初見3
ルークは台車を押しながら、呆れ顔のアレンとお祭り騒ぎの広場を歩いていた。
「城の料理長が多すぎて使い道に困っていた苺ってルークが買って来てたのか?」
「おう。アレンも昨日美味しそうに食べていただろう?」
ニコニコ嬉しそうなルークにアレンはため息がちに、
「どんな形でもいいから、上手くいくといいな」
「いくって。形は、ハッピーエンドだろう?」
次の日(出会ってから4日目)は、ルークには朝から公務がビッシリと詰まっていて街に苺を買いに行く暇がなかった。
顔を一目見たくて凄く焦っていた。
公務の間のルークは、思い詰めた表情だったりボンヤリしていたりと、心ここに在らずが周りにバレバレだった。
公務が終わり、夕焼けに包まれた広場に行ってみると苺店は後片付けをしていて、
「ごめんなさい。苺は売り切れてしまって」
苺姫が微笑んだ。
もしかしたら、今日は逢えないと思ってここに走って来た…。
正直…、苺なんてどうでもよかった。
人々のざわめきの中、楽団が奏でる音楽が風に乗って聞こえてくる。
人々は楽しげに踊りの渦を作り出す。
夕陽に輝く苺姫が美しくて、つい、
「あの、一緒に踊って下さい」
言ってしまってから激しく後悔した。
苺姫が俯いてしまったから。