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四章 破られた平和


(何なんだよ……こいつは――)

 血まみれの部屋に足を踏み入れながら、俺は必死に考えを巡らす。

 誠を寝かして、それから連れの二人を探してあちこち歩き回った。彼の体調を鑑みれば早く退出させるべきだと思ったから。しかし見つからず、戻ってきた時には三十分経っていた。そして、隣室の惨状にぶち当たった。

 絨毯引きの床は夥しい血溜まりを形成し、中央には服の上から全身メッタ刺しにされた男が仰向けに倒れていた。体型と服装から、部屋の主であるのはまず間違いない。でっぷりとした手は血が溜まっているのか、生前よりグロテスクに張っている。

 その死体の隣に誠がいた。

 純白を紅に染め。

 黒くなりかけた包丁を持ち。

 ただじっと、物言わぬ死体を見ていた。

 静寂を破るために一歩、踏み出した。

「っ……!」

 こちらを振り向き、縋るような目を向ける。無意識の内に、その小さく震える両肩を掴んだ。今にも彼方へ行きそうな精神は、この両手によって辛うじて此方に留まっている。

「まーくん、大丈夫か……?」

 小さくこくん、と頷き、唇でウィル、そう呼んだ。

「この……人……」

 怯えている。

「この人……怪我して、動かない……ずっと、ずっと」

 一目瞭然だ。だが、この哀れな青年の心は壊れる寸前の硝子、下手に衝撃を与えれば粉々になってしまう。残念ながら、自分はこういう時巧い言い方が出来ぬ。あるがままの現実を言うしかない。

「まーくん。このオッサン、いやハチャ・コンシュさんは……死んだんだよ。殺されて、死んだんだよ」

「死んだ……死んだの?」

「ああ、死んでしまったんだ」噛んで含める。

「死んだ……死んでしまった……殺されて」ブツブツと繰り返している。

 手から包丁を外そうとしたが、硬直した冷たい指は全く動かない。

「これは、どうしたんだ?」

 危ない境を行く彼に優しく問いかける。少し力が抜け、その隙に自分の手に持ち替えた。突き刺した際強い力が働いたのか、数箇所刃こぼれしていた。

「お腹から……抜いた」

 酷い。顔から血の気が抜けている。横の屍体の方がまだマシだ。

「いたい……いたい、いたい、いたい……」

 突如飛び出す凄惨な形容詞。

「まーくん!!?落ち着け!痛くない、痛くないから!」

 死体に感応したのか。一刻も早くここから離さないと。

「いいか、まーくん。まずこの部屋を出よう。……よし、立てるか?」

 やっと立った途端、フラフラとして倒れ込む。両腕で慌てて肩を摑まえる。心なしか先程より軽く感じた。

「ちょっとごめんな」

 肩と太腿の裏に腕を回し体重を支え、抱え上げて部屋を出た。 

 廊下には幸い誰もいなかった。素早くドアの開いていた隣室に移動し、浴室へと入った。

「身体を洗って、服を換えたら屋敷を出る。このままいたら容疑者だ」

 ドレスは血がベットリ付いてなかなか脱げない。悪戦苦闘しながら部屋にあった鋏で切ってやっと裸にさせる。ほの白い肌が固まりかけた液体で汚され、まるで本当に怪我をしているよう。

 ふと、彼の胸元に奇妙な印を見つけた。直径三センチほどの四重幾何学模様、魔術の紋章だ。

 触れると同時に我に返る。これではただの変態だ。

「変身の魔術……なんだって。マリア・アンサブさんになるための」

 幾分正気を取り戻した彼が説明してくれる。

「あ、ああ。そうなんだ……これ消してもいいのか?」

「え……うん。エルも必要があったら解除していいって。水で擦ればすぐ消えるよ」

「ああ。じゃ、俺は服持ってくる」

 部屋に帰ってから急に動悸が激しくなった。

 彼は“あれ”を欠損していた。いや、じっくり眺めた訳ではない。しかし、おそらくはそうなのだろう。だからどう、という訳でもないのだが。

 シャワーの音がし始めた。箪笥からサイズが合いそうな服を物色する。ジーンズとシャツ、下着類を二人分出した。どうやらこの部屋は客用の空き部屋らしい。

(見つかった時の言い訳は、俺がゲロった事にしよう。バレなきゃいいが)

 俺の服にも随分血が付着している。胃がむかつく臭いだ。

 廊下から足音が聴こえる。一応ドアは閉めてきたが、誰かが死体を見つけるのは時間の問題だ。

 複数の足音が隣へと入っていった。

 十分後。

 静かだ。静か過ぎる。この部屋を調べに来る足音も聴こえない。

 普通死体があったら悲鳴の一つも上げるだろう。そして警察を呼ぶ。なぜそうしない?まさか、犯人がトンボ帰りしたのか?捕まえるか?いや、別人の可能性も随分ある。間抜けな事はしたくない。

