初見6
「おまえは優しさってものがないのか…」
ふてくされるルーク。
「アホか、優しいからこうやって慰めてるんじゃないか。それより、支度しなくていいのか?夜は晩餐会だろう早くしろ」
「出ない…」
「バカか、第一王子がそんな事言っていられるか。ほら早く支度しろ」
促されるままに支度を終えて、心が抜け殻のまま晩餐会では、誰もが関心するほどに立派な第一王子を演じて見せた。
(俺は偉い)
晩餐会のあとは、舞踏会…らしい。
まったく興味も関心もない。忘れられない苺姫の残存を消したくて酒を煽っていた。
「あっちにソフィア姫がいたぞ。挨拶しに行かなくていいのか?怒らせるとあとが怖いぞ」
アレンが小声で聞く。
「ちっ…」
舌打ちが出てしまう。ソフィア姫が嫌いなのではない、好きになれないだけだ。それなのに、周りはくっつけようとしてくる。
「ソフィア姫、ご機嫌いかがですか?」
「ルーク様。1曲踊って頂きたくてお探ししていましたのよ」
微笑むソフィア姫。
(なんか…無理)
「ソフィア姫に探して頂けるなんて光栄です」
「お口がお上手ですわね」
曲に合わせて踊りの輪の中に入る2人。
(まったく、酔ってなきゃやってられないと思うよ)