逢いたくて…。
応接室で私達はテーブルを囲んだ。
座ってすぐに、向かいに座るニルス様がチラチラとこちらを見ながら、
「ちょっと待て、どうしてプリシラの隣にルーク王子が座っているんですか」
確かに、母と兄が2人で座り、私とルーク様も2人で座り、ニルス様は1人でソファに座っている。
トーマスはニルス様の後ろに控えていた。
「いや、それは…」
(歩いて来た順です!) とか、思ったけど、面倒くさいから黙っている事にした。
(…それに、…私は…ここがいい…)
って、思いながらルーク様を見上げた。
私の視線に気づいたルーク様も微笑む。
「僕のプリシラを見るな!」
叫ぶニルス様…、いや、ニルス。
ルーク様が微笑みながら、
「さっきから気になっていたんだけど…、僕のプリシラって、どういう意味かな?」
「そのままの意味だよ」
ニヤリとニルス。
「プリシラ…?」
こっちを見るルーク様、目…が笑ってないですよ。
「プリシラは恥ずかしいみたいだから、僕が説明してあげるよ」
(何故…上から目線なん?)
「お願い致します。ニルス様…」
「うん。いいだろう…」
(いや…、ルーク様。煽らないで下さい)
「あれは、3年前だ。僕の7才の誕生日に運命的に、そう、僕達は出逢ったんだ…」
「はぁ…7才…」
…と、ルーク様。
「うん。城でおこなわれた僕の誕生会に、プリシラは、僕の目の前に女神のように現れて、僕に愛の印のついた誓いの書と、僕にとっての福音の言葉をくれたんだ」
と、どこか…遠くを見ながら語っている。
多分、思い出の海で想像の船に乗り、妄想の島影でも見ているんだろう。
ニルスは続けた。
「そして、僕達は花畑で愛を誓い合った。プリシラは、僕が捧げた愛と血判のついた薔薇の花束を受け取ってくれたんだ。…もう、これで充分だろう?」
ルーク様は、一瞬ポカンとした後に、私を見ながら、
「えーと、本当?」
私は曖昧に…苦笑いしながら小さく首を振った。
それをニルスが見とがめて、
「プリシラ?どうしたの?みんないるから恥ずかしがっているんだね?それとも、僕と逢えなくて寂しかったの?大丈夫だよ。もう離れないから…」
ルーク様が俯いて…怒っている?
いや、違う…。ルーク様、肩震わせて笑っているわぁ。