猫被り姫と幸福な王子2
広場で踊っている時にダンスが上手だな。って思ったのは間違いじゃなかった。
…王子様ならダンスが上手で当たり前…。
「ルーク様は、王子様だったのですね…」
「プリシラ様も姫君だったんですね?」
「私達は…お互い様でした…わね?」
ルークは、冷静そうに会話をしながら、
(プリシラ姫が…今、プリシラ姫が俺の名前を呼んでくれた…)
息がかかる近さで微笑むプリシラ姫の顔が可愛いすぎて、繋ぎ合う手と彼女の腰に回す自分の手が熱く…燃え尽きそうな勢いになっていて、初めての感覚が眩しかった…。
ホールの隅で2人のダンスを見守るアレンをソフィア姫と何人かの取り巻き達が取り囲み、
「ねぇ、アレン様?ルーク様と踊っていられる方は初めて見る方ですけど…、どちらの姫君ですの?」
アレンは、何か話しかけましたか?俺、今2人を見ているんですけど。と思いながら、
「アローゼ国のエドモンド卿の姫君ですよ」
ソフィア姫はアレンを見つめながら、
「まぁ、アローゼ国の?」
アレンはニコリと微笑む。
(そうですよ~。外交問題になるから変な面倒は起こさないで下さいよ~)
「あら、…そうでしたの?そうでしたら後でご挨拶に行かないといけませんわね?ね、皆様?」
ソフィア姫は周りの取り巻き達に同意を求めて、周りもそれに賛同した。
それに対して、アレンはピシャリと、
「国王陛下の不興を買わないように願います。何かあったら…皆様方、タダでは済みませんよ」
ソフィア姫は微笑む。
「あら?私は、そんなつもりで言ってはございませんわよ」
ソフィア姫の目が光る。
アレンの目も光る。