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夏のおもいで

イタチとコロッケのおはなし

作者: 村野夜市

仲良く手をつないで夜市に来たこはるちゃんとりっちゃんでしたが、やっぱり夜市はまだやっていませんでした。


しゃあないなあ。


そう言いながら、ふたりは屋台の準備をする人たちを見て歩きました。


屋台はまだ骨組みやらシートやらが、まとめて置いてあります。

大きな車が何台も来て、屋台の道具をたくさん下ろしていきました。

何に使うのか分からない材木もいっぱいあります。

金魚すくいの水槽も、まだ水が入ってなくて、からっぽでした。


屋台の準備をしている大人の人たちは忙しそうで、こはるちゃんたちが覗きに行くと、危ないからあっち行っとり、と叱られました。


金魚とか、ヨーヨーとか、どこにあるんやろなあ・・・


りっちゃんは少しつまらなさそうに言いました。


いったん、帰ろうか?


こはるちゃんがそう尋ねたときでした。


雲なんかほとんどなくて、なんならお日様の光もさしているというのに、突然、さぁぁぁぁぁっと、雨が降り始めました。


うわあ!

きゃあ!


辺りはいきなり大騒ぎになりました。

みんな悲鳴を上げて、大事なものが濡れないように、あわてて雨よけをかけてまわりました。

こはるちゃんとりっちゃんも、雨に濡れないところを探して、きょろきょろと辺りを見回しました。


こはるちゃん、こっちや!


りっちゃんはそう叫ぶと、こはるちゃんの手を引いて、路地のなかへ走り込みました。


路地のなかは、両側の家の庇が被さって、うまい具合に濡れなくなっていました。


こはるちゃんは、りっちゃんのお母さんに着せてもらった大事な着物を汚していないか心配で仕方ありませんでした。

あちこち確かめているその目の端に、するり、と、何やら変なものが走りました。


あれ?りっちゃん、今、なんか、走って行った。


こはるちゃんはその生き物が走って行った先を指さしてりっちゃんに言いました。


猫かなんかちゃうん?


猫より小さかった。


ほんなら、ネズミとか。


ええ?ネズミ?


怖そうにからだを竦めるこはるちゃんに、りっちゃんは自分の胸を叩いて笑いました。


大丈夫。ネズミが来たら、りっちゃんが守ったる!


けれど、その隣で、こはるちゃんは首を傾げていました。


ネズミにしては、大きかったような・・・


猫より小さくて、ネズミより、大きい生き物・・・?


りっちゃんはなぞなぞのように言って、首を傾げました。


分かった!子猫や!

分かった!イタチや!


ふたりは同時に言ってから顔を見合わせました。


ええっ?イタチ?そんなん、おるのん?


こはるちゃんは、この間、動物園に行ったときに見たイタチを思い出して、りっちゃんに尋ねました。


おるよ!

こないだ、りっちゃん、お母さんとおるときに見たもん!

お母さんが、あれはイタチや、て言うてたもん!


りっちゃんは胸を張って言いました。


そうです、イタチです。こんにちは。


いきなり、ちょっと甲高い声がそう言うのが聞こえて、ふたりは同時に振り返りました。

そこには、猫よりちょっと小さくて、ネズミよりはちょっと大きい生き物がいました。

それは、この間、こはるちゃんが動物園で見たイタチとまったく同じ姿をしていました。

イタチは、人間みたいに二本足で立つと、小さな手をおいでおいでするように動かしました。


ええっ?イタチや、名乗りはったで?

こっちおいで、て、してはるで?