 何とか向こうの様子を伺えないだろうか。この部屋の覗き穴では靴ぐらいしか見えない。

「ウィル………何してるの……?」

 バスタオルで身体を拭きつつ、誠がこちらに寄ってきた。石鹸のいい匂いがする。

 振り返った瞬間、白い柔肌の全てが見えた。脳に情報が伝わった直後、激しい高熱を発し始めた。

「あ……ああ、その……椅子に掛けてある服着て。サイズは大丈夫だと思うからさ」

 顔など見えるはず無いのにドアに張り付いて穴を凝視する。

 ドキドキドキドキ―――

(あ、あんなはだ……いやいや、思い出したら駄目だ。いやらしい)

「着たよ」

「うん」動揺を隠して振り向く。ジーンズもシャツもよく似合っていた。

「?具合悪いの?氣が乱れているけど」

「い、いいや。今度は俺がシャワー浴びてくるから。ベッドで少し横になってて」

「?うん」



 血の付いた服は纏めて置物の壷に入れ海に放り投げた。カジュアルな服装で大広間に戻った時には既にパーティーは終わっていた。

「ああ、ウィル様」

 男が一人走り寄ってくる。

「イエリか。パーティーも終わったし、そろそろ帰る」

「あれ、私服持ってたのか?……そこの子は?アンサブ嬢はどこに?」

「彼女はとっとと帰ったよ。こいつは俺の友達。社会勉強で来たんだ、遅れたけど」

「残念だったな坊や。ああ、でもお土産ならあるか……ちょっと待って」

 数分して、白い紙袋を持って現れた。

「これ。残り物しか無かったけど、帰ったら食べな。ウィル様のためにケーキもちゃんと入れといた」

「ありがとうございます」

「気が利くじゃないか。ああ、いいよ俺持つ」

「でも残念だ。電話番号訊いておくんだった」狙ってたのか、こいつ。

 言い訳を述べ、服を借りていく了解を取った。屋敷を出て坂を下っていく。その中程で誠が口を開いた。

「あの人、ドアの外にいたよ」

「え……?」

「もう一人いて、隣の部屋に入ったよ。……役に立った?」

「あ、ああ勿論」

 だが、だとすれば彼は父の亡骸を前に一体何をしていたのだろうか。



 ラキスが大広間へ戻ると、思いがけない人物に出会った。“黄の星”首都、シャバムにある“シャバム新聞社”社員、ヤシェ・トルク嬢が煙草を銜えて柱に凭れていた。嬢と言っても今年で二十五だが。

「あんた、身体に悪いぜ」

「やだねぇ。こいつはただのシガーレットチョコ。体力勝負のこの世界、健康に気を遣うのは当たり前だろ?」

「ああ、全くだ」

 ヤシェは三年前に入社し、その後の目覚しい活躍から“疾風のトルク”の異名を持つ敏腕記者だ。

「ところでフォナーの旦那、殿下はいないみたいだねぇ。何だかつまらないパーティーだよ。私としちゃ張り合いがない」

 彼女は初対面からエルシェンカを“殿下”、ラキスを“旦那”と呼ぶ。

「俺だってそうさ。ま、明日には帰ってくるってさ」

「そりゃ良かった。殿下がこのヤマを放っておくはずないからねぇ。で、旦那はまたパシリだろ?」

「ま、その通り。それで」

 ラキスは傍に誰もいないことを確認した。

「どこまで掴んでいる?」

「連続失踪事件……いや、殿下ならこう言うかねぇ。“『人魚』連続失踪事件”、とか」

 驚きを隠せない。まさか、そこまで知っていようとは。

「あんた、そいつを誰かに話したのか?」

「記事にもしてないんだ、ネタをばらす阿呆はいないよ。

でもま、簡単な推測だねぇ。本家は三十年ぐらい前、一度大きな事業で失敗している。その時親類縁者から大金を借りたって話だ。丁度その頃、プルーブルー周辺では奇妙な噂が立ち始めた。

コンシュ家は漁船を使って人魚を獲っている、ってねぇ。当時は自然保護団体とか騒いでたけど、結局立ち消えになって……これも噂だけど金で揉み消したらしいじゃないか。世の中にゃ悪どいことする奴がいるんだねぇ」

 チョコの包みを屑籠に投げ入れる。

「そして三十年後、静かに事件は起き始めた。親類どもが次々謎の失踪を遂げ、ついにコンシュ家は本家を残して滅亡した。人魚の呪いか、はたまた遺産の奪い合いか、第三者の復讐劇か」

