あなたが好き…です。
翌朝、ガーランド城ルークの執務室のドアをプリシラが思い切りよく開けた。
「ルーク!大変!ニルスがいないわ!」
何か話をしていたルークとアレンが振り向く。
「おはよう、プリシラ」
「プリシラ姫、相変わらず元気がいいね」
「2人共…何を呑気な事言っているのよ。ニルスもトーマスさんもどこにもいないのよ。…、…!もしかして、アローゼに帰したの?それともホテルに帰ったの?」
ルークが静かに首を振って言った。
「国にもホテルにも帰してないよ。プリシラに黙ってそんな事はしない」
「それなら…どこにいるの?」
2人は顔を見合わせて、ルークは優しい口調で言った。
「プリシラ大丈夫だよ。これから迎えに行って来るから、ここで待っていてほしい」
「プリシラ姫、少しお留守番していてね」
優しく微笑む2人にプリシラは、
「いやよ!連れ戻しに行くんでしょう?それなら、はい!そうですか。なん-て大人しく待っていられるわけないわ」
(そうよ!仲間外れなんて絶対!許さないんだから)
ルークの表情が変わった。
「プリシラ、危険な事もあるかも知れないんだ。君は巻き込めない。城で大人しく待っていてほしい」
「絶対について行く。前は連れて行ってくれたじゃないの」
「あの時とは訳が違うんだ。もし、プリシラに何かあったら…俺は生きていけない」
プリシラの髪を優しく撫でるルークの両手。
その両手首をしっかりと握るプリシラ。
「ルークは、私を必ず守ってくれるんでしょう?約束したわ」
アレンが諦め顔で、
「ルーク…ダメみたいだよ。プリシラ姫、では一緒に参りましょう」
「さすがアレン様、話が早いわ。…で、私たちは、どこに行くの?」
ガーランド城を出た馬車の中でルークは(プリシラに問い詰められて…)仕方なく、朝起きた事を話し始めた。
朝食前にニルスがルークの私室を訪れて、自分がこの状態でいる事は両国関係に支障をきたす。だから、元凶に術を解除させるためにオズワルド邸に、あの占い師に会いに行く。と告げに来た事を。
プリシラは驚いて、
「どうして?…ルーク、止めなかったの?」
「止めた。だけどね、全然言う事聞かない。それなら一緒に行くと言えば、これは自分の不甲斐なさが招いた失態だから自分で解決するって引かないから、馬車の馭者と従者に衛兵をつける事は認めさせて送り出し…内緒で後を追う事にしたんだ」
馬車は静かにオズワルド邸の前に停まった。