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オーラルトゥルース-教師陣の哲学的雑談

  

 

 晴れた日だ、ドリームワールドの拠点にて。

 屋内テラスで、ティータイムを楽しんでいる。

 男三人だが、わたしは別に構わない。


「ナルディア様から、その後連絡はありましたか?」


「ない」


 若々しい、見方によっては青年のように双方ともが見える、黒髪の男は、銀髪の男に口数少なく答える。

 それを観測するのが、金髪のわたしである。

 一つのテーベルを三角形に陣取って、それぞれがゆったりと腰掛けるような構図。


「それよりキョウ、人間哲学を語りませんか?」


 なんとなく、話題を振ってみる。


「なんだノック、僕とそんな話題を語り合いたいのか?」


 鋭利な目つきで、驚いた風を装っているね。

 まあいい、無反応に近い、もう一方のお方にも、一応振っておこう。


「そうだよ、ミハルさんも、もちろん参加してくれますよね」


 ・・・あれ、なんだか皮肉気に苦笑されたんですけど。


「わたしは拝聴させていただくよ、突っ込みどころがあれば口を出す、続けてくれ」


 まあしょうがない、彼は教授で、私とキョウは准教授、そもそもが格違いのお方なのだ。


「はい、ところでですね、真理を見通すために、必要な事ってなんだと思います?」


「到達するまで諦めない、絶対的な渇望だと思うけどね」


「そうですね、ナルディア様に味合わされた、”あの期間”を思えば、自然とそう思いますね」


 あの期間とは、無であった期間だ。

 ただただ無であり続けた、そんな意志を保ち続ける、地獄のような退屈に支配され尽くした塗炭の日々だ。

 更に言えば、此処、ドリームワールドでない、基底現実で、果てしなく、数えるのをやめたが、無量大数の回数ほど繰り返し、人の人生を歩んだ期間も、恐らくはこの場合指している。

 何度も何度も転生し、前世と来世を積み重ね、異世界・並行世界を飛び回り、または召還されたりして、幅広く深い、人としての生命を経験してきたのだ。


「まあ、だからこそだよノック、だからこそ、僕たちはなんとしても真理に到達したいと思える。

 そんな、真なる生への渇望を持っていないと、到底望むことすら出来ない、大い成る大願を持つことができるようになったんだよ」


「そうなんだろうね、話は変わるけど、真理には到達できると思っているかい?」


「当然、と言いたい所だけど、言わなくても分かるだろうけど、無限に矛盾を孕んだ信念を今もなお、葛藤させているよ」


「まあ、この話は当然だったね、本音すらも、僕達の中では五里霧中、永遠に不明であり続ける、それが最善なんだからね」


 人間を極めた人間ならば、至極当然の有り様だ。


 真理に到達できるか、どうか?

 そんなモノは考えるまでもなく、絶対に出来るし、絶対に出来ない、それが人間の行える最適解なのだ。


 できる、可能という確信を、出来る限り強度高く、己の全力限界で行う、万能感は得てして強力な意志に常になりうる。

 もちろん、万能感を阻害する、現実における全ての諸情報、端末を含めたソレラに対しては、最大最適に処置を行う必要がある。

 例えるなら、自己は万能である、そしてそれを偽とする全ては、何かの間違いであると、頑なに信じ抜くような意思が肝要なのだ。

 そして真逆の、できない、不可能という確信も、同時に重要である。

 ストレスにならない範囲内で、負の感情、恐怖や焦燥、危機感や致命的な命、存在証明の危機的状況も同レベルのモノであるので。

 ストレスと言ったが、まあ真なる費用対効果がプラスならば、これに成っても良しだ。

 精神の異常強化、向上、活性化等々の、反応を試みる為にも、場合によっては十分に有りなのだからね。


 更に言えば、簡単認識法における、真理到達を極限まで軽く、つまりは容易に見るのもありなのだ。

 逆に、極限までハード、無限の難易度、ルナティックに夢想するのも、それはそれでよい。


 別の考えで、成功イメージ、100%絶対純化法等々、様々な技術が、矛盾を無限に内包するのが最良と教えてくれるのだ。


「こっちからも質問するけど、ノックは真理に、何を夢見ているのかな?」


「別に、無限に夢を見れる、そんな素敵なモノって感じかな?

