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~In the World~ この世界の中で……  作者: 愛守
第一編 それぞれの価値観
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この世の終わり

 魔物はネザーワープを使用し、背後から剣で切りかかった。だが、マコトもそれに応じ剣で受け止める。


「僕はもう負けない! もう道を見失わない!」

「それなら今度は僕が君を取り込んであげるよ」


 魔物はバックステップで飛び退きながらダークブリングで攻撃した。


「そんなことはさせない! サタンズマインド!」


 その黒い衝撃波が当たる瞬間、マコトはカウンターで受け止めた。


「全く、僕の計画を台無しにしてくれて。あのユウキって奴から殺そうかな?」

「それは絶対にダメだよ! ユウキ君は僕の友達なんだから!」


 マコトは魔物へ余裕を与えないように黒い衝撃波を放った。

 だが、それは難なくかわされてしまう。


「それなら守ってみせてよ! ファントムダンス!」


 魔物が指を鳴らすと虚空から骸骨が三体現れた。


「僕が本物なんだから、偽物なんかに負けないよ!?」


 マコトはシュバルツウィンドやダークブリングを放ち、骸骨たちを処理してゆく。


「それは君の解釈であり主観でしょ? 僕は僕が本物だと思ってるし、君はただの偽物だよ!」

「だったら君を倒すだけだよ!」


 マコトは悪魔の羽を生やし、魔物へと飛びかかった。

 だが……。


「あっそ、消えな!」


 突進してくるその無防備なタイミングを突き、魔物はシュバルツウィンドとダークブリングを放った。


「うああ!」


 マコトは咄嗟のことでガードできずにクリーンヒットし、その激痛に耐えられず叫び声を上げた。


「マコト! 大丈夫か!?」

「ユウキ君……ごめんね? 僕、君の声にもっと耳を傾けるべきだったよ……」

「今はそんなことはいいから! 絶対に死ぬな! 絶対に負けるな!」


 ユウキには遠くから応援することしかできなかった。


「あいつうるさいなあ……。マコトを消し終わったらすぐに消そうっと」

「そんなことさせないよ!」

「だから、お前に僕は倒せないって何回言ったら! ……なっ!? 周りが見えない!?」

「かかったね。さっきナイトメアを仕掛けておいたんだよ!」

「く……! ファントムダンス! 骸骨たちよ、マコトを攻撃しろ!」

「こっちも対抗するよお! ファントムダンス! みんな、僕を守って!」


 骸骨たちはお互いに攻撃し合っている。

 万全の状態のマコトが優位に立った。


「さあて、よくも僕を騙してくれたね? アウェイクン!」

「く……! こっちだって!」


 マコトに引き続き、魔物も右手をかざし、強く握り締めながら引き戻した。二人の体を青いオーラが包み込む。


「目が見えない状態で僕に勝てるかなあ? ……うわっ!」


 不意にマコトの悲鳴が上がった。


「かかったな! 僕もさっきトラップを仕掛けた。これで僕の方が先に解けるから、君の不利になるね!」


 魔物は不敵な笑みを浮かべた。


「マコト! 負けるな!」

「……ユウキ君が応援してくれる声が聞こえる!」

「だから何だって言うのさ!?」

「僕は……まだまだ戦えるよ!」

「笑わせるな! 目が見えない状態で……ぐはっ!?」


 マコトは真っ直ぐに魔物に向かって飛びかかった。


「なぜ……場所がわかった!?」

「君の仕掛けたトラップ、解けたみたいだよ?」

「そんなばかな! 何でだ!?」

「ユウキ君の応援が、僕に力を与えてくれたからじゃないかな?」

「そんなことで解けるわけが……ぐふうっ!」


 マコトの渾身の鉄拳が入った。


「実際に解けてるからね? さあ、僕が君を攻撃し放題だよ?」

「ネザーワープ!」

「あ、逃げた!」

「何とか効果が切れるまで凌いでやる!」

「やれるもんならやってみなよ! ネザーワープ!」


 マコトは魔物の目の前に飛んだ。

 だが……。


「っと、スラッシュ!」

「痛い!」


 魔物は横一線に斬撃を放ち、マコトを退けた。


「な、何で!?」

「僕もやっと解けたよ! さあ、今度こそ覚悟してもらうよ!」

「……五分に戻っただけさ」


 二人は一旦距離を取り、自身の傷へと手をかざした。黒い靄によって怪我は塞がってゆく。

 そして、再び技の撃ち合いが始まった。


「さあて、魔力が段々溜まってきた!」

「だから何だって言うの?」


 飛んできた衝撃波をカウンターで受け止めながらマコトが問う。


「わからないかな? そこにいる友達に聞いてみたら?」

「ユウキ君に……?」


 怪訝な表情でマコトが振り向くと、ユウキが焦りを見せていた。


「マコト! あいつに超必殺技を使わせてはダメだ!」

「どうして? 僕も対抗すれば……あ!」

「そうだ、そんなことしたら世界が終わってしまう! だから、使われる前に倒すんだ!」

「わかった! 急ぐよ!」


 マコトは一気に畳みかけるために接近戦へと持ち込んだ。


「気付くのが遅過ぎるよ! もうそろそろ魔力が溜まるから、そしたらこんな世界終わりだよ!」

「そんなの嫌だよ! やっとこの世界の良さがわかったのに、ここで終わるだなんて絶対に嫌だよ!」

「嫌だろうと何だろうとここで全てが終わるんだ!」


 ユウキはいざとなったら飛び出せるように剣を構えた。


「絶対に……その前に倒す!」


 マコトは剣を大きく振り被った。


「見え見えだよ! サタンズマインド!」


 魔物は自身の目に映った攻撃モーションに合わせ、カウンターを発動した。

 だが……。


「……なっ!? 発動しない!? ぐはあ!」


 魔物のカウンターは不発に終わり、生じた隙を突いて強力な斬撃が通った。マコトはさらに怯んだ魔物へと追撃をし、投げ飛ばした。


「う……ぐ! 今のは……イリュージョンか!」

「僕の方が技を上手く使いこなせるみたいだね!」

「ふっふっふ……だから何? もう時間切れ、残念でした!」

「そんなっ!」

「さあ、超必殺技を使ってあげるよ……!」


 その言葉を聞き、ユウキは意を決した。

 だが……。


「あ、そうそう。邪魔だから君にはコピーしておいた影縫いを使ったよ」

「なっ!? 俺に!?」


 ユウキは飛び出そうと試みたが、その場を動くことができない。


「ちょっと動いたらかかるような絶妙な位置にね。どう? すごいでしょ?」

「そんな……!? もう誰も止められないのか!?」

「さあ、これで終わりだよ? 超必殺技、エンド・ザ・ワールド!」

「やめろー!」


 魔物は手をかざし、空一面に闇を呼び寄せた。

 そんな中、ユウキの悲痛な叫びは虚しくこだまするだけだった。

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