猫被り姫と幸福な王子1
広間の奥には簡単なお料理やケーキ(多分、私が売った苺を使った)飲み物が載ったテーブルがあって、こちらに気づいたスタッフが声をかけてくれた。
ルークとスタッフがアイコンタクト?したあとに、
「プリシラ姫、あちらでお待ち下さい。お取りしてお持ちしますので、遠慮なくお好きな物を言って下さい」
微笑むルークの後ろには、ソファとテーブルが配置してあった。
遠慮なくと言われても…ねぇ、本当に遠慮しないと引くよね。
引かれない程度に、
「ジュースとケーキをお願いします」
微笑む私。
「承知致しました。姫君」
(凄い…。これってお姫様扱いじゃないの。)
…これが世に言うお姫様扱い。
思い返せば、エドモンド邸では誰も私をお姫様扱いをしてくれないよね?
お母様は私をほったらかしだし、兄様は常に私をからかっているし…。
家臣達はフレンドリーだし…。
(んふふ~。これって最高じゃん)
ルークがケーキとジュースを持って来て、すぐ隣に座った。
(…隣?)
ルークの方は隣に座ったのはいいけれど、どう話しかけていいのか…他の姫君達へのように扱えない自分に戸惑っていた。
プリシラが沈黙に耐えきれずに、
「あの、ルーク様は召し上がらないのですか?」
「おれ…私は…先ほど頂いたので…」
(バカな俺だ。逢えると分かっていればあんなに酒を呑まなかったのに、腹がガポガポだ。呑まなければ、2人で仲良くケーキ食べられたのに…失敗した)
「やぁ、お2人さん。仲良くやっている?」
アレンがグラス片手に現れた。
「アレン様。ご用事はお済みですか?」
「はい。お済みですよ。ねぇ、ルーク曲が始まるよ、プリシラ姫と踊っておいでよ」
ホールには軽快な音楽が流れている。
「姫君。1曲お願いできますか?」
(アレン、感謝)
「…はい」
(これは、断ったら…マズいよね?)
2人はホールの中央で踊り出した。