「それだけで一ネタ書けるじゃねえか」

「噂は噂。動かぬ証拠が無けりゃただの三文記事。名誉毀損で訴えられるよ」

「確かに。で、俺にそれをせびりに来たって訳かい?」

「半分は、ねぇ。そろそろ原稿始めないとマズいし。

ま、殿下に関して言えば殆ど諦めてるよ。旦那にも緘口令敷いてるんだろう?ただ……親類“以外”も消えてるんだよねぇ。それもこの街で、原因不明」

 ヤシェは手帳を開ける。

「今日の時点で十二人。何れも死体は上がらず、共通点は夜出歩いてたって事だけ。老若男女関係無し。……どう思ってるんだい?」

「別件……とは思っていないみたいだぜエルは。これ以上は俺の口からは何とも」

「ふうん。警察が街のアンダーグラウンドを捜索しても何も出なかったらしいし、こりゃホントに呪いかもねぇ」

 顎をしゃくりながらヤシェは、「ところで」と言った。

「殿下は別のヤマに行ってるんだろ。さてさて、このヤマ以上に楽しい事なのかねぇ。帰ってきたら是非拝聴したいものだ」

 クックッ、独特の笑い声を立てる。

「そうだ旦那。早めにフィクス姉弟を呼んどいた方がいいんじゃない。あの弱弱医者と、気の強い“第七”のお兄さん」

「どうして?」

「屋敷を一周してきたけど、いないよ。あのデブ」



 ジュースを買ってくる、とウィルが商店街に行って五分が経つ。

 噴水の淵に腰掛け、周りを歩く人を眺めている。休日の昼時なので食事をする家族連れが多い。

 子供がキャキャッ、と声を上げて走って行った。その後ろをお父さんとお母さんがついていく。

 誠には分からない事が多い。言葉はたどたどしく、初対面の人間には知恵遅れのように見える。本人は気付いてもいないが、容貌と相俟ってひどく保護欲をそそられる。

 その一番の被害者は言わずもがなである。


 ドタドタドタッ。


「?」

 誠の目の前に走ってくるのは、恐竜だ。口がガバッと開いている。

「坊ちゃん坊ちゃん!」

 恐竜が喋った。口は開けっ放しなのにどうやって声が出たのだろう。

「っ、あんた薬いるか!?」紅い液体の入った薬瓶を取り出し言う。

「は、はい……お金は無いけど……お料理なら持ってます」

「よっしゃ、コレ飲み!……おーしおし!サービスや、まいどありぃっ!」


 ドタドタドタッ……。


 恐竜は小瓶と紙袋をさっと回収して、来た方とは反対側へ駆けていった。

 身体が少し温かくなったかな、と思っていた時。ビシッとした服を着た態度の怖い男、要するに警察官が一人噴水の前に来た。

「おい、そこで座っているお前!この辺りに怪しい着ぐるみが来ただろう!」

「え、あ、あの……」

「庇うとお前も署に引き摺っていくぞ!さあ、早く吐け!!」

 高圧的な物謂れの中、どうしたら説明できるというのか。

「こんな往来で何やってんだい、警官」

 南の道からキャリアウーマン風の女がこちらに歩いてきた。とは言っても、彼はそんな言葉は知らない。やけにキビキビした感じのお姉さん、という印象だ。

「女、公務執行妨害だぞ。お前も逮捕してやる!」

「はっ!ポリ公風情が粋がってんじゃねぇよ。弱者しか相手に出来ない腰抜けめ、とっとと失せな」

 突然現れたその女は万年筆を警官に突き出して威嚇した。

「坊や逃げな」

「小僧、逃げるなよ」

 休憩していただけなのにいきなり割り込んできて、一体人にどうしろというのか。

「あれ、誠君?」

 またもや誰か来た。黄色のシャツと薄青色のスラックスを履いた娘だ。

「あ、リーズ」

「どうしたの?この人達は?」不穏な空気を感じ取り、眉を僅かに顰めて小声で尋ねた。

「ええと……分からない。リーズはどうしてここに?」

「お兄ちゃんの手伝い。って言っても缶ジュース買ってくるぐらいだけど」

「かんじゅーす……?」

「えっとね、手の指をいっぱいに伸ばしたぐらいの円柱形で、周りに中身の説明が書いてあって……」身振り手振りで懇切丁寧に教えてくれる。

「……パヤリース」リーズの三十センチ上を見て言った。

「えっ?」


 ドカッ!


「ギャッ!」

 警察官の顔面に缶が命中した。

「な、何だ!?」混乱した警官は三百六十度にわたり不審者の確認をした。

「何やってんだよオッサン!」

 ウィルが走ってきた。缶は一本しか持っていない。

「いててて……今のはお前か、顔に似合わず暴力者だな」

「サツが民間人虐めてるようにしか見えないんだよ。オバサン、あんたはどっちだ?」

「まだ二十代なんだけど……とりあえず味方かな」

「オーケー。さて、とっととお帰り願おうか警察官さん?」

 拳をバキバキ、と鳴らせる。どうしてそんな事をするんだろう?

