被ってる猫が重い…4
木曜日、花火の日になった。
ウエラは、朝から私の顔や体のお手入れを入念にしていた。
「ウエラ…。いくらお手入れしてもね、誰も私なんか見てないわよ…」
「何を言っているんですか?花火よりも花になるくらいの気持ちがなくてどうするんですか?」
(花になって…飛び散れと?)
夜になって、ウエラに着付けられた私とお父様は花火を観るためだけにお城に向かった。(まったく、やれやれなことだわ…)
城には、何組かの花火見物客が招待されていて、どこの誰かわからない豪華な衣装達と挨拶を交わしながらバルコニーがある広間に案内された。
広間には国王夫妻と王族達が待ち構えていた。(ルーク様の顔しかわからないな…)
社交挨拶を交わすお父様の後ろで愛想笑いを浮かべている…(これが私の役目)と、思って笑っていたらルーク様が寄って来て、
「もうすぐ花火の時間になります。バルコニーに出た方が良く見えるので行きませか?」
(これは、…お誘いなのか?…)
お父様をチラ見したら、ニコニコしている。それは…行けって…ことですか?
心の中でため息ついてから…微笑んでから、
「はい…ルーク様」
広いバルコニーから見える夜空にはまばらな星くず達が光り、空の下の街には家々の灯りがどこまでも見渡せた。
「プリシラ姫…」
「…はい?」
の…後から、大きな音と共に一斉に大きな光りの花が空に咲き始めた。
「なんですか?」
「いえ…あとで」
花火…凄いわ。