表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とし少年の絵日記  作者: 椎名焦茶
5/21

第4話「ハスコと書道」

どうしても食の細い子は給食が遅くなりがちