あなたが好き…で
歩き出した3人はマスクをかけた。
不思議そうなプリシラにルークは、
「俺達は顔を知られているからね、変装だよ」
「隊長、了解です」
アレンが続けて、
「さぁ、プリシラ姫。チビ王子の護衛に参りましょうか?」
「護衛ですか?了解です。副隊長」
「宴会場を目指せ!」
プリシラ達の少し前にオズワルド家に入ったニルスは、大臣達と晩餐の席についていた。ニルスの向かい側には、ソフィア姫が座わり微笑んでいて、その横には昨日の占い師も席についていた。
(…昨日の占い師も席にいるな…、なんだか…そこだけ禍々しいぞ)
その頃の3人は、…迷子になっていた…。
「ルーク隊長…、宴会場はどこでしょうか?」
「いい質問だアレン副隊長。その辺で聞いて行こう」
「2人とも~ちゃんとして下さいよ」
晩餐の席に出てくる料理はとても美味しい物だった。
だけどニルスは、今日1日緊張していたせいなのか、こちらの国に来てからの疲れなのか、とても眠くなってきていた。
「あら?ニルス王子様?お疲れなのかしら?」
美しいソフィア姫が微笑んでいる。
「体調がお悪いのですか?」
タヌキ大臣め。
「いえ。料理の美味しさに酔ったようです」
(座っているのが…辛い)
「ほ…う。それは良かった。料理長も喜びますよ」
プリシラ達は調理場で使用人達にニルスのいる場所を聞いていた。
「このケーキ美味しい!」
喜ぶプリシラにコックの1人が、
「こっちの焼き菓子も美味しいよ。今日のお客様にもお出しする予定なんだよ」
お菓子をつまんでいたルークが、
「俺達、そのお客様の護衛なんだけどハグレてしまって困っていたんですよ。場所教えてもらっていいですか?」
「ドジな人達だな~。いいよ」
人の良いコックにアレンとルークが微笑んで、プリシラはお菓子を包んでもらって微笑んでいた。
晩餐の席のニルスは目を開けているのが精一杯で、話の内容なんか頭に入ってきていなくて、タヌキ大臣が、
「ニルス王子に相談がございまして、お恥ずかしい話ではあります。いえ、これは誰が悪いと言う訳ではない話であります」
ニルスは朦朧とする頭で、
(もったいぶるな。タヌキ…何の話なんだよ)
プリシラ達は、途中で使用人に場所の確認をしながら、3人並んでズンズンと進んで行く。