バケーション。
初夏の日差しが眩しい朝がきた。
小鳥のさえずりと、騒がしいウエラの声とドアが外れそうに開く音で飛び起きた。
(敵かっ!?)
「プリシラ!!あぁ、無事で良かった」
「ルーク様。…おはようございます…」
ルークは、小走りでベッドの横に行くと、
「プリシラが襲われた。と寝起きに聞いて、いても立ってもいらなくなって様子を見に来たんだ。本当に無事で良かった」
と、プリシラの右手を両手で包んだ。
「ルーク様…」
(私も寝起きです…)
「ルーク様…」
「ルーク!様は付けない約束だろう?」
(朝の7時から…なんか…キラキラですね…)
「ルーク…(照)。お仕事は大丈夫なんですか?」
「あぁ、すぐに城に戻る。プリシラの無事な顔も見れたし」
(プリシラ。プリシラ。会いたかった!会えて嬉しい。あっ、そうだ…)
「プリシラは…犬は好きかな?」
「えっ?好きです…けど?」
(急に、…ワンコがどうした?)
ルークはプリシラを見つめながら、
「本当は、(是非ね)安全な城で暮らしてほしいけど、結婚前の同居は色々と…、醜聞に繋がるとまずいと思って…、護衛と番犬の手配をしたよ。もう来るはず…」
(ワンコじゃなくて、番犬ですか…)
ドアのノック音と、従者のルークを呼ぶ声がした。
「じゃあ仕方ないから城に戻るけど、プリシラ、明日は会えるのを楽しみにしてるから」
(明日まで会えないのか…。いや、明日になれば、ゆっくり会えるんだ。頑張ろう)
来た時とは違い、ルーク様は爽やかに出て行った。
夜中の騒ぎのあとに、警察が帰ってベッドに入ったのは3時を過ぎていた。
眠らなきゃと思っても、暗闇の中で、背中に纏わり付いている「狙われた」という恐怖に緊張して、中々眠れなかった。
あれは、泥棒なんかじゃない。
偶然に私の部屋に入ったんじゃない。
あいつは、私を狙って来た…。(女の勘よ)