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90話 追加武装回

「とまあ、まんまと懐柔されてしまった訳なのだが、例え打算的な思惑があったのだとしても、ヨクハちゃんの言葉は私の心を救い、道を示してくれたんだ」


 アルテーリエの話す過去を聞き、ソラとフリューゲルは唖然としていた。


 メルグレイン王国と同盟を結ぶ時に色々あったと聞いたものの、まさかたった独りでメルグレインに乗り込んで来ていたなどとは思いもよらなかったからだ。


 しかしフリューゲルは、ヨクハが以前にもエリギウス帝国に一人で乗り込んで来た事を思い出し、無茶苦茶なのは昔からであったと苦笑する。


 半ば呆れ気味の二人に、アルテーリエが返す。


「だが、だからこそ私の心を変えた。そして道を照らしてくれた。彼女の言葉は何故か、信じてみたくなる不思議な力を持っている」


 そんなアルテーリエの言葉に、ソラとフリューゲルとエイラリィは三人共ヨクハの事を思い浮かべた。そして肯定を表すように互いに顔を見合わせた青、表情を少しだけ綻ばせた。


「あ、そういえば国王様って強いんですね、団長と一騎打ちで一時間も戦うとか、しかも聖衣騎士だし」


 すると突然、ソラがアルテーリエの昔話の内容を振り返り、気になっていた事を口にした。


「ああ、私はこれでも〈因果の鮮血〉副団長だからな」


 さらっと言ったアルテーリエの言葉に、ソラは再び唖然とする。


「えっ! そうなんですか!?」


「父上が死んだ後、私はメルグレイン王国の国王の座と〈因果の鮮血〉副団長の座を引き継いだんだ」


「そうだったんですね」


 すると、アルテーリエは大きく息を吐くと話を切り上げた。


「さて、今日はご苦労だったな。ソラ、譲渡して欲しい聖霊騎装が決まったなら、ソード格納庫に居る鍛冶かぬちに伝えるといい」 


「あ、はい」





 こうして論功行賞を終え、ソラは第三戦功を与えられた事により聖霊騎装を一つ譲渡してもらえるとのことで、格納庫にて鍛冶かぬちに自身が欲しい聖霊騎装を伝えることとなった。


「話は聞いておる、もしここにある聖霊騎装であればお前さんのソードにすぐ取り付けてやる、多分三十分もあれば済む。もし無い物なら後日届けることになるが、どうする?」


 髭面の老齢な鍛冶かぬちに希望の聖霊騎装を尋ねられるソラ。格納庫の中には、聖霊騎装庫というものがあり、そこには様々な種類の聖霊騎装が補完されていて、それを見たソラは目を輝かせていた。


「さっきから黙りこくってどうかしたのか小僧?」


「いやあ、こう色々な武器が並べられているのを見ると男心をくすぐられるっていうか、それにいざ好きなもの一つって言われると滅茶苦茶悩みますね」


 ――思念操作式飛翔刃(レイヴン)とか格好いいけど蒼衣騎士の俺じゃ使えないし、あえてもう一つ炎装式刃力砲(クスィフ・ブレイズカノン)を装備して切札で共鳴炎装式刃力砲(クスィフ・インフェルノヴェイン)を撃てるようにしとくとかも捨てがたいし。


 ソラはカレトヴルッフに装備する聖霊騎装をまだ決めかねているようで、腕を組みながら険しい表情で考え込んでいた。


 そしてソラは今一度カレトヴルッフの装備を振り返りながら、追加武装を何にしようか思案に暮れる。


 ソードに装備出来る聖霊騎装は主に六種。刃力剣、携帯型聖霊騎装、肩部聖霊騎装、刃力核直結式聖霊騎装、盾付属型聖霊騎装、結界である。


 刃力剣は通常の刃力剣クスィフ・ブレイド、携帯型聖霊騎装は刃力弓クスィフ・ドライヴアロー、肩部聖霊騎装は追尾式炸裂弾アーティファクト、刃力核直結式聖霊騎装は右腰部に炎装式刃力砲クスィフ・ブレイズカノン、盾付属型聖霊騎装は砕結界式穿開盾リフューザルシールド、結界は耐実体結界アブソリュートスフィア


 今現在装備しているもので変更の必要が無いのは、まずは刃力剣クスィフ・ブレイド。基本的に刃力剣クスィフ・ブレイドは通常の形状のものが主流で、自分が生身で使っている剣も通常の形状のものであるからだ。


 携帯型聖霊騎装と肩部聖霊騎装も、射術が不得手であるソラにとって現在装備しているオーソドックスなもの以外の聖霊騎装は装備するのは悪手。結界に関しては三種類の結界は元々本拠地にある為これも必要無い。


 となれば、盾付属型聖霊騎装か刃力核直結式聖霊騎装のどちらかとなる。するとソラはふと、見覚えのある聖霊騎装を目にする。


「おっ、あれは炸裂反動式穿撃槍ストライクスティンガー


 ――確か〈不壊ふえの殻〉の、カチュアの宝剣が装備してた……当てればどんなソードの装甲も一発で貫く浪漫武器……いやいや、あんなの使いこなすのはさすがに無理があるよなあ。


 一撃必殺を体現する聖霊騎装に興味を引かれつつも、心の中で葛藤し、現実に戻る。


 すると、ぶつぶつと呟きながらソラはふと、格納庫に並ぶパンツァーステッチャーに視線を向けた。


鍛冶かぬちのおじさん、そういえばあの聖霊騎装って……」


 そのパンツァーステッチャーの腰部に取り付けられた刃力核直結式聖霊騎装は、フリューゲルが操刃するパンツァーステッチャーに装備された狙撃式刃力砲(クスィフ・ペネトレイトカノン)とは違った形状をしており、ソラは気になって尋ねたのだった。


 鍛冶かぬちの男が説明する。その聖霊騎装は雷電加速式投射砲(レールカノン)といい、雷の聖霊の意思を利用した電磁加速で超速の実弾を撃ち込む刃力核直結式聖霊騎装である。弾は三発しか装填出来ないが、実弾を使う分消費刃力は少なくて済むのだと。


 その説明を聞き、ピンと来るものがあったのかソラは表情を明るくさせた。


「よし、それがいいかな」


「おっ決まったか、それじゃあ雷電加速式投射砲(レールカノン)をお前さんのソードに装備するって事でいいか?」


「ああ、お願いします」


「それじゃあ一時間くらい時間をもらうぞ、それまではここで待っててもいいし、城下町をぶらついて時間を潰しててもいい」


 そうしてソラは、譲渡してもらう聖霊騎装を雷電加速式投射砲(レールカノン)に決め、カレトヴルッフに装備してもらうまでの間、フリューゲルとエイラリィと共に、城下町を散策する事にしたのだった。

90話まで読んでいただき本当にありがとうございます。もし作品を少しでも気に入ってもらえたり続きを読みたいと思ってもらえたら


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どうぞ宜しくお願い致します。


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