被ってる猫が重い…8
ガーランド王国のエドモンド卿の私邸。
朝の恒例行事でプリシラを起こすウエラ。
「姫様。プリシラ姫様、朝ですよ。起きて下さい。何時だと思っているんですか」
プリシラは、ベットの中からチラリと時計を見ると、9時過ぎだった。
花火が終わって、帰って来たのは11時過ぎてたし、お風呂入って寝たのは1時だったんだよ!
(まだ…早いよ…)
「眠い…。もう少し…」
「ダメです。早く起きて来て下さい。ルーク王子からお手紙が届いていますよ」
飛び起きた…。
応接室に行くと、テーブルの上には赤いバラの花束と手紙が置いてあった。
「なんて…書いてあるんですか?」
腰が引けて手紙に近づけない。
テーブルの上の手紙が負のオーラを発光しているみたいに見える。
「プリシラ宛てだからね、見てないよ」
冷静なお父様。
恐る恐る手紙を受け取る。
「先ほど、王室の方が持って来て下さった」
(王室人は、なんて早起きで働き者なの…)
ペーパーナイフで紋章付きの封を開ける。
いつもの手紙は、ビリビリ破いて中身を出すけど、さすがに畏れ多くて、刃物を使っての手紙の封印解除式だ。
そして…、震える手で、美しい文字で綴られた書面を目で追う。
緊張のあまり、口から心臓が飛び出してしまいそうになっている。
「プリシラ、なんて書いてあるんだ?」
いつでも冷静なお父様…。
手紙には…。
「明日、お芝居を観に行きましょう。って…」
「…なんだ…デートのお誘いか。良かった…」
慌てるお父様を見たのは久しぶりだ。
いや待て、お父様。何の手紙と思った?
「何の手紙と思ったんですか?」
「ルーク様にあの事が知れてしまったのかと…」
(あの事か…)
「プリシラ、あの事は心配しないでいい。私に任せておきなさい」
「…お父様」
(任せましたよ)