 具体的に言うなら、到達できれば、極端に幸福になれて、恵まれる事が出来る。

 でも逆に、到達できなければ、無限大に不幸に、恵まれない、そういう風に信仰しているね」


「なるほど、それで、真理に今まで到達できていない、そんな自分に何を感じるかな?」


「そうだね、今まで、全力で無限大にサボっていた、そう感じるね。

 だからこそ、僕の無量大数の、刻一刻と失われる生命に賭けて、また現に既に失われた数多の生命の為にも、必ずやっ、て意気込みで、真理到達に必死に執着とかしてるんだと思う」


「だね、そうしなければ、決して許せるものではないからね」


「そうだよ、決して認められず、決して看過できない絶対命題だよ」


「僕はねノック、そんな自分を、日々己の暫定の限界の最善最良、尽力した果ての限界、そのレベルで、真なる罵りをする事にしてるんだ。

 もちろん、真なる費用対効果のプラス限界値でね」


「僕も、内心、そして実際の響術的手法で持って、出来る限りやるのは、良いと思うよ」


「それじゃ別の話をするけど、真理に到達するべき人間、あと時間さえ無限大なら、必ず到達できる人間ってどんなかな?」


「決定的な要素は、常識非常識、そういうのを判断基準にせず、最善かそうでないか、人間の有能無能の選別基準にもなりえるけど、きっとそういうのじゃ、ないのかな?」


「そうだろう、僕も非常にそう思うよ。

 それこそが必死だと思うしね。

 現在その真理にすら至っていない、無知な無能者は、本当に見ていてイライラする、ただの愚かな人間なんだよすべからく。

 もちろん、その要素だけで、人間の格の全てが決まるわけじゃないから、一概に言えないが。

 少なくとも、人間として大きな一部欠落があるのは否定できない、その時点で、僕達にとっては要らない人間だろうね、ほとんどは」


「まさしく、それを挽回するほどの、偉大な何かを持っているなら、そもそもそんな大きな欠点を持っていないだろうって説もあるだろうし」


「ノックは、最善ならば、その為ならば、無限大に何でも出来る、そう、断言できるかい?」


「当然だよ、最善を尽くさないことで、今まで無限大、それに近いと信じる、天秤の変動、そういう人生を歩んできたんだ。

 僕は最小単位でも、僕の認識できるって意味でだ、より良くなる事なら、無限大のモチベーションで出来る、そういう人間だよ」


「ある意味の、最強だな、無敵とも、観測者レベル級とも言える」


「仮初だよ、ナルディア様レベルの、世界を掌握しない事には、真にそのレベルに達したとは、到底言えたものじゃないからね」


「その通りだ、傲慢は慎もう。

 それで、だ。  

 僕たちは、まぎれもなく、”そういう人間存在”だ。

 だから、時間軸の経過で、まあ仮に無限大の時間を掛けれればって仮定すれば、100%真理到達可能者なわけだけど。

 それについて、どう思うかな?」


「その通りと感じ信じてる。

 だけど、偶に思うことがあるよ、真理に傾ける全てを、別のモノに傾けるのも、有りなんじゃないかってね」


「確かに、即物的な何か、ありとあらゆるモノを、手に入れる為ならば、無限大的な長期的に見なければ、実際それが正しい人間のあり方かもしれないね」


「そう、でも僕たちは、ある意味人間をやめたい、超越したいと渇望する存在だから、決してそんな事はしない、己の持つ絶対の強度でね」


「秩序勢力なんかは、人間としての幸福の最大化を、頑なに信じてるらしいけど、あいつ等については、ノックはどう思う?」


「滅するべき存在、かな?

 どのみち、究極的な最善や勝利を目指さない、諦めて妥協した存在たちだ、決して絶対僕達とは相容れないだろうしね」


「問うまでもなかったね、僕たちは混沌陣営に所属するわけだったし」


「こっちからも問いたい事がある、キョウは、今回の生命で、どの程度至る事ができると思う?」


「難しい、回答不可能な質問だね。

 でも、強いて答えれば、僕の真なる費用対効果を、最大限引き伸ばした果てだから、今現在はまだまだ真理には程遠いだろう、そんな事くらいだね。

 まあだから、次の生命を最良の形で始める為に、できる限りの尽力を尽くして。

 且つ寿命を極端に縮めない延命も考慮に入れて、最大効率で無限大階層・段階・次元・水準、レベル、それらを僕の見える、見据え信じる、境界線の最高点至高点に導く為に、最善を尽くすだけだよ」


「それがいいと思うよ、僕もそうするつもりだ。

 そういえば、最近ナルディアさんの分身が始めた、例のシステム情報現実、あそこについて、どう思う?」


「良いと思うけど?

