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狐の住む岸辺  作者: マイソフ
第5章 日没、あるいはソード・ビーチ
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6月6日 午前8時 ポーツマス(SHAEF前進司令部)


「第12SS戦車師団に、B軍集団がカランタン市付近の戦況を問い合わせました」


「とすると、オマハ・ビーチに現れたのも、奴らか」


 アイゼンハワーは幕僚たちの検討をむっつりと聞いている。ドイツ軍のエニグマ通信はとうの昔に解読されていて、連合軍は暗号を解読している事実をひた隠しにしていた。もっとも、この輝かしい利点を少し減殺するのは、ドイツ軍は電話を好むということであるが。


 SHAEFの幕僚たちは、この電文で、ヴィット准将の第12SS戦車師団がカランタン市にいることを知った。一方、オマハ・ビーチに突撃砲が現れたことも、ユタ・ビーチ周辺に戦車が現れていることも知っている。そこで、この師団はオマハ・ビーチとユタ・ビーチの両方に分散配備されているのではないか、と考えられた。


連合軍は、オマハ・ビーチのドイツの戦車戦力を、過大評価してしまった。


「ブラッドレーに警告しましょう。ユタ・ビーチおよびオマハ・ビーチに第12SS戦車師団が配備されている可能性あり、と」


 スミス参謀長の提案にアイゼンハワーは頷く。


 不確実な情報に踊らされているのはドイツ軍ばかりではない。連合軍の上級指揮官たちの間にもときおり悲観論が蔓延して、上陸中止の上申が出る。その決断は主に軍団長レベルの責任であった。オマハ・ビーチを担当するジェロウ中将は楽観的な男として知られていたが、その楽観論を脅かす材料が次々に積み重なってきていた。


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