欲しい。一度会って顔見て話さないと何も見えない。」
ヒカミがキアラに言った優しい言葉は、ヒカミ自身が自分に言ってきた言葉なのだと察してしまった。
--狼はきっとおれに殺意があったわけではなく、何らかの理由があってのことだから、恨みそうな気持ちも会いたくない恐怖心も目を瞑る。顔見て話さないと--
「すみません。ヒカミさん。確かにそうです。わたし今親友のはずのシキに疑心を抱いている自分がいました。もしヒカミさんの進言がなければ、大切な友人を恨んで、見つけた瞬間に刃を向けたかもしれません。ありがとうございます。」
ヒカミは、今。キアラの為に言ってたけど。本当は、本当は……
「んで。サクはなんで泣いてるんだ?」
『ほへ?』
変な声で応対してしまったが、目をこすると、確かに少しだけ濡れていた。
『ほら、たまにあるじゃん、ぼうっとして目が乾いちゃう時。』
あたしは、なるべく明るくごまかしたつもりだったけど。「そうだね。」と短く返答して、この話題をすぐに打ち切る流れに持って行ったのは、ハクスイであった。普段しょうもないボケばっかり突っ込んでくるけど、急に真面目に切り替わるあたり、あたしの涙の意味を察してしまっているんだろう。
「今んとこさ。おれが思う限り。全部が紙一重の運命の上で成り立っている気がするんだ。
歩からもらった情報。こっちの二十四時間は現世での一分。つまり、おれたちがこの世界に来るタイミングが向こうの世界で数分遅れただけできっと会えなかった。
おれとハクスイとサクだって。無事に佐竹に嫌がらせされるとこまで生きていられたのも奇跡だ。サクが追いかけてくるときに、おれとハクスイが二手に分かれるという選択ではなく、二人でサクを止めるという選択肢であったら、きっと歩とも会えなかった。歩がもしサクを止めるのにもう一分でも遅かったら、おれは今ここにいないだろうし、ハクスイがたまたまキアラさんを見つけなかったら。
ほら。パッと思いつくだけでもキリがない。
だからさ。なんていうの。つまりさ。とりあえず、ここまでみんなで生きて出会うことが出来たんだから、みんなでクリア出来るよ。キアラさんも、きっと親友さんと再会できるだろうし。前向きに行こうぜ。」
「随分、カッコイイこと言うなぁ。アタイと違って、お前はリーダー向きってか、主人公向きだな。そうやって先導するからには、早く怪我を治して、強くなる為の特訓だな。今のこのメンツの戦力じゃあ到底勝てねぇ。」
「そういや、歩は佐竹の孫からミノタウルスの攻略法を聞いたって言っていたよな。」
確かに。それが本当になら頭キレるヒカミと最強のハクスイ。そして、情報を持ってる上にボクサーで医者の歩ならもう最強の布陣だ。クリアしたようなものじゃないか。
「ああ。聞いたぜ。絶対使わねぇ手だけどな。」
一瞬期待したが、やはり一筋縄ではいかないらしい。
「どういうことだ?」
「薄々気づいていたろ。ここに出てくるモンスター。どいつもこいつも餓えてるんだ。ミノタウルスの伝説は、鎮魂祭の度に食事用の生贄として、若者を送り込んだ。
となるとな。ここの番人ミノタウルスもえらい強いから、正面から戦わず、誰か一人を生贄にして。ミノタウルスの食事中に、進めば良いんだ。一度食事を始めてると、番人の役職を忘れ、食い終わるまで他の事はしないらしい。」
「なるほど、それが攻略法か。胸糞悪いな。」
「言い換えれば、一人を犠牲にさえすれば、確実にクリアできるという事なんだ。」
「まあ。歩。君はそんな気はねえんだろ。」
「勿論。アタイは彼氏とチームの奴らを助けに来たという大きな目的はあったが、この世界を知れば知るほど、二場を出し抜いてやりたいという気持ちがでかくなってきたんだ。まあそう簡単に思惑通りにはいかねえよ。ってな。
それか、あれだ。シラミズがウザかったらシラミズあたりを食わせておくのもアリだがな。」
「まぁ。順番でいくと私だからね。次死ぬの。」
ハクスイのボケが何を言ってるか最初は全然分からなかったけど、あたしは自分の狼になった半身を見て。とあることに気づいた。右半身だけ、明らかにアレが小さくなっているのだ。
「ああ。若い女の子が集まるパニックホラーものって、おっぱいが大きい順に死ぬジンクスがあるんだ。」
見かねて、ヒカミがどうでも良い助け船を出した。もう溺れさせとけよってあたしは思ってたんだけどさ。
「私、サクのことを知らない人に、サクの事話すときに、サクっていうおっぱいの大きい友人がいるんだけど、って言ってたんだけど、もう言えないわね。」
『どんな紹介の仕方してんの!』
「みんな、食いつき良かったんだよね。もう次から、サクっていう半分狼の子がいるんだけど、になるわね。」
いや事実だけど、返って迷宮入りする発言やめて。
「わたしは、後者の紹介の方が唆られますね。半分狼って、まるで凄い攻めをするような、掻立てる一言ですよね。」
キアラの突拍子もない発言に、あたしは狼狽えた。狼だけに。ウロタエタ。
「なんか、狼って表現が、過激な攻めのイメージだけど、半分って誇張してくるあたり、凄い受けもやりそうなイメージね。狼という二つ名は、処女のサクより、非処女、非童貞の私が名乗るべき響きね。」
この変態侍はたった数行の表現で、あたしの名誉を著しく毀損した挙句。自分の性癖もまで露呈した。いつかタイミングみて食い殺す。
このカオスな状況下で、突然笑い出したのが、歩であった。
「狼狽えてる。狼だけに!」
あんたのツボはそこかい!
一通り笑い終えて、また歩が切り出した。
「とりあえず。今必要な情報は出揃った。アタイとシラミズとキアラは一度ミノタウルスのとこまで探索行って、戻ってくる。ヒカミは寝てろ。サクはここで歩行訓練だ。」
「え?そんな危険なところ、わたし本当に足引っ張りますよ。」
「どんくらい引っ張る奴なのか確認を含めて行くんだよ。お前の運動神経とかトータルで見てどんな訓練にするか見てやるから。シラミズ、お前は一人守りながら動く事ぐらい余裕だろ。」
「私の方は問題どころか、好都合ね。吊り橋効果といって意中の子と一緒に危険に晒されるとその恐怖心を恋心と勘違いして抱けるチャンスが、」
「文句なし。行こうぜ。」
歩はハクスイの言葉を聞かずにさっさと出て行ってしまった。
ハクスイも歩の事を呼びながら、急いでついて行ったが、この時、あたしはハクスイが、キアラの手を引いて行ったところを見逃さなかった。
この部屋に、あたしとヒカミ。二人っきりになってしまった。




