被ってる猫が重い…5
どこまでも続く夜空から、ポンポンと色とりどりの光りの花の雫がこぼれてくる。
ベンチで、私の横に座るルーク様の横顔もチカチカと七色に光っていて…綺麗だね…。
…?
(…ちょっと待て。今の私、何を思った?)
「どうかしましたか?」
ルーク様は、のぞき込むように見つめてくる。
「いいえ。何も…ないです」
(うわぁ-! その顔やめて! 綺麗過ぎて心臓もたないでしょう)
ルーク様は飲んでいたワインをテーブルに置くと、思いつめた目つきになって
「プリシラ様は、俺…のこと嫌いですか?」
(…?)
「いいえ…」
(嫌いではないです。…けど…、なんで?)
「良かった。いえ。なら、結婚を前提にお付き合いして下さい。あっ、結婚とか言うと重いですね。将来を見据えてのお付き合いを考えてもらえませんか?」
(いや…、ルーク様…それは同じ意味じゃないのかい?)
「あっ、でも…それは…」
(結婚なんて重いわ。嫌だ)
ルーク様は、ちょっとためらってから、
「もちろん。すぐには答えられないと思うので、1ヶ月の間…俺のお試しをして下さい」
「お試し…?」
「この国で、1ヶ月です。お付き合いして下さい。1ヶ月試してみて…ダメなら諦めます。でも、(結婚前提)好きになってもいいって思ったら…」
「はぁ…」
「1ヶ月後にもう一度同じ事を聞きます。その時に答えて下さい」
「…」
(断ったら…死刑とか、国交断絶とかなのか?)
「ルーク様。あのぅ…私1人では決められませんので、父に相談してみてからでもよろしいでしょうか?」
「もちろんです。良いお返事をお待ちしております」
(なんで、私なのよぉ~!『悩困悩』)
夜空にバンバンと打ち上がる大輪の花火。
ニコニコ照れ笑いのルーク様。
…引きつる私。
ジュース旨い。