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狐の住む岸辺  作者: マイソフ
第2章 オマハ・ビーチ
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学生と教授の会話 #4


「マルクス将軍という方は、どのような方だったのでしょう」


 学生の質問は続く。


「そう……優秀な人物だ」


 教授は滅多に使わない知識を引き出しの奥からごそごそ探しているようであった。


「シュライヒャー将軍を知っているかね」


「いえ」


 教授は首を振った。


「政治将軍で、何とかヒトラーを利用しようとした男で、ヒトラーの初期の政敵だった。突撃隊のレームという人物が暗殺されるときに、どさくさにシュライヒャーもヒトラーは暗殺してしまった」


「はい」


 本当に初耳らしいので教授は深く首を振った。


「そのシュライヒャーと、マルクス将軍は仲が良かったのだな。それで優秀な若手参謀であったのが、出世コースからはずれてしまった」


「でも、そういう政治的に難があっても、仕事の出来る指揮官だったら、いいんじゃないですか」


 教授はしばらく言葉を探して、続けた。


「優秀な参謀だけに、ちと教科書通りに指揮し過ぎるところがあった。ロンメル元帥はあれだけ海岸に全部隊を置けと言ったのに、第91歩兵師団は予備として内陸に置かれてしまった。上陸初日の混乱した情報への対応も、神経質すぎるところがあったな」


 学生は思いついた。


「もしロンメル元帥の代わりに、マルクス中将が第21戦車師団の司令部に乗り込んでいたら、どうなったでしょうか」


 教授は天を仰いだ。


「海岸近くに迫っていた部隊を呼び戻して、オルヌ川の反対側を前進させて、結局1日つぶしてしまうくらいのことは、やったかも知れないな」


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