ふたりは顔を見合わせて同時に叫びました。

それから、同時にイタチのほうへと走り出しました。


細い路地を、するするとイタチは走っていきました。

ふたりはそれを懸命に追いかけました。


小さい子どもにしか通れないような細い隙間や、塀のしたを潜り抜け、角をひとつ曲がったところで目の前に現れたのは、夜市の立つ通りとそっくりな通りでした。

あんまりそっくりなので、元の場所に戻ってきたのかと思ったくらいです。

けれども、そこは、元の場所とはやっぱり違う場所でした。


辺りは、夜でもなく昼でもなく、明るくも暗くもありません。

屋台にはぼんやりと提灯が灯っていて、ここの通りの夜市はもうやっているようでした。

辺りを歩いている人たちはみんな、昔の人のような着物を着ています。

子どももいて、走り回ったり、肩車をしてもらったりしていました。

みんな、ぞろぞろ歩きながら、楽しそうに笑っていました。


その人たちの姿をよく見て、ふたりはごくりと唾を呑み込みました。

全身毛むくじゃらで、耳が頭の上についている、あれは、狼人間でしょうか。

まったく毛がなくて、つるりとした姿に、長い尻尾。こっちを振り向いた瞳が、縦に細長くきゅっとすぼまりました。目と目が合って、ぞぉっとします。こちらは、蛇人間のようでした。


あら、かわいらし。人間の子どもや。


珍しいなあ、人間見たの、百年ぶりや。


どっから紛れこんだんやろ。


誰か、招いたんと違うか。


ちらりちらりとふたりを見ながら、そんなことを話しているのが聞こえてきました。


ここは、どこなんやろ・・・


こはるちゃんが思わずつぶやいたときでした。


ここは、裏市。裏側の夜市や。

ようこそ、裏市へ。


さっきのイタチがそう言って姿を現しました。


***


イタチも、ちゃんと浴衣のようなものを着て、小さな帯も締めていました。

小さな頭をくりんと回して、ふんふんと匂いを嗅ぐようにしながら、イタチはふたりに話しかけました。


遠いところ、お越しいただいて、どうも、有難うさんです。

実は、おふたりに折り入ってお願いしたいことがあって、今日はわざわざ来ていただきました。


お願い?


こはるちゃんがそう聞き返すと、くりくりした黒い目でふたりを見上げながら、イタチは言いました。


いや、その前に、おふたりには先にお礼を言っておかなあかんのやった。

うちの子どもが、前に、おふたりにご馳走になってな。

あれは、有難うさんでした。


ごちそう?


こはるちゃんは首を傾げました。

イタチになにかご馳走した覚えはありません。


あのな、こんな、茶色くて、丸くて、かりかりの、じゅわーの、ほくほくの。


イタチは両手を振り回すようにして説明しました。


茶色くて、丸くて、かりかりの、じゅわーの、ほくほく・・・


こはるちゃんはなぞなぞを考えるように、首を傾げました。


あ。りっちゃん、分かった。

それ、東京コロッケやろ。


横からりっちゃんが手を挙げて答えました。


ああ、なるほど。


こはるちゃんも、納得してうなずきました。


そうそう、それや、コロッケや。


イタチも嬉しそうにうなずきました。


前にな、子ども連れて、向こう側へ行ったときに、ヨーヨーの水槽の下で休んどったら、上からころころーっと、コロッケだけに、ころころーと、転がってきましてな?


ああ!とこはるちゃんは思い出しました。

そう言えば、前に、大事にとっといた最後のコロッケを、びっくりして落としてしまったことがありました。

あれは、確か、ヨーヨー釣りの屋台のところだったと思います。


あれは、落っことしたんやけど・・・


いや、それを、うちの子どもが、断りもなしに、ぱくりと。こう、ぱくりと、一口で。


イタチは、ぱくり、というところで、わざわざ口を開けて、食べる真似をしながら言いました。


黙ってご馳走になって、すんませんなあ。

まあ、子どものことやし、許したってな?


けろりとした顔でそう言ってからイタチは続けました。


けどなあ、黙って人様のもの食べてしもうたから、バチが当たったんです。

あれから、うちの子どもは、あの味を忘れられへん、言いましてな。

寝ても覚めても、かりかりのほくほくが食べたい、丸くてじゅわーが食べたいと。

まるで憑りつかれたようなんです。


それから少し悲しそうに辺りを見回しました。


けど、こっちの世界には、あのかりかりのほくほくはありませんのや。

仕方ない、諦めなさいと子どもには言うんやけどな、食べられへんとなったら、なおさら食べたい食べたいて。

ろくにご飯も食べんようになりまして、すっかり、病気のようになってしもたんや。


ええっ?病気?