「ま、待て。そこのガキ、本当に知らないのか?確かにここを通ったはずだ。見落とすような着ぐるみではなかったぞ」

「し……知らない」

「本人がこう言っているんだ。早く帰れ」

「お、お前のような若造に指図されるいわれはないっ!私は“蒼の星”警察巡査部長……」

「それ以上ガタガタ言ってると聖族どもを呼ぶぞ!!」

「は……?」

 警官は唖然としていたが、あっという間に顔が蒼褪めた。

「分かったら失せな」

「お……覚えていろ!」

 男は悔しそうに何度もこちらを振り返りながら去っていった。

「………ああ、やっと行ったな。大丈夫か?」

「うん。あの……ありがとう」

 そう言うと、彼の頬が少し赤くなった。

「別に……これぐらいは当然さ」

 その時、女の人が口を開いた。

「カッコいいお兄さん、あんた何者だい?」

「さぁ?俺はしがない一民間人――」

「セイゾクのウィルさんです」

 彼が驚いた顔で自分を見た。

「え……っと、違った?」

「いや……ちゃんと合ってるよ」

「……ウィル、って“運命”の純聖ウィルベルクかい?“あの”」

 誰からも知られているなんて、すごく有名なんだ。

「あんたこそ、自己紹介ぐらいしてもいいんじゃないか。人の素性だけ知っているのは不公平だ」不機嫌そうに言う。どうしてだろう?

「あ、ああ。そうだねぇ、はい」

 渡された名刺には“シャバム新聞社 ヤシェ・トルク”と印刷されていた。

「……ブンヤかよ、よりによって。ツイてねえな」

「別に書き立てたりしないよ。……そうだ、弟殿下が何処にいるか知らないかい?」

「それなら――」船が留まっている港の方を指差そうとした。

「まーくん、行くぞ」

「え、でも」教えてあげないと。

「お嬢ちゃんも、ほら」

「う、うん……」

 背中を押され、強制的に早足で歩かさせられる。

 しばらくして三人は足を止めた。広場はもう遠い。

「……よかった、の?」困っているように見えたけれど。

「記者は信用できない。あんま近寄らない方がいい」

「置いてけぼりとは酷いじゃないか」


 パシャッ!


 三人が振り返ると同時の閃光。カメラを構えたヤシェさんがにやり、と笑った。

「いいねぇ。コレクションに加える価値充分だ。ありがと、お三人さん」

 そのままくるり、と後ろを向いて颯爽と去っていった。

「………あ、ポーズすればよかったね」

「感想それだけかよ」

 ポケットに手を入れてみると、おや何か出てきた。二枚の紙片、チケットだ。着替える時、ドレスに入っていたのを持ってきていた。幸い血は一滴も付いていない。

「あ、それお兄ちゃんの所のチケットだ!え、え?二人共見に来てくれたの!?うわーっ、嬉しいなあ!!」

「いや俺は……ってこれ、クリーミオのライブだと!?冗談じゃねえ、誰がそんなモン見るか!」

「チケット頂戴……はいオッケー。さあさあお客様、会場はこちらですよ。ほら急いで急いで!いい席無くなっちゃうよ!!」

「リーズ案内してくれるの?ありがとう」

 興味津々で彼女について歩き出した。



――さて、まだまだ二曲目が終わった所。これからさらに盛り上がっていこう――

 三人は観客席の後ろの方、一メートルほど隆起している芝生に腰を下ろしていた。最初は前の方に案内されたのだが、誠の具合を鑑みれば長時間の起立は危険であろう、と判断してここに場所を移してもらった。

 客の尋常でない熱狂振りには舌を巻いたが、グループがしばらく休止すると聞いて納得した。ボーカルのケルフ・オーキス、つまりリーズの義兄、俺の義息がソロでデビューする事が原因らしい。

 義息と言っても、孤児院の外で倒れていた奴を運んだだけなのだが本人は未だに覚えている。ちっとは他の事も覚えておけってんだ。

「今の歌、とても良かったね」

「ああ……そうかな」

「ウィルさん、ロックバンド嫌いなの?」

「……あいつの歌を何で俺が聞く必要がある?」

 関わりたくない、誰とも。なのに。

「ウィル。あの……ごめんなさい。今からでも外で待ってていいよ、嫌いなら無理しないで」

 どうしてそんな顔をするんだ。

「え……あ、いや……いいんだよ」

 嫌だと言えなくなってしまうじゃないか。

「え……?」

 関わってしまうだろう?

