リダネノモイナ
世界は狭くて、なのに何かを見つけるのに時間はかかって。
それならホントは広くて、でも探してない人を気付いたら見つけてて、わたしはふしぎだなっておもった。
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ある日、お父さんに怒られて泣いた。
泣きたくなんかないのに、私の目から涙がボロボロとこぼれて、ホントは笑ってでも誤魔化していたいことなのに、何でか分からないけど、目を赤くしてしまうことになってしまった。それなら泣きたいときに涙が出てくれればいいのに。
いつのことだろう。
そのある日に、理由は何だったか忘れちゃったけど、でも確か、人のことだったとと思う。
すごく泣きたくてたまらなかったことがあった。
ベッドに潜り、うずくまりながら人間の冷たさを知って身体を毛布であたためて……泣きたかった。
でも少ししか涙は出ない。
頬を伝うのは汚れた心を語りながら虚ろに一粒だけながれた。
それでも、私はいやだった。
足りなかった。
何かが少ないと感じていた。
悔しくて手を握って毛布をしわしわにした。
私は物足りなく感じた。
私はまだ泣き足りないと思った。
涙はこれだけじゃ私の気を満たさなかった。
分からず屋。 裏切り。 最低。 馬鹿。
恨んだ。涙を、自分の涙を恨んだ。
同時に私を恨んだ。
理解できない自分を憎んだ。
駄目な自分をなくしたいと思った。
自分がなければこの感情というものは『無』になる。
無になる。
私は無になる。
なりたいから、願う。
無になろうと。
ーーでもどうしたらいいの?
どうしたら私は無になるの?
どうすればあるものは無になるの?
ねえ?
どうすると、無を自分のものにできるの?
無を可能にするのはどんなことをすると良いの?
………ねぇ?
……ねぇ?
ねぇ?