こはるちゃんは思わず叫びました。

それに、イタチは、そうですねん、とうなずいて、ため息を吐きました。


わたしも困り果てましてな、あっちの世界の夜市が立つたんびに、ころころーと落ちてけえへんかと、待ち構えてんねんけど、まあ、そうそううまいこといかへんわな。

けど、子どもはどんどん弱っていくし、これは、あかんわと。

それで、とうとう、おふたりにこっちへお越し願うたと、そういうわけなんや。


けど、今日はコロッケ持ってへんし・・・

屋台もまだ、やってへんかったしなあ・・・


りっちゃんは、むぅ、と唸りました。


けど、イタチの子ども、かわいそうやし。

りっちゃん、助けてあげられへんかな?


こはるちゃんはそう言ってりっちゃんを見ました。


りっちゃんは、しゃあないなあ、とつぶやきながら、服の首のところからぞろぞろとがま口を取り出しました。

紐をつけて首にかけてあったのです。


こはるちゃんがそう言うんやったら、りっちゃん、買うてきたるわ。


りっちゃんは得意げにがま口を持ち上げて見せました。


りっちゃん、お金、持ってんの?すごいな。


こはるちゃんは感心して目を丸くしました。

りっちゃんはまんざらでもないような顔をして、鼻をひくひくさせました。


りっちゃん、おつかいとか、お手伝いをしたら、ちょっとずつお小遣いをもらえるねん。

それをちゃあんと貯めてあんねん。

あんな、ロウドウノタイカ、いうねんで。


りっちゃんは、ちょっと偉そうにそう言って胸をそらせました。


こはるちゃんにご馳走したろう思うて貯めてたけど、しゃあないから、これ、使おう。


よかった。有難う、りっちゃん。


どういたしまして。


嬉しそうにお礼を言うこはるちゃんに、りっちゃんも嬉しそうでした。


それは、すまんなあ。

貴重な労働の対価をうちの子どものために使わせて。


イタチは腰を低くしてそう言いました。


代わり、と言ってはなんやけど、あっちの屋台の始まる時間まで、こっちの屋台で遊んで行って。

お金の心配はいらへんよ。

お世話になるお礼やからな。


ほんま?


りっちゃんはやったーとばんざいしました。


***


イタチは大そう大盤振る舞いで、ふたりに裏市で遊ばせてくれました。


金魚すくいに、輪投げ。射的に、当てもの。

いつもとは少し違う遊びを、ふたりは存分に楽しみました。


市の端っこで、こはるちゃんは、前に見たことのある植木屋さんを見つけました。


あ!おばけきゅうり、売ってる!


見覚えのある黄色い花を指さして、そう声をあげると、植木屋さんは、顔を上げて、ああ、と言いました。


いつぞやの。表で間違うて苗売ってしもたお子や。


それから、そのせつは、とかなんとか、もごもごと口のなかで言いました。


おさわがせしましたし、今日はひとつ、苗、持って行ってや。

お代はよろし。どうせ、ぼちぼち売れ残りや。


くくく、と口のなかで笑ってから、植木屋さんは、並べた苗を指さして説明してくれました。


おばけきゅうりは、もう、いらんか?

こっちのえんぴつなすびはどうや?

ほっそいのが、ぎょうさん、なりますで?


えんぴつなすび?


そんな名前は聞いたことがありません。

聞き返すこはるちゃんに、植木屋さんは、ほほほ、と笑って教えてくれました。


黒えんぴつと、色えんぴつとあんねん。

色えんぴつのほうは、うまいこといかんかったら、赤えんぴつか、青えんぴつばっかりになるけどな。

うまいこといったら、七色のえんぴつなすびがなりますで?


