太陽を探し求めて
何もない真っ白な世界で
誰かが僕の名前を呼ぶ
微かな声に耳を澄まして
声のする方に歩みを進める
手探りで
見えない壁を伝っていく
見えたのは後ろ姿
彼が振り返る
パチリと合った目は
冷ややかだった
真冬の外で食べるアイスとか
半袖半パンで雪に突っ込むとか
そんな例えがしたくなるくらい
冷たい空気を帯びていた
「どうしたの」
僕の問いに
彼は静かに笑った
右手を空に向かって伸ばす
何かを掴むようにぐっと握る
空を切っただけだった
「探し物をしているんだ。」
彼は何処か遠くを見ていた
目の前には
ただ白い世界が広がるだけ
こんな世界で何を探しているのか
「きっと、見つけられないんだ。」
諦めたような笑いを含んだ声色は
さっきの冷たい目によく似合っていた
氷のような眼差しの
ずっと奥は真っ黒で
この世界とは相反している
「いったい、何を探しているの。」
ふっと
彼は上を見つめた
僕もつられて空を見上げる
青空も夜空も何もない
雲が世界を覆い尽くしたように
ただただ真っ白な世界が広がっていた
「太陽だよ。」
発された言葉には不似合いな冷たい声
彼はまた静かに笑っていた
「私は太陽を裏切ってしまった。
そして遠くへ行ってしまったから、
もう見つけることはできないんだ。」
胸に手を当てて
眠りにつくように瞼を閉じた
何処へ行ってしまったんだ
帰ってきておくれよ
私のせいだと怒鳴ってくれたって
怒りはしないから
どうか、戻ってきておくれよ
言葉を届ける気はないのか
小さな声で呟いて目を開けた
彼の目はまた白一面の世界を見つめた
「いつから此処で?」
答えようともせずに
彼は息を吸って吐いた
ゆっくりともう一度繰り返す
冬の日のように
白い息は出なかった
「君はぎゅっと掴んで離してはいけないよ。
一度切れてしまった糸は、
テープや糊なんかじゃくっつかないんだから。」
ぐらり
白い世界が眩む
睡魔に襲われて
目を瞑る前に見たのは
彼の氷のように冷たい瞳だった
気がつけば
カーテンから光が覗いていた
もう朝だ
どうやら新しい今日が始まったようだ
なんだか
不思議な夢を見ていた気がする
内容ははっきり覚えていない
モヤモヤした胸に
違和感を抱きながら
僕はカーテンを開けて
すぐそこに佇んでいる太陽の眩しさに
思わず手を翳した
ご覧いただきありがとうございました。
太陽を手放さないで。
誰かに届きますように。