「いいんだって、俺は。このままここにいる」

 恥ずかしくなって人だかりの中央に目線を向ける。早くも三曲目が始まろうとしていた。

「ウィルさんって、素直じゃないです」

 ボソリ、と少女が呟いた。

「誠君が心配なだけでしょう。一言でも言った方が勝ちですよ、正直に」

 心配………?そう……だろう、か。

「子供の言う事ですけど、バカにしないで。私半分幽族だから、感情の機微とか敏感なんです」

 娘は微笑した。

「……ああ、分かったよ」

「本当に?」

「あいつの歌、聴かなくていいのか?」

「え?わあっ、もう始まってる!」慌てて口を閉ざす少女。やっぱりまだ子供だ。

 三曲目は唯一のバラード、“お前を呼ぶ声を上げた”だ。観客は静かに聴き惚れている。


――はぐれたお前を探して路地を彷徨い

                    千回目の曲がり角で強く抱き締めた――


 義息ながら何て臆面も無く物を書くんだ。

 曲の終盤に差し掛かった頃、突然少女が立ち上がった。

「……ごめんなさい、ちょっと行かなきゃ。すぐ戻るから」

 言った途端ふっ、と姿が消える。幽族の特殊能力の一つで、精神の世界に入ってこちらの別空間に現れる、つまり“瞬間転移”だ。

 いぶかしんでいると、今度は誠が立ち上がった。

「席を外すから、待ってて」

「ちょ……どこへ?」

「あの……建物の辺り。厭な……氣がある、リーズはそれを消しに行った。手伝ってくる」

 指差すなり、どこに体力が残っているのか走っていく。この辺りは客もまばらですぐに人海を抜けた。

「待てよ!」

 


 コンクリートの地面は惨裂されていた、歩くにも困難な程に。

「私の言う事がきけないの!?」

 私は悲痛な声で訴えた。

「早く戻りなさい!」

 オリーブの葉を模した水晶が先端にある杖をかざし、相手を威嚇する。

 黒い翼。この世のものとは思えぬ奇怪なフォルム。手足には鋭い鍵爪があり、その威力は周りの惨状から実証済みだ。天に静止しこちらを睨み、ギィギィと不快音を発す。化け物は今にも降下してきそうだった。

 完全なる悪魔形態。もう、ここまで進んでいるなんて――。

「リーズ!」

 誰かが駆け寄ってくる。この状況で最悪の人。

「来ちゃダメ!!」

 遅かった。声に反応したのか、化け物は一直線に誠君へと降りてくる。速過ぎる、とても避けられない―――!


「天破っ!!」


 風が化け物だけを薙ぎ払う。奴は空中で体勢を素早く整え、新たな相手と対峙する。

「無茶するな。ここは俺とリーズで何とかする、まーくんは安全な場所に避難していろ」

 ウィルさんが構えているのはまだ新しい鉄パイプ。その辺から拝借してきたようだ。

 化け物は上空へ舞い上がり、今度は私の方へ降りてくる。充分引き付けて一瞬で転移し、巧く敵の背後を取った。

「水よ!!」

 背骨を狙い圧力を伴う水球を数個発生させ、思い切り叩きつける。


 ギャギャア!


 ところが……化け物は無傷で立ち上がった。

(力が……こいつと私じゃ“想い”が違う。……勝てない、勝てないよ)

相手の皮膚は非常に硬く、パイプや水では傷一つ付けられない。次第に私達は疲弊していった。

「くそっ、あれはどっから出てきやがったんだ!?」

「っ!誠君、こっち来ないで!?」

 彼は制止を聞かず私達の間に走ってきた。上がった息を戻しながら、青白い顔で必死の精神集中を始める。まさか、彼は昨日のように奇跡を使うつもりか。

(あ……想いが……私の中の何かが生き返ってくる)

 安らぎとは違う。もっと能動的な力が身体中に満ちる。

 氣術は数十秒で終わった。敵はまだ空中で静止している。

 大丈夫。今なら、やれる。

「ウィルさん、風を。後は私がします」

「分かった。まーくん、少し下がっていろ。すぐ済みそうだ」

 化け物の急降下。私は両手に水球を、背中に水柱を呼んだ。

「天破!!」

 武器を振り下ろしたと同時に、先程より数段強い衝撃波が生まれる。


 ギャアアッ!


 叩きつけられた化け物、翼の一部がちぎれ飛んでいる、を一瞥し、

「さよなら」

 両の水球で胸、水柱で頭を粉砕した。


 ギャアアアアアアアアアアゥッッ!!!!