七色のなすび?


それは、是非見てみたいです。

目をきらきらさせるこはるちゃんに、植木屋さんは、ほな、それな、と言って、なすびの苗を袋に入れてくれました。


なんや、また売れ残り、押し付けてんのん?


イタチが横からうさんくさそうに見ましたけれど、植木屋さんはけろりとしています。


ええやん。

せっかく生えてきた苗やもの。

捨ててしまうくらいなら、もろうてもらうほうが、なんぼか幸せや。


イタチはふんとひとつ鼻を鳴らしましたが、それ以上は何も言いませんでした。


もうそろそろ、あっちの夜市も始まってへんかなあ。


さんざん遊んだりっちゃんが言いました。


ほな、そろそろ、行ってもろてええやろか。


イタチもそう言いました。


ふたりはイタチに案内されて、あの路地まで戻ってきました。


ヨーヨーの水槽の下に隠れてますからな。

一個でええねん。ころころーと。よろしくお願いしますわ。


イタチはそう言うと、どこかへぴゅうと行ってしまいました。


***


いつの間にか、こちら側も日が暮れる時間でした。

ふたりは手をつないで夜市にむかいました。


夜市の端っこのところで、りっちゃんのお母さんと会いました。


ふたりとも、どこ行っとったんな。


りっちゃんのお母さんは、ちょっと怒っているみたいでした。


あんな、アマヤドリしとってん。


りっちゃんは、こはるちゃんを背中に隠すようにして言いました。


雨宿り?雨なんか降ってへんやん。


りっちゃんのお母さんは首を傾げました。


え、降ったよ、おばちゃん。

うち、着物、汚してしもたかもしれへん。ごめんなさい。


こはるちゃんはりっちゃんの後ろから出て、しょんぼりと言いました。

りっちゃんのお母さんは、にこっとして、ええよ、そんなの、と言いました。


おばちゃんが、無理やり着てもろたんやもの。

そんなこと、気にせんでええのよ。

それより、こはるちゃんまでそう言うからには、ほんまに雨、降ったんやなあ。


そやから、降ったて、言うたやんか。


りっちゃんはぷうと頬をふくらませて言いました。


そやかて、うちのりっちゃんは、いろいろと、ちょっとしっかりし過ぎてるとこあるからなあ。


りっちゃんのお母さんは、困ったようにちょっと笑ってから、ごめんなあ、と言いました。


ホンマに降ったんよ。

お日さま照ってたのにな。

さああああって。


こはるちゃんは両手を広げて一所懸命説明しました。

それを見て、りっちゃんのお母さんは、そうかそうか、と頷きました。


お天気雨のにわか雨やってんな。

それで気づかんかったんかな。

珍しいね。狐の嫁入りやな。


キツネやのうて、イタチかも。


イタチの嫁入り?

そんなん聞いたことないわ。


りっちゃんのお母さんは声を上げて笑いました。


りっちゃんのお母さんについてきてもらって、ふたりは夜市に行きました。

どの屋台も煌煌と灯りがついて、お店はもう始まっていました。


約束、果たさなあかんからな。


りっちゃんはなにかものすごい決意をしたような顔をして、こはるちゃんの手を引っ張って東京コロッケの屋台に行きました。


おっちゃん、一回。


がま口から十円玉と五円玉をたくさん出して、一回分払うと、大事な玉を手の中に握り締めて行列に並びました。


順番がきたときには、りっちゃんは、ヨーヨーを釣るとき以上に緊張した顔をしていました。


緊張しすぎて力が入りすぎたのか、一回目は、玉は弾き出されずに、戻ってしまいました。


りっちゃん、頑張って。


こはるちゃんは、小さな声でりっちゃんを応援しました。

それに答えるようにりっちゃんはうなずくと、一回深呼吸してから、もう一回チャレンジしました。

玉は、くる、くる、くる、と回って、一番小さい、8個の穴に入りました。


よっしゃああああ!!!


