表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
23/229

第10話「これからも“秘密の夫婦”で――社長と新入社員、愛とキャリアの未来」


 


春。

陽翔が「株式会社ルクシア」に入社してから、1年が経った。


街路樹には若葉が芽吹き、

通勤電車には真新しいスーツに身を包んだ新入社員たちが揺られている。


その空気に触れるたび、陽翔はあの日の自分を思い出す。

――雨の夜、偶然の出会い。

そして、交際0日での“極秘婚”。


今でも、夢を見ていたように感じる。


けれど隣にいる彼女の笑顔を見るたび、それは現実だったのだと実感する。


 



「今日ね、新入社員へのオリエンテーションで社長講話を頼まれちゃったの」

結衣は朝食の席で言った。


陽翔はコーヒーを飲みながら微笑む。


「結衣さんの話、誰よりも説得力ありますよ。実績も……人としても」


「……ふふ、ありがとう。けど“あなたの夫”が言うと、ちょっと身内びいきに聞こえるわね」


そう言いながらも、結衣の表情にはどこか照れが滲んでいた。


 


朝食を終え、いつも通り別々のタイミングで出社。


「社内では他人」

それが1年間守り続けた“秘密の夫婦生活”の鉄則だった。


エレベーターの中、偶然一緒になっても、会話はしない。

社内ですれ違っても、目を合わせない。

仕事中の連絡は、業務メールか必要最低限の社内チャットのみ。


だけど、それでも――


陽翔は結衣の気配を、声を、言葉の端々からいつも感じていた。


 



その日、社長講話の場で――


結衣は新入社員を前に、こんな言葉を贈った。


「どんな仕事も、誰かの人生と繋がっています。

大切なのは、“誰のために”という視点を忘れないこと。

そして、誰かを守る責任を持ったとき、あなた自身も強くなれます。」


その言葉を、陽翔は一歩後ろから聞いていた。


誰よりも近くで、誰よりも遠くから。


「――あの人を守れる男になりたい」


そう、あの日と同じ気持ちが、胸の奥に強く灯っていた。


 



数日後――


ある資料提出を理由に、陽翔は再び社長室へと呼ばれた。


秘書・橘理沙がそっとドアを開けると、そこには私服姿の結衣。


「今日、早く上がってもいい日でしょ? せっかくだから、少し外で歩かない?」


「……はい。行きたいです」


ふたりは社用車に乗らず、あえて歩いて会社を出た。

休日のように少しカジュアルな服装で、都心の公園を並んで歩く。


すれ違う人は、ただの恋人にしか見えなかった。


 



「ねえ、陽翔」


「はい?」


「来年、もし昇進したら……その時は、結婚式、しようか。

“正式な夫婦”として、周りに祝福される形で」


陽翔は一瞬、驚いたように目を見開いたが――すぐに笑った。


「……俺、頑張ります。もっともっと、“あなたの夫”として、胸を張れるように」


「ふふ……じゃあ、その時はドレス選びから、付き合ってもらおうかしら」


 



夜。


社長室に戻り、結衣がそっとカーテンを閉める。


そして、陽翔の手を取り、静かに囁いた。


「ここに戻ると、ようやく私は“妻”に戻れるの」


「ここが、俺たちの“家”ですから」


ふたりの唇が重なる。


昼間は遠いふりをしていたふたりが、

夜には誰よりも近くにいる。


その繰り返しが、ふたりの“日常”だった。


 


――こうして、新入社員と女社長の“極秘の夫婦生活”は、2年目へと続いていく。


秘密を守ることは、愛を守ること。

誰にも言えない絆が、ふたりを確かにつなぎ続けていた。




最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