 断末魔の悲鳴を上げ、黒い霧となって虚空に掻き消えた。



「いよっ、功労一等君!さあ乾杯の音頭をどうぞ!」

 ステージ衣装から普通の服に着替えた若者、ケルフ・オーキスが陽気に言った。

「こおろう、いっとおくん…ですか?」

「そうそう。さ、グラスを上にして―――」

 テーブルの真上に皆が手持ちのグラスを掲げた。

「か、乾杯」


 チン。チーン。チーーン。


 ライブの後、連れ立って訪れたファーストフード店は、狭いためか俺達以外客はいない。カウンターの向こうでマスターが一人注文の品を作っている。

 見事にバラバラな飲み物を啜りながら、差し障りの無い経緯を説明する。

「……と、そういう訳だよ」レモンティーを置く俺。

 ミルクを持った誠が何度も不思議そうな顔をしているのに気付いたのか、

「どうしたの、誠君?」アイスコーヒーを啜っていたリーズが尋ねる。

「……お屋敷の事……あの、死んだ人とか……言わなくて、いいの?」

「えっ、義父さん?何だよ、それ?」

 すかさずコーラ片手にケルフが突っ込んでくる。だからお前はいつまで経ってもモテないんだ。

「まーくん。しぃーっ」人差し指を口元に立てる。

「え、えっ?」反射的に胸の前で手を組む。

「ほら、お前らも協力しろ。しぃーっ」

 兄妹は、特にケルフは唖然として俺の言動を見ている。

「義父さん……………あ、そうか。そういう事か。分かった」

 妙にニタリ、と笑うのに対し妹が「お兄ちゃん、別の方」訂正させる。理解して悪戯っぽく笑い、

「あ、ああ。誠、しぃーっ。な?」

「しぃーっ、だよ?」

「……しぃーっ?うん、分かった」頷き、ミルクを一口飲んで微笑んだ。

「でも何をしぃーっ、するんだ?」

「お屋敷で死んだ人の事だよ」

「ああ、そっか」

 おいおい、普通に話すなよ二人共。

 追加注文はまだ当分来ないようだ。コンロに火が点かないらしい。マスターがガスの元栓を開け閉めしている。

「それにしても、ホント助かった。お客さん達に被害が出なくて何よりだよ。

改めて、ありがとう。義父さん、誠、それにリーズ」

「私は当然の事をしたまでだから。ありがとうウィルさん、誠君」

 むず痒いような感覚を覚え、「ああ」と苦笑いを浮かべる。俺本人は巻き込まれただけ、後を追いかけてそのまま事に当たっただけだ。それに結局、何故突然悪魔が出現したのかは分からずじまいだった。

「ありがとう、助かったよ」

「え、あ、ああ」

 ぶっきらぼうな答えが口から飛び出した。しまった。

「あ……いや俺は、そのだ……とても感謝している、ありがとう。奇跡が無かったら……そ、そうじゃない。お前とリーズがいなかったら、どうなってたか分かんない。あの悪魔強そうだったし……だから、本当皆無事で良かったよ」

 しどろもどろに、どうにかそう告げる。

「うん、そうだね」

 隣では兄妹が笑いを噛み殺している。

 ようやく火が点いたらしく、肉の焦げるいい匂いが漂ってきた。

「ところであの奇跡は?昨日のとは違う、よな」

「巧く説明出来ないけど……さっきのは人の元々の氣を高めて、昨日のは乱れた氣を治したの」

「二つも使えるのか。凄いな」

 コーラの二杯目を注文するケルフを妹が軽く嗜める。

「お兄ちゃん、太るわよ」

「おおこわ……はいはい、おっさん取り消し!やっぱ水にして」

 水を持ってきた店主がカウンターに帰った時、ドアが開いた。


 カランカラン。


「失礼するぞ、店主」

 入ってきたのはさっき見知ったばかりの不機嫌顔。

「お前、何やってる?」

「ああ、暇人のウィルベルク殿。ハチャ氏を知らないか?屋敷中を捜索しているが一向に見つからず、こうして街の中で聞き込みをしている」

「死体にでもなってるんじゃないか?」

「そうかもしれんが口を慎め。責任は誰が取ると思って……」

「なら、早いトコ犯人捕まえろよ。自分らが無関係な事証明したいならな」

 ん?“そうかもしれん”だって?

「シャーゼ。お前、あのオッサンが殺される覚え、あるのか?」

「捜査中だ」

 ようやく他の三人が目に入ったらしく、「彼らは?」と問うた。簡単に紹介する。

「学生と、音楽家と、病人か。あと一つ、アンサブ嬢の行方を知らないか?事情聴取したいのだが」

「……さあ、適当に帰っちまったよ。どこの貴族か分からなかったのか?」

「アンサブ家という家柄は“蒼の星”には存在しない。れっきとした偽名と確認されている」

 奴は続けた。

「彼女は重要参考人だ。氏が失踪したと思われる時間帯、隣の部屋で休んでいた。何らかの事情を知っている可能性は非常に、高い」

 知っているもへったくれもない。今ここにいる。

「つまり、お前とアンサブ嬢に訊けば何があったか分かるわけだ。お前が知らないなら、アンサブ嬢に訊くしかない」

 加えて、と彼は言った。

「どうもコンシュ家の人々は平然とし過ぎている。娘など暢気に林檎を剥いて、鼻歌まで歌っている始末」

「家庭内の犯行じゃないのか、それ」

「いくらなんでもそれは。なぜ今日の理由が?こんな日に危険を冒すなんて愚の骨頂だ」

 シャーゼは訳が分からないという表情をした。

「私は“第七種”絡みだと考えている。あくまでも私見だが、人間どもに問い詰めて下手にこちらの立場が悪くなるより、“第七”の犯行だった方が円満な解決になる気がするな」

