第7話「ラッパのおっちゃん」
どんな地域にも一風変わった方がいらっしゃるものだ。
僕たちの集落にも通称
「ラッパのおっちゃん」と呼んでいた住人が居た。
ラッパのおっちゃんはいつもラット系の作業ズボンにランニングシャツという格好で、自給自足のロハス若しくはエコな生活を送っていた。
収入や生活様式など僕たちには関係ない。
僕たちを相手にしてくれる大人がいることが新鮮だった。また、ほんの少しなまりが少ないことも興味が沸いた一因だと思う。
そもそも
「ラッパのおっちゃん」という呼び名は見たままの事でラッパ(トランペット)を所有していたから。
何故そんなことを知っているのかというと、
「ラッパのおっちゃん」宅の牛小屋(現在牛は居ない)にあるのを見かけた事から来ている。
因みに僕は演奏しているところを見たことない。
そもそも何故ラッパのおっちゃんと知り合ったのか?これはマサがいつの間にか知り合っており、僕も一緒に遊んでいるうちに知り合いになっていた。ということだろう。
ラッパのおっちゃんは相当なヘビースモーカーだった。
僕らと知り合った時には止めていたようだが、牛小屋の中二階に大量のショートホープの空き缶が転がっていた。
その牛小屋の中には少年の心をくすぐる物が所狭しと置いてあった。
バイク、エアーガン、冬山で使用するようなホワイトガソリンタイプのランタンとコンロ、ハーケンやザイルも有った気がする。
学校が終わると、ほぼ毎日通っていたのだが親たちから禁止令が発令され、おっちゃんち通いは強制終了した。
今思えばあのエアーガンは銃刀法違反じゃないかと思われる。
当時のジュースのスチール缶を貫通したぞ。
おっちゃんは何者だったのだろう?




