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狐の住む岸辺  作者: マイソフ
第2章 オマハ・ビーチ
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6月6日 午前11時 サン・ソーブール村(コタンタン半島内陸)


 ドイツ第84軍団司令官・マルクス中将は、第91歩兵師団長・ファライ少将との連絡がつかないので、業を煮やして師団司令部へ乗り込んでいた。ファライは第7軍司令部での図上演習に参加するため前夜に司令部を出ており、どうやら上陸のニュースを知らぬままに自動車を走らせ続けているのであった。


 第91歩兵師団は、コタンタン半島の中央にいて、予備のような格好になっていた。第709歩兵師団の戦線が崩壊しつつある今、一刻も早く第2線を確立してアメリカ軍の進出を食い止めなければならないのだが、アメリカ軍の空挺部隊のために各連隊が駐屯地で足止めを食っているのである。それぞれの駐屯地はアメリカ軍の半島横断を阻止する要地なのが慰めだが、軍団共同の反撃が出来る体制ではなかった。第12SS戦車師団は特別扱いで、マルクスの指揮下には今のところないのである。


 第91師団の現況が分かってみると、マルクスの心配は軍団の東の端、カーン市に駐屯する第21戦車師団のことであった。マルクスはルマンに電話をかけ、第7軍のペムゼル参謀長を呼び出した。


「第21戦車師団のことなら、心配には及ばない」


「心配には及ばない、ですと」


 マルクスは憤然とした。マルクスは軍の下の軍団レベルとしては異例とも言うべき10万人近い兵員を指揮下に置いていて、その責任と名誉を深く自負していたのである。対するペムゼルの返答は、感情を押し殺したものであったが、その感情はマルクスへ向けられたものではないようだった。


「第21戦車師団司令部には、いまロンメル元帥が、向かっておられる」


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