「“第七”って、不死族のことか?」

「他に何がある?」

「確かに。不死どもの仕業なら、考えられない話じゃない。連中は高度な技術を持ってると聞く」人一人消す事ぐらい訳無いだろう。

「そうだ。奴らは時折表の世界に姿を現し、騒ぎを起こす」

 その犠牲者を、たまたま誠が見てしまった。繊細な心に深い傷を作った――。

「不死なんか……全部滅びればいいんだ」

 そこまで生にしがみ付いて欲しい物は何だ?お前らは所詮過去の亡霊だ。俺と同じ生ける屍。この世から抹消されるべき存在。

 ではこれで。彼は一方的に別れを告げて出て行った。




 カランカラン。


 入ってきたのは二メートルを超える中年の男と、それより頭一つ分低い二十歳過ぎの女だ。両方とも、手には多くの荷物を抱えている。

「あ……アイザ。四さんも、どうしたの?」

「ちょっと一服。食料買い過ぎてね。ああ、重かった。

それより誠、そこの人達は……って、見たら大体分かるけど」

 二人は隣のテーブルに着き、大量の紙袋を余った椅子に乗せた。

「昼食しようか、四。マスター、ソーダと緑茶一つ。ダブルバーガー二つ……やっぱ三つお願い」四の指を見ながら注文をする。

 水が出てくると、アイザは一気に飲み干した。

「アイザと、言ったか」

「うん。アイザ・ストック、年は二十四。“白の星”天宝商店の社員だよ。同じくこっちは四 理」

「……………」

 四は無言のまま微かに口元を綻ばせた。彼流の挨拶のようだ。

「俺はウィル、よろしく」

「よろしく頼むよ。……で、誠は船に帰るところかい?あのモヤシ野郎、心配はしてなかったけど」

「うん。ええと、両さんとオリオールは?」

「アタシらが出てきた時は帰ってなかったよ。ま、屋敷は広いしね。両はドジだけど逃げ足だけは速いし、弟君は強い。気を揉むことないよ、揉んでもしょうがない」

 はい、と手を上げたのはリーズだ。

「そこの女の子、どうぞ」

「リーズ・ビトス。十四歳学生です、アイザさん」

「ちなみに俺はケルフ・オーキスだぞ」

「うん、リーズにケルフ。どうかした?」

「さっきから皆物騒な事ばかり言うけど、何か事件が?例えば……殺人とか」

「あ……ああ、リーズ。大した事じゃないんだ」

「そう?」

「そうそう」

 充分大事になっている。

「そうかなぁ……?」

 近い内にバレるな。これは。

「誠君、お屋敷の人が殺されたの?」

「うん」

 あっさりバレた。

「さっきの人が探してたハチャさん?」

「……しぃーっ」

「駄目かー」

 けたけた笑う兄妹。

「あ、バーガー来た」

 湯気の立つ包みが六つ、ソーダと緑茶がプラスチックのトレイで運ばれる。

「美味しそう……あれ、ウィルは食べないの?」

「ああ……お、俺の分も来た」

 続けて来たフルーツソーダパフェを受け取る。上には生クリーム、コーンのトッピング。

「義父さん、相変わらずの甘味中毒」

「放っとけ」

「……綺麗……」

 泡の立ち昇る不可思議なグリーンの液体。その中をフワフワ浮き沈みするパイナップルや白桃、チェリーにミカン。妖精が飛ぶのにも似て不規則だった。

 見つめる青年の顔は未知を見る好奇心で一杯になっていた。

「と・お・さ・ん。食べないのかよ?」

 からかいを含んだ声にはっ、とする。皆手を止めてこちらを見ている。

 美しい物に魅せられていた誠が顔を上げた。

「……あ、ごめんなさい。ええと、ハンバーガー食べるんだよね」

「あ、ああ」

 俺を除く全員が温かいそれに齧りつく。釈然としないまま、ストローでソーダを飲む。

「まーくん、気分悪いのか?」

 一口目を食べ、数回の咀嚼の後に口を抑えた誠。今にも吐きそうだ。

 長身の男が素早く立ち上がる。青年の手を引き、奥の手洗いへと連れて行った。

 しばらくして四と、まだ蒼い顔の誠が席に戻ってきた。四はハンバーガーの間の肉を指差した。両手で大きなバツ印を作る。

「食べられないってことか?」

 コクコク、と大男が頷いた。

「臭い……気持ち悪い……」

「誠、パンは大丈夫そう?他に注文しようか?」

「多分……平気。水……」

