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あなたが好き…です。

「プリシラを離せ」

 静かに叫ぶルーク。

 大臣はわざと驚いたように言った。

「これは、これはルーク王子殿。ニルス王子に傷をつけられたとお伺いしましたが?」


「ルーク王子」の言葉に、ニルスは気分が悪そうに床に突っ伏してしまった。


「オズワルド大臣、こんな事をしてただで済むと思っておいでなのか?」

 ルークは、まっすぐに大臣を見た。

 大臣は、薄ら笑いで、

「おぉ、ルーク王子は、プリシラ姫をお助けしたいと?でしたら、娘のソフィアを正妃にして下さる。とお約束して頂きましょう。それならば、今すぐにプリシラ姫もニルス王子もこの場で解放いたしますよ。いかがなさいますか?全てはルーク王子様のお心ひとつでございますよ」

「それは…」

「最初から娘を正妃にしてくださっていれば、こんな事にはならなかったのですよ」

 大臣は、勝ち誇ったように笑いだした。

 

 (ちょっと…これは…ヤバい)

 プリシラは自分のために、こちら側の全てが不利になっている事に凄く強く緊張した。

 握りしめた両手が痛い。


「ふふふ。お嬢さん、怖いですよね?」

 

 私の首を締め上げている男が耳元で囁いた。

 喋るな。…気持ち悪いわ!


「あの時のお礼ですよ。殴られた頭にコブができてね…まだ痛いんですよね…」

「あの時…」

 男は興奮したのか、息づかいが粗くなってきている。

 だから、気持ち悪いんだってば!!

 臭いし!


「お忘れですか?お嬢さんのお部屋で…、ですよ。また遊びに行ってもいいですか?仲良くしましょう」


 あん?

 そう…私は…覚えていた。


 背後から私を羽交い締めにしているこの男の…、たとえ顔が見えなくてもこの男の、まとわりつつくような…このうさん臭っい匂いを!


 私にはわかる…。

「ルーク、この人!家に入って来た泥棒よ」


 ルークは私を見てから、大臣の方を見て、

「どういう…事ですか?大臣は牢から逃げた強盗をかくまっていたと?」

 大臣は楽しそうに言った。

「いいえ。そのような…、誤解されては困ります。私も今、初めて聞いた事です。まったく、恐ろしい事です」

「それならば、大臣あなたの客人にプリシラから手を離すように言ってもらえますか?」

 大臣は笑うのをやめて、

「先程も申し上げた通り、娘のソフィアの正妃のお約束を。そちらが先ですな」


 動けない私と、動くわけにいかないルークとアレン。


 体調が悪そうに息づかいが粗く蠢いて蠢いて(うごめ)いるニルス。

 ニルスだけでも休ませてあげなきゃ…。

 

 

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