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あなたが好き

 朝食が終わる頃に、私は笑顔のルークとアレンに、お留守番を宣告された。

 いや確かに、ルークは仕事だからお留守番は覚悟してはいた。

 …いた…けど。

 そんな…。

「ぇっ?だって…」

 私にだって大変な事が起きるって分かる。大臣がこっちに来ていて、ルークの騎士団も応援に来ているのに…。

 私だって、私なりに、お手伝いをするつもりでここまで来たのに。

 それなのに…。


「ルーク、私にも何かお手伝いさせて」

 優しいルークは微笑みながら言う。

「夕方には帰って来るから、ジュリアンと2人で待っていて」

 兄様を見た。疲れきった顔で手を振って、笑っている。

 (いつの間にか、名前で呼ばれるほど親しくなっていたのね…)

「でも…」

 私がこっちにいられるのって、頑張っても明日までなのに、それなのに…。

 ルークは続けて言った。

「帰りにお土産を買って来るよ」

 それなのに…。

 帰って来るのを待っていなきゃないのね。

「分かったわ。兄様と待っているわ」

 駄々をこねても通用しない。お仕事だものね。

 淋しさを、作り笑顔で隠して精いっぱい微笑んだ。(私って、なんて大人なの)

 ルークも、みんなも微笑んでいる。

 いい朝だわ。


 朝食が終わると、ルーク達は真剣な表情でどこかへ出掛けて行った。

 レストランに残された私と兄様。

「プリシラ、退屈だろう?後で散歩しに行こうか?母上様のお土産でも見に…」

 (それなのに…)が頭の中でグルグル回る。

 置いて行かれるのが嫌なんじゃない。

 やっぱり私は、ルークの役にたちたいのよ…。

 そう、だから私は、待っているだけなんてゴメンだわ。

「兄様。兄様は、ルーク様からここでのお仕事の事を聞いているんでしょう?教えて」

 ちょっと引きぎみの兄様。

「可愛いプリシラちゃん。急にどうしたのかな?」

「私はルーク様のお仕事の事知りたいの。大臣も近衛兵も来てるからには大変(面白い)な事件のはずなの。私はね、お邪魔にならない程度にお手伝い(のぞき見)したいのよ」

「ダメだよ、プリシラはお留守番だよ。男同士の約束だからね、諦めなさい」

「分かった。1人で行くから」

「どこに?」

 笑いながら言わないでよね。

 行く場所が分からないのを知っていての発言…!

 むぅ~兄様がムカつく。


 突然に、ユルユルと背後から感じる胡散臭い臭い。

 振り返るのを躊躇って金縛って固まる背後から、なんとなく聞き覚えのある声が私を覆った。

「それは、こちらにも教えて頂きたいですな」

 兄様は、瞳を一瞬冷たく光らせてから、立ち上がり優しく微笑んだ。

「おはようございます。オズワルド大臣様、こちらにお出でになっているとは知りませんでした。ご挨拶が遅れて申し訳ございません」

 いや、私たち大臣追っかけて来たよね…。

 っていうか、いつからそこにいたの?

 

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