バケーション。
次の日、晴れた青空をバックに、お父様の乗った馬車が故郷を目指して帰って行った。
お父様…、帰れるのね。羨ましいです。
そして、何故かお城に毎日行く事になっていた(?)私は、昼食後の昼寝をしたがっている瞼に気合いを入れて、素敵なお部屋でルーク様とお茶をしていた。
ルークは思う。
目の前にいるプリシラ姫は極上に可愛い。
それだけで、今日1日生きていける。
この世にある物全てに感謝だ。
「プリシラ姫。今日はこれから、城を案内しますね」
(プリシラ姫の城にもなるわけだから…。カチっと頑張って案内だ)
「はい…」
(ルーク様。私は、方向音痴だから案内されても覚えられません。ごめんなさい…)
2人が廊下を歩いていると2人に向かい、歩いて来る人物がいる。
かっぷくのいい中年の男性だ。
「オズワルド大臣…」
オズワルド大臣と呼ばれた男性は、プリシラとルークを交互に見ながら、
「これはルーク様。今、お訪ねしようとしていたところでした。そちらの姫君はどなたでしょう?ご紹介しては頂けないでしょうか?」
プリシラのうさん臭センサーが『警戒しなさい』と、反応する。
『うさん臭センサーとは、うさん臭い人や腹黒い人に会うと、頭の中や全身をゾワゾワさせるプリシラの特別なセンサー』
緊張している私を見てルーク様が、
「こちらは、アローゼ国のエドモンド卿の2番目のご息女のプリシラ姫です」
プリシラはお辞儀をしながら、
「初めまして、プリシラと申します」
(におうわ。うさん臭が…。)
そして、微笑んだ。
「この方が…。娘が大変に可愛いらしい姫君だったと言ってましたが、なる程その通りですね。今度、私の屋敷にも遊びにいらっしゃいませんか?娘も喜びましょう。では、失礼致します」
そう言って、大臣は通り過ぎて行った。
「どなたですか?」
(ルーク様、今の誰?娘って誰?)
ルーク様はため息ついて、
「ソフィア姫の父親だよ…」
(しかし、何の用だったんだ…?)
見上げるルーク様の、こんな顔初めて見た。