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 役場、銀行、質屋、土木工事会社…。

ルーク達は1日をかけて色々な場所に顔を出した。自分達がこの街で怪しく蠢いていると、大臣の耳に入るように…。


 夕方になると2人は広場に面した大聖堂の前で、待ち合わせのために立ち止まった。

 建物や人々に濃い影が降りる中、身なりの良い初老の男性とフード姿の女性が現れた。

 4人は何かを話した後にすぐに別れ、夕暮れの中を行き交う人々の中に紛れ込んだ。


 ホテルに帰ったルークとアレンを待っていたのは、自分だけ置いて行かれてブリブリと怒っているジャックだった。

「ジャックは二日酔いで寝てただろう?連れて行くわけにいかないじゃないか」

 呆れたように話すアレンに、ルークも笑いながら言った。

「具合いは良くなったのか?食事に行こう。今夜は飲み過ぎるなよ。明日は一緒に行ってもらいたい所があるからな」

「大丈夫です。今日は乾杯でやめますから」

「頼んだよ」


 食事が終わり部屋に戻ったルークの元に、若い男が2通の封筒を持って訪ねて来た。

 男は王都のルークの護衛の1人で、王都の情報を伝えに来たのだった。

 渡し終わると、部屋にいたアレンと軽く挨拶を交わし部屋を後にした。

 

 1通目の手紙を読むルーク。

 アレンはニヤけながら聞いた。

「ルーク、お姫様のご機嫌はいかがですか?舞台のチケットは喜んでいたのか?」

 ジャックが不思議そうに聞く。

「チケットってなんですか?」

「ジャックさん、よくぞ聞いて下さいました。ルークったら、自分からのプレゼントって事を内緒で、姫君の兄上にプリシラ姫を観劇に連れて行ってほしいって、チケットを渡したんだよ。泣ける話だろう?」

 ふむふむと聞くジャックと、ドヤ顔のアレン。

 そして、照れ笑いのルーク。

「仕方がないだろう?公演日は決まっているんだから。チケットをムダにできないじゃないか…」

 (本当は2人で行きたかったんだ…。あれもこれも、全部大臣のせいなんだ!)

 ルークの心の中にやまびこが何度も鳴り響いた。


「もう1通には何が書いてあるんですか?」

 ジャックの言葉に我に返ったルークが、もう1通にも目を通した。

「大臣の所へこちらの情報が入り始めている。動き出すかもな…」

 アレンが頷く。

 ジャックは不思議そうに聞いた。

「動く…とか、どうして分かるんですか?」

 腕組みアレンが答えた。

「ガーランド城には鷹匠と優秀な鷹が暮らしている。そして、この領地から伝書鳩が大臣の屋敷に毎日飛んでいる。ジャック君は、どういう事か解るかな?」

 ジャックは首を振った。

「鷹匠と鷹は毎日大臣邸で伝書鳩を拉致…」

「怖!アレンさん、それって、伝書鳩を捕食させているんですか?」

「ジャック君、我々は動物愛護者だよ。伝書鳩を拉致って手紙を読んでから、元通りにして大臣邸に解放するんだよ」

「あぁ…」と、納得のジャック。


 

 

 

 






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