バケーション。
和やかに進む世間話も終わりに近づくとルーク様は、
「お兄様のジュリアン殿にお願いがあります。大臣家のお茶会の事です。この国で初めて行くお茶会に、プリシラ姫1人で行くのは気の毒と思っています。私がついて行ければ良いのですが、所用でついて行けません。そこで、お茶会への同行をお願いしたくて…」
兄のジュリアンは、一瞬驚いたが、
「望むところです」
(何を…望んでいる?)
ルーク様は微笑みながら、
「ありがとうございます。心強いです」
私は不安でしか…ないです。
お話しも終わり、ルーク様を馬車寄せまで見送って行くと、
「明日は街へ遊びにいきましょう。朝10時に迎えに来ますから、待っていて下さい。」
「はい」と、私。
笑顔でルーク様は馬車に乗り込み、夕暮れの中を帰って行った。
「明日は街でデートなの?」
「兄様、デートじゃないわよ。付き添いよ」
「はい。そうですか…?」
次の日の朝、約束通りの10時にルーク様は家まで迎えに来てくれた。
今日の私は、母様とウエラの2人が選んでくれた赤い小花模様のドレスと、赤いリボンのボンネット。
私は…、街に行くんだから、もっとアクティブに動けそうな服にしたかったけれど…、あの2人に「買い出しじゃないから」と、却下された…。(まあ、そうだよね…)
玄関にいたルーク様の前に行くと、ルーク様は照れたように…微笑んでくれた。
こっちまで照れくさくなるから…やめて。