あなたが好きです。
ガーランド城に戻って来た私たちです。
今ニルスはリチャード医師立ち会いで、占い師から術の完全な解除を受けている。
大臣は形式上の手厚い尋問を受けているけど、手厚い形式上なので疑い真っ黒のまま、しばらくしてからお帰り頂く予定。…ルーク様談。
ルーク様とアラン様は忙しそうにしている。…ので、私は応接室で大人しくふてくされてますよ。
ガーランド城で仲良くなったメイドのエイラさんとお茶していると、
「待たせたね。プリシラ」
ルーク様と関係者一同(大臣抜き)がドヤドヤと戻って来た。
天使のような笑顔のニルス王子が眩しい。
「ニルス様治ったのですね」
ニルスは私の元に走り寄り、私の両手を取るとキラキラの瞳で、
「あぁ、プリシラ。心配かけて済まなかったね。僕はもう大丈夫だから、一緒に国に帰ろう。実は、国から迎えが来ていてね」
ルークの目つきが変わった。
ニルス王子はルークを横目で見て、ニヤリと笑いながら、
「ルーク王子、これは挨拶ですよ」
(男どもめ…)
私は、気分を取り直して聞いた。
「どういう事なのか説明して」
そう、私だけなーんにも知らなかったなんて…。
…事が嫌なの。
ルークは問われるまま話し始めた。
「ニルス王子が大臣邸に行くと言いに来た時に、俺達の同行も警備も断られてね…」
ニルス王子は私の目を見ながら、
「僕のプライドだよ。どうしても自分で解決したくて、だけどルーク王子の迎えに来てくれるという申し出と、何があるか分からないから用心した方がいい。という…あの本の鎧はありがたく受け入れたんだ」
(…いや…ルーク様?本の鎧ってさ、…武器庫に何かあったんじゃないの?)
私の考えを見抜いたのか…ルーク様が、
「ニルス王子の体型に合う鎧はないんだよ…」
(ああ、なるほど…)
リチャード医師が笑顔で(話しを先に進めるために)教えてくれた。
「ジャック(占い師の本名)は的確に術を解いてくれましたよ。そして、普通の人間なら未だに夢遊病状態のはずなのに、この年齢で、素晴らし精神力です。とニルス王子をべた褒めでした」
キラキラ瞳のニルス天使は、
「僕は、支配されている頭の中で…ずっとプリシラの事を考えていたんだよ。プリシラのために絶対に負けないって…」
引きつる私。
(あ、…うん…そう…なんだ?)
「コホン」と咳払いをするルーク様。
ルークを見てからニルスは続けた。
「だけどね、プリシラ。…それと同時に考えていたんだよ。ルーク王子とプリシラを見ていて…、僕ではルーク王子に追いつけないし(身長とか)、太刀打ちできない何かがある(年齢)って…さ。だから、10年後にもう1度迎えに来るよ。その時にルーク王子と結婚していても構わない。10年後は僕は20才で、ルーク王子は…。だから僕は絶対に勝てる!」
ニルス王子の話しを呆気に取られながら聞いている私から、ルークがニルス王子を引き離した。
「ニルス王子、あまり長いお話しをされているとお体に悪いですよ」
ニルス王子はニヤニヤしながら、
「ヤキモチもストレスになりますよ。プリシラ…僕は昔も今も未来も…ずっと貴女が好きだから。じゃあ、この辺でプリシラまたね!」
ニルス王子は堂々と、トーマスさんは何度も会釈をしてから退室して行った。
「嵐のようだったな…」
呟くルークに笑うしかない私。