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大切な記憶

今回は、恋愛ものに手を出してみました。ww

最近のマイブームが恋愛ものなので、うまく書けてたらいいのですが...私はとても心配です。

これからも応援してくださる方どうか見守っていただきたいです。

 そよ風が僕の頬をかすめる。目の前には、一人の女の子がいる。何かを話しているようだったが、声がうまく聞き取れない。気が付くとけたたましいサイレンとともに、僕の体が少し宙へ浮く感覚に包まれた。周囲に駆け寄ってきた救急隊員が僕をどこかに運ぼうとしている。――事故に遭ったのだと悟った瞬間、意識は闇に沈んだ。

 もうどれだけ眠ったのだろう。

 目が覚めると知らない天井が広がっていた。周囲を囲うように青色のカーテンが閉まっている。僕の体には、いろいろなコードが繋がれていた。起き上がろうとしたが、全身が痛みを訴え、ゆっくり動くことしかできない。

 (ここは……病院?)

 戸惑っていると、カーテンがゆっくりと開き、看護師さんらしき女性が入ってきた。僕に目を向けると、目を見開き、驚いた様子どこかへ走り去ってしまった。

 「騒がしいなぁ……」

 一息ついて、再び体を横たえる。

 数分後、勢いよく病室のドアが開き、大きな音に僕は驚いた。複数の足音が近づいてくる。やがて、ベッドのカーテンが勢いよく開かれ、さっきの看護師と、白衣を着た年配の男性――おそらく院長――が現れた。

「君、自分の名前はわかるか?」

「……」

 答えようとしたが、言葉が出ない。

 本当に思い出せないのだ。名前も、何もかも。

 院長は、状況を説明してくれた。交差点でトラックに轢かれたこと。命は助かったものの、意識が戻らず、一週間がたっていたこと――。

 僕は、頭が真っ白になり、その場に立ち尽くした。

 そのとき、また足音が聞こえ、二人の大人がカーテンの向こうから現れた。僕を見るなり、膝から崩れ落ちて泣き出した。どうやら、僕の両親らしい。

 院長は声をかけると、看護師と共に病室を出ていった。両親は僕のそばに来て、自分たちの名前を告げ、僕に語り掛けてくれた。けれど僕は何も思い出せなかった。

 一週間後、精密検査の結果、退院が決まった。両親の車で家に戻ると、部屋やトイレの場所を案内され、そのあと、僕は自室へと通された。

 (……汚いな)

 そう思いながら、30分ほどかけて部屋を掃除した。やっと片付いたところで、ベッドに腰を下ろし、一息つく。ふと、本棚に目をやると、本と本の間から紙切れがのぞいているのを見つけた。

 取り出して広げると、こう書かれていた。


 


 「僕がやるべき5つのこと」

 僕は不思議に思い、紙を裏返した。そこにはこのように書かれていた。

 最終目標:あの場所にもう一度集合すること。

 1、成人する。

 2、一人暮らしをする。

 3、自分の夢をかなえる。

 4、収入を得る。

 5、あの場所に二人で集まる。

 (……なんだこれ)

 僕は、不思議な気持ちで紙を眺めていると、机の上に置かれていたスマホが震えた。スマホを手に取り、画面を見る。誰かからメッセージが来ていた。だが、誰なのか、全く思い出せない。

 ひとまずスマホを置き、夕飯を済ませ、22時に就寝する。夢の中でまたあの少女が現れた。

 でも今日は、顔の半分――口より上が黒く塗りつぶされていて見えない。

 「忘れないで……」

 とても悲しげな声が、耳に残った。

 目を覚ますと、涙が頬を伝っていた。

(……わからない)

 あの少女は誰なのだろう。何を伝えたいのだろう。僕は、紙をもう一度見直したが、やはり何も思い出せなかった。

 深呼吸をしてから、階段を下りる。キッチンでは、母が朝食の準備をしてくれていた。

 「ごちそうさまでした」

 朝食を済ませ、制服に着替え、通学の準備をする。数分後、玄関を出ると、家の前には僕と同じ制服を着た男子が立っていた。スマホ片手に、こちらに手を振ってくる。

 そのとき、リビングから母が出てきて、その彼に何かを説明していた。事情を聞いたらしく、少し戸惑ったような表情を浮かべ、僕のほうを見てこう言った。

 「俺、烏丸 勇太(からすま ゆうた)。近所に住んでて、高校からの友達なんだ」

 友達らしい。でも、僕には記憶がない。申し訳なさと、胸の痛みがこみ上げる。

 勇太の表情は優しかったが、どこか寂しげにも見えた。家を出て、二人で学校へ向かう。道中、何人かの生徒が僕に挨拶をしてくれる。

 「おはようございます」

 ぎこちなく返すと、相手はやはり不思議そうな表情を浮かべる。勇太が事情を説明したのかすぐに納得したようだった。

 記憶を失って初めての学校生活。どこか落ち着かず、時間が早く過ぎたように感じた。

 放課後、勇太がトイレに行くと言って教室を出ていった。僕は帰宅の準備を始めようと席を立った。そのとき、ふいに背後から声をかけられた。

 「篠無くん、記憶がなくなったって本当?」

 驚いて振り返ると、真剣な眼差しでこちらを見つめる女の子がいた。

 「……うん」

 小さな声でそう答えると、彼女はショックを受けたようにうつむき、そのまま教室を出て行ってしまった。

(あの子は……誰?)

 何か僕と関係があったのかもしれない。けれど、どうしても思い出せなかった。

 ほどなくして勇太が戻り、僕たちは帰ることにした。道中、他愛もない話をしながら歩いた。

 家に着くと、玄関の中は静まり返っていた。少し薄暗く、いつもなら迎えてくれる母の姿がなかった。まだ帰っていないようだ。

 僕は、自室に戻り、ベッドにダイブしてスマホを開く。通知が一件。勇太からのメッセージだった。

 「今週末一緒に遊ばないか?」

 予定もなかったので、「OK」のスタンプを返した。

 そして数日が過ぎ、週末。インターホンの音で目が覚める。ドアを開けると、勇太が立っていた。

「おじゃましまーす」

 彼は格闘ゲームを持ってきていて、僕たちはリビングでゲームを始めた。キャラクターセレクト画面で適当なキャラを選んだが、なぜか体になじむ。

 試合が始まると、自然にコンボが決まり次々と技が出る。結果は圧勝だった。

 「まじかよ……今回は勝てると思ったのに。体が覚えてんのかよ」

 悔しそうな勇太の言葉に、僕は少し笑った。

(体が覚えてることも、あるんだな)

 そのまま、日が暮れるまでゲームを続けた。

 勇太が帰る時間になり、玄関まで見送ろうとしたとき、家の電話が鳴った。

 「……はい、篠無です」

 受話器の向こうから、低い声が聞こえる。

 「もしもし、警察です。篠無さんのお宅でお間違いないでしょうか?」

 「……はい」

 胸騒ぎがした。

 「……お母様が交通事故に遭われました。現在、近くの病院に搬送されています。」

 膝から崩れ落ちた。勇太が僕の顔を心配そうにのぞき込んでいる。

 「命に別状はありませんので、安心してください」

 ……現実は、まだ僕を試しているようだった。

今回は、恋愛ものに手を出してみました。ww

最近のマイブームが恋愛漫画なので、うまく書けてたらいいのですが...私はとても心配です。

これからも応援してくださる方どうか見守っていただきたいです。

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