猫被り姫と幸福な王子6
「ルーク様とソフィア様は恋人ではないのですか?」
「そんな事をどなたに聞いたんですか?」
微笑むアレン。
「ソフィア様が…」
クスクスと笑い出したアレンに、プリシラは困ったように、
「違うんですか?だって、ソフィア様は…」
「ルークは、なんて言ってましたか?」
「特には、何も言ってませんでした…。違うのでしたら、ソフィア様はどうしてそんなことを私に言ったのでしょう?」
アレンは笑いながら、
「どうしてなんでしょうね」
プリシラは「はぁ…」と、答えるしかなかった。
(…この国では、思わせぶりな言動が多すぎ!はっきりしてよね!)
と、思いながらも…微笑み返した。
10分ほどしてルークが戻って来て、
「アレン、ありがとう」
アレンも頷きながら、柱の陰に戻って行った。
「プリシラ姫は花火はお好きですか?」
「花火…ですか?好きです…けど?」
(花火?花火?打ち上げるのかな?)
ルークは、少しほっとしたように、
「良かった。木曜日の建国祭最終日に花火を上げる事になってます。城から観て頂きたくて、エドモンド卿に許可を頂いてきました。もちろん、エドモンド卿もご一緒なのでご安心下さい」
(えっ…?)
城からの帰りの馬車の中、
「お父様、どういう事?帰国は延ばしたの?アローゼの仕事は大丈夫なの?」
「プリシラは…花火は嫌いか?」
「嫌いじゃないけど…?」
「それならいいじゃないか。向こうでの仕事はなんとかなるしな…」
お父様はいつものように穏やかだ。
疑問がある。
「お父様…。ルーク様は私と一緒にいたのに、何故、花火の事をお父様に先に言いに行ったの?」
「それは、私達は国賓で来てるだろう?国賓の滞在を延ばすには国王の許可が必要だし、こちら側の都合もある。国と国の交渉になるわけだ。だから、プリシラに先に言うわけにいかなかった。と、いう事だと思うよ」
(あっ、なるほど…。そういう事…)
「それと、月曜日の昼食会にプリシラも一緒に招待されたからね。そのつもりで…」
「私も…ですか?」
お父様が満面に微笑んだ。
笑顔が…不気味だ。