両手を挙げて勝ちポーズをするりっちゃんに、思わず、周りから拍手が起こりました。

こはるちゃんも、拍手をしました。


お店のおばちゃんは、苦笑しながら、りっちゃんに串を渡してくれました。


ほら、今、揚げたてやから、ええのん、選って行ってや。


お店のおじちゃんは、そう言って、大きな網に掬った揚げたてのコロッケを、ざざーっとバットに上げてくれました。


なるべく、大きくて。なるべく、美味しそうなやつ。


りっちゃんは口のなかで、ぶつぶつつぶやきながら、まるで宝石か何かを探しているように、コロッケをじぃっと吟味して、ひとつ、ひとつ、串に刺していきました。

あんまり真剣に悩んでいたので、後ろの子に五人くらい抜かされました。


八つコロッケを取ると、ソースの入ったバットに、くるっと一回つけます。

ぽたぽたたれるソースを服につけないように気を付けながら、りっちゃんは、串をこはるちゃんのほうへ差し出しました。


あとは、こはるちゃんに任せた!


こはるちゃんは真剣な顔をして串を受け取ると、りっちゃんについてヨーヨー釣りの水槽のところへ行きました。


りっちゃんは、ヨーヨー釣りを一回頼んで、水槽にむかってしゃがみます。

こはるちゃんもその隣にしゃがみこみました。


水槽の下に、イタチの姿は見えません。

こんなところで人間に見つかっては大騒ぎになるので、隠れているのかもしれません。


ちゃんとイタチのところへ届くかなあ。


こはるちゃんは、そんなことを考えながら、そぉっと串ごと、水槽の下へ落とそうとしました。


嬢ちゃん?ぼんやりしてたら、大事なコロッケ、落とすで。


突然、そう声をかけられて、こはるちゃんはびっくりして固まってしまいました。


顔を上げると、店番をしているおじさんが、心配そうにこはるちゃんを見ていました。


こはるちゃんは、へへへ~、と笑ってうなずいてみせました。

けれど、心のなかでは、うまいこと落とさなあかんねんけど、と思っていました。


それにしても、わざと落とすとなると、意外に難しいものです。

どうしたもんかな、とこはるちゃんは困り果ててしまいました。


と、そのときです。

いきなり、ぱんっ、とすごい音がして、こはるちゃんは、思わず手に握っていた串を取り落してしまいました。


あ。おっちゃん、ごめん。

うっかり、ヨーヨー、割ってもうた。


隣で、りっちゃんがそう言っていました。


落とした串の行方を、こはるちゃんは目で探しましたが、どこにも見えません。


あーあ。かわいそうに、びっくりさせたから、そっちの嬢ちゃん、コロッケ落としてしもうたやんか。


下をむいてきょろきょろしていると、おじさんがまたそう言いました。


あ。ううん。うち、ええねん。


こはるちゃんは、あわてて立ち上がると、そこから逃げるように走っていきました。

りっちゃんも、急いでこはるちゃんを追いかけてきました。


あのコロッケ、無事に、イタチが持って行ったかなあ?


こはるちゃんは心配になってりっちゃんにそう言いました。

りっちゃんは、大丈夫やで、と明るく言いました。


りっちゃん、水槽の下に、ちらっと目が光るの、見たもん。

ちゃんと持って行ったと思うよ。


そやったら、ええねんけどなあ・・・


ふたりはそんなことを言い合いました。


***


もらってきたなすびの苗を植えてみたら、黒くて小さいなすびが、いっぱいなりました。


黒えんぴつなすびの苗と間違えたのかなあ、とこはるちゃんは思いました。


小茄子の苗やってんねえ。


こはるちゃんのお母さんは喜んで、ナスビをまるごと漬けた漬物をいっぱい作りました。


お漬物を持って行くと、りっちゃんも喜んでぱくぱく食べました。














読んでいただきまして、有難うございました。

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