第2話 勉強
4月も後半になり、学校生活にもある程度慣れてきた。
あの眠り姫はどうしているのかというと、相変わらず学校で居眠りしていた。彼女が授業中に寝ていなかったときなどないといえるだろう。教師たちも彼女を起こそうとしても無駄であると気付いて、授業中に寝ていても注意しなくなった。そんな彼女は、放課後になると、ようやく起きてそのまま帰るのである。彼女が学年トップを取ったことを信じることができない。この考えは僕以外にも持っているはずだろう。というか、そうであると信じたい。
彼女に対してあれこれ言ったが、僕はどうしているかというと、放課後は勉強をしている。部活については、特に入りたいと思えるところが無かったので、帰宅部という選択肢を選んだ。学年トップというポジションを再び得るために勉強に専念することも要因の1つかもしれない。今のところ、登校日は毎日学習室に通い詰めている。これを3年間続けるつもりだ。
家に帰るや否や、夕食の時間になった。
家族のみんなで食事をしていたら、親が話しかけてきた。
「そういえば、最近帰りが遅いのは勉強しているからかしら?どうか無理だけはしないでね」
親からも心配されてしまった。僕は学年1位というものに固執しているのだろう。それが今の勉強のモチベーションになってしまっている。
今まで自分なりに勉学に励んでいたのはなぜだろうか。親からの期待だろうか。いや、親からは勉強を強要されたことは全く無い。むしろ、自発的にいわゆるガリ勉というものになっている。ならば、知的好奇心だろうか。確かに、純粋にいろんなことを学びたいと思っていた時期はあった。しかし、今はどうかと言われたら、言い切れないところがある。やはり、学年1位を取れなくなったら、僕は何者にもなれないから、勉強をしているのであろう。我ながら悲しい生き物だよな。自問自答していたら、その様子を親に気づかれたのか、
「少しは休んだらどう?勉強をするのも大切なことだけど、何か他のことをしてみるのも良いことだと思うよ」
と、言われてしまった。親の言うとおりだな。明日は休日だし、休むことにしよう。