表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狐の住む岸辺  作者: マイソフ
第5章 日没、あるいはソード・ビーチ
44/132

6月6日 午後2時 ソード・ビーチ


 派手にボンネットをへこませた大型乗用車が、ドイツ軍の戦線後方によたよたと到着した。


「空襲を食らってな」


 夏用のコートにまだ青草をつけたロンメルは、あわてて飛び出してきたオッペルン=ブロニコウスキーの敬礼を受けた。


「夜襲は予期されているだろう。フォイヒティンガーが師団砲兵を使ってしまったから、いずれ反撃される。いま攻撃すべきだと思う」


 オッペルン=ブロニコウスキーはためらっている。ロンメルは自分の示唆でフォイヒティンガーが海岸砲撃を命じたことを都合よく忘れている。ロンメルは部下を処罰したり左遷したりすることは決してしなかったが、かといって責任をかぶってやることもなかったし、口頭ではずけずけと叱りつけた。ちなみに、ロンメルの父親は高校の校長先生であった。


 そのとき、2機のドイツ戦闘機がソード・ビーチ上空に飛び込んできた。ブリーラーとヴォダーチェックである。連合軍はあっけに取られて対応か遅れる。短時間にひとわたり海岸を掃射すると、ジュノー・ビーチへ飛び去って行く。


 ロンメルはしばらく無言で見送っていたが、やがて決然と振り向いた。


「このような状況で、空が通れるものなら、陸上が通れないはずがあるまい」


 オッペルン=ブロニコウスキーはついに降参して、突撃準備と、師団砲兵をはじめありったけの火砲による準備射撃のお膳立てにとりかかった。


 ロンメルは、自分がさっき陸上を通り損ねたことを、都合よく忘れていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