猫被り姫と幸福な王子3
(足が痛い。足が痛い。足・が・痛・い・!)
ルーク様…、私…踊るの疲れました。
もう、3曲目ですよ~。これって、なんて言えば終われるのかな?途中でやめていいものなのかな?王子様とのダンスを途中退場したら死刑とかになるかな…?
ルーク様に失礼にならずにやめるには…、
プリシラは、ルークに顔を近づけて、
「あのルーク様、大変に言いにくい事なのですが、私…おトイレに行きたくなりました…」
ルークはハッとした表情になって、
「これは、気づかずに失礼しました。ご案内いたしましょう」
「いいえ。1人で大丈夫ですわ。殿方とご一緒に行くのは恥ずかしいので…では、」
プリシラはゆっくりと、ルークの手を離して一目散にホールを駆け抜けた。
ホールの外に出ると、壁に寄りかかって
「本当にもう、足痛いよ。休んでからお父様に合流しようっと。その前に…おトイレ行って来よう~♪」
ホールの扉の近くにいるルークにアレンが近づいて、
「ルーク、プリシラ姫は?」
「今、トイレに行っている。それより…アレン。踊っている時の俺…おかしくなかったか?」
アレンは、いつもおかしいだろうと思ったけれど、
「おかしくはなかった…けど。どうして?」
「プリシラ姫の手を握って、腰に回している俺の手が…別の生き物みたいで、自分の手なのに凄く羨ましくなっていたら、プリシラ姫が俺の顔の近くで囁くんだ…」
「あぁ…?なんて?」
「トイレ行きたいって。…気づいてやれなかった。…俺のバカ野郎…」
アレン(そう…ですか…)
ルークとアレン。幼なじみの2人が壁に寄りかかり、見のない無駄話を続けていると、廊下の奥か人影が歩いて来るのが見えた。
廊下の突き当たりはトイレなので、
「ルーク、お姫様じゃないのか?」
人影は2人で、片方はプリシラで2人目の人影はソフィア姫だった。