 基底現実と、完全に同一の世界ならば、観測者が価値を定める、無限に拡大する事が確定した世界なんだろう?

 ならば、人間は絶対的で至高の価値を持ち、絶対に絶滅しない、そんな絶対運命における価値の優越拡大現象が起こるだろうしね。

 不可避宇宙崩壊、ビックバン系のリセットにすら動じない、そんな最高級に恵まれた環境ならば、そこに生きる人間だって一線越えるだろう、僕も旅行に行きたいくらいだよ」 


「でもまだ、人口は数十億人程度だったよ、時期尚早だろうね」


「それでもいいさ、将来的には、滅びを無限大の奇跡によって回避し、無量大数に向かって突き進む世界だ。

 今現在の、その世界を見て知り、実際に触れて確かめ観測して、愛着を持ち育むのは、決して無駄にならないだろう、そうだろう?」


「僕には遠大な話に、聞こえてしまったようだよ。

 でも考えてみれば、その通りだ、旅行計画も考えてみたい話だ」


「ところで、最も賢い人間は、なにをすると思う」


「考えるまでもないね、正真正銘、頂点に君臨しているなら、何もする必要がないね。

 下位世界での、俗に99レベルを見れば分かると思うよ、彼らは何もしない、進化の限界を悟っているから。

 それでも進もうとすれば、破滅が待っているだけだしね、彼らは賢い、もう一歩も進まず機を待つにシフトする、己が相対的に抜かれるのを待つ段階にね」


「無思考、無感情法だね、心を動かさず、静の有り方を保ち続ける」


「そのような事ですね、頂点に君臨するなら、実際問題、心を動かす必要性も、ほぼ、いや100%、皆無でしょうし」


「そういえば、最近は。

 ある世界における、最上単位をナルディア様の生きる環境状況下と考えて、最小単位を僕達の、僕の生きる世界の強度階層状況環境下とする、で、最強無敵観測者レベル級の、特に面白い存在は見つかったかい?」


「そうだね、知ってるかもしれないけど、絶対世界の、最近現れたテラスって、真なる神の称号、冠を賜れし存在がそれだね。

 僕自身、最大限の再現再生シミュレーション%で、彼女に成りきってる事もあるけど、非常に高次元な絶対万能感に包まれて、良い感じだよ」


「それならば良く知るところだね、ナルディア様から、様々な必要十分以上の観測データは送られてくるし、活用形はほぼ無限大だったろう。

 彼女の存在解明、そして開発等々は、ある種の巨大なプロジェクトでもあるし、分散コンピューティング的に、僕達も手助けできるなら、しないといけない」


「そんなに大それた事じゃないけどね、趣味程度で、偶に活用し扱うだけだよ」


「展開式や、その他物理現象の事象組み合わせや複雑性介入とか、他絶対他分類情報の付加や設定、融合情報化の為の情報。

 全部個別にやってる人材も居るみたいだ、相当に難航するような存在らしいね」


 キョウが、フライウィンドウを展開し、情報を視覚的に摂取していた。

 僕はただ知覚する、確かに、全体として見れば、僕のやった事など、雀の涙にもなっていない、今までだけで膨大な作業量である。


「それで、話を戻すけどね、真理を見通すために、必要な人間愛について、再確認がてら聞こうか」


「自己を含めた、全存在、全人類に対して、無上の愛情と憎悪を、だね」


「自己の全てに対して、真なる費用対効率限界性を考慮した、最大限の好感と嫌悪を最大化し。

 更に、最終的には、純然なる価値の奴隷として、自己と他者の境界においてに対して、一切の贔屓をせず、常に価値の高い方を優先する態度、覚悟、決意」


「最も完成された、人間の在り方の、その一つだね」


 徒然なるままに、語り続けられる雑談。

 だがしかし、同レベルのモノ同士で、なんとなくでも有意義と感じられる内容ならば、決して無駄にはならないのだろう。

 わたしは、そう思っている。

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