「ああ、ほら」

 口に流し込み、冷たさでようやく落ち着いたらしい。

「肉は俺が責任持って処理するからさ…………これでいいだろ」

「お兄ちゃん。今自分のピクルス移動させなかった?ほら、戻して戻して」

 渋々胡瓜の酢漬けを回収するケルフ。

「ごめんね誠君。……大体お兄ちゃん、好き嫌い多過ぎなのよ。茄子でしょ、キウイでしょ、人参にセロリ。いっつも残してるもの。いい年になって、恥ずかしくないの?」

「分かった、もう充分。これからは努力します」

「頑張ってね。何日保つのかしら」

「それを言うなって。皆聞いてるだろ」

「聞いてるから言うんじゃない」

 兄妹のやりとりを横目で見つつ、俺はスプーンでパイナップルを一つ掬った。

「まーくん……ほら、口開けて」

 素直に開けられた口内に滑り込ませる。三、四回噛んでこくっ、と飲み込んだ。

「甘酸っぱくて……とっても美味しい」

 可愛い。

「もう一つ……あ、そうだ。いっそパフェ半分こしよう、な?」

「え……でも」

「それならパンも半分にすれば?」アイザが提案する。

「うん。………はい」バーガーの上半分が渡された。

「サンキュー」



「で、散々時間を潰してきたと言う訳かい?」

 結局、兄達が船に到着したのは午後四時だった。

 三人の談を纏めるに、店を出た後連れ立って観光をしていた、という事らしい。兄妹とは宿の前で別れ、明日の朝二人が帰る前にもう一度会う約束をしたそうだ。

「まあ……いいか。それで、何か楽しい事あった?誠」

 彼は急に振られながらも動揺しつつ話す。

「う、うん。“ぼーと”に皆で乗って、近くの島を一周してきた。キラキラ光る魚が沢山飛んでて…飛んでない魚も沢山いたけど。“ぼーと”に乗ってるとね、ふわふわしてるんだよ」

「飛ぶ魚は“ムスリム”って種類さ、冷蔵庫にある。ボートの影に反応するから、近くにいくと飛ばない。捕まえられるからね」

「物知りなんだ、エル。すごいなぁ」

「僕は何度かここに来ているんだ。機会があればもっと他の事、教えてあげようか?」

「うん」

「ところで釣りはしなかったの?惜しいなあ、今頃は結構釣れるんだよ。誠みたいに初心者でもね」

「そうなの?」

「ああ。宝氏が甲板でやってるよ」

 丁度その時、好々爺がブリッジに姿を現した。赤い疑似餌の付いた竹の竿を持っている。

「はっはっはっ、大漁大漁。五匹も釣れたわい」

「宝爺。じゃ今夜は魚料理だね!?」大女が目を輝かせて尋ねる。

「うんにゃ。釣れたのは小指ぐらいの奴ばっかりじゃ。素揚げにして酒のツマミだわい」

「なあんだ、つまんないの」

 本当に残念げに言うアイザ。食い意地が張っている。

「ところで、この若いのは誰じゃの?」

「ああ、それが件の兄だ」

「ほうほう。エルシェンカ殿によく似ておる」

「「似ていない!!!」」

 二重の否定。

「そ、そうかの。済まん」

「僕らは二卵性双生児です。多少は似ていても仕方ありませんが、よくは似ていません」

 僕は軽く咳払いをした。

「大体、兄上。僕が誠を連れて来てくれ、と一言でも言ったのか?そんな指示をした覚えはないけど。おまけにあんたまで一緒とは。誠、迷惑掛けなかったかい?この馬鹿兄貴」

「てめぇがまーくんを屋敷に行かせたからだろ」

「僕はただパーティーを楽しんできなさい、と言ったんだ。容疑者でも手荒い扱いされるとは限らない、ずっといても別に良かったんだ」

「あ、あんな状況で居座れる訳ないだろ!下手しなくても殺人犯だぞ。捕まって拷問にでも掛けられたら死んじまうぞ!!お前は外道畜生か!?」

「それじゃ訊くけど、どうして最初に案内したんだよ?コンシュ家の兄弟がいただろうに」

「当たり前だろ。他人ばっかの所に放り出されて……可哀相だと思ったんだよ」

 あっはっはっは。可笑しくてしょうがない。

「な、何だよ!?」

「いや……これが笑わずにいられないよ。ひっひっひ……あー可笑しい!」

 結局五分程は笑いが収まらなかった。




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