初見5
太陽も応援してくれているみたいに輝いている。
街に出るとすぐ花束を買った。女性に最初に贈る物は花束に決まっている。
けど、まぁ…ドン引きされても困るから、小さな花束にした。
そこのところは心得ている…つもりだ。
広場で大きく十字に区画割りされた店たちの角を曲がると…苺店が…あって…?
苺店はあったが、苺姫の姿はなかった。
「あの、シーラは今日は休みですか?」
中に座る2人が顔を見合わてから、
「私たち、ここの仕事は今日からなんですよ、前の人の事はわからないんです。ごめんなさいね」
なんて応えたか覚えていない…。
あーとか、ううぅんとか、そのあとに、
「そう…ですか」って。
太陽がね、ズドンと落ちたと思った。
真っ暗で、何も聞こえなくて、体を支えている足が重くてよく動かない。
華やぐ街を1人だけ葬送曲を奏でながら城に戻った。
ルークの部屋の前で、ルークの両親の国王夫妻とアレンが部屋の様子を伺っていた。
「昼食も食べずに部屋に閉じこもっているから心配で…」
王妃は心配そうに呟く。
「まぁ、子どもじゃないしな。腹でも壊しているんだろう。書類がたまっているからあとは任せた」
国王陛下は執務室に戻って行った。
「もう、男って役にたたないんだから。息子が心配じゃないのかしら。ねぇ、アレン?」
「忙しいから仕方ないですよ。俺が聞いてきますから」
「お願いするわね」
アレンは部屋に入ると、ソファでボンヤリしているルークに、
「彼女から、いい返事もらえなかったのか?」