お茶会。
すっかり人気者になった兄様は、お茶会のお客様達にアローゼ国の名物、名所の売り込みを楽しそうにしている。
私とソフィア姫は囲み取材を受けている兄様を遠目に見ながら、テーブルでお茶をしている。
めちゃくちゃ…気まずい。
「お兄様はすっかり人気者ですのね?」
「はぁ…、そうですね…」
(私、お貴族様の友達いないから会話の繋げかたがわからない…)
友達がいないのには理由がある。
そう、社交界はデビューしただけ。
茶会も夜会も、色々あって断っているうちに、…誰も誘ってくれなくなっていた。
(困ったものだ…)
「プリシラ様、実は…お聞きしたい事がありますの」
「私にですか?」
ソフィア姫は頷いたあと、
「ルーク様の事です」
(私にですか…?)
「私、ルーク様とはお会いしたばかりなので、…お答えできるか分かりませんけど…」
ソフィア姫は少しためらったあとに、
「プリシラ様とルーク様は、どのようなご関係なのでしょうか?ルーク様がプリシラ様にご執心との噂が聞こえてきましたの」
(どこからの風の噂だ…)
「そう…ですか?どなたからの噂かは存じませんけど…違うと思います」
(思われ…ます…)
頭の中に広がった優しいルーク様の笑顔が眩しくて、そっと視線を落とした。
「じゃあ、プリシラ様とルーク様は、そういう関係ではないのですね?」
(私に聞かないで…)
曖昧に笑うしかなかった。ヘタに答えられないもの…。
「ソフィア様、。どうして、そんな事を私に?お2人は恋人と前にお聞きしましたけど?」
(私に、そう言ってましたよね?)
「誰でも、自分の想い人が他の女性と仲良くしてると噂を聞けば、答えを探したくなるものです」
ソフィア姫は、キリっとこちらを見て、
「お願いがあります。もう、ルーク様に会わないでほしいの」




