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序章
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私が十五の齢になったとき、母から別れを告げられた。
大人になったばかりの若い獣は群れを離れて狩りを始める。それは当然の摂理だ。
私たちは人の国を捨て自然に生きることを定めた一族だから。
――我らの宝を見つけるための手業はすべて教えたからね。首尾よく盗み仰せたら、また私たちのところへ帰っておいで。
荒野の分かれ道で母は餞別にそう言った。遥か昔から数多の流民や商隊や軍隊が踏みしめてきたこの大道は、どんな新天地につながっているのだろう。
恐れはない。母と一族の女たちに手を振って、私は西へと出発した。一族の使命を果たすために。
この世に金銀財宝は様々あれど、私たちが求めるのはただ一つ。太古の龍が地底に遺した、硬く、美しく、尊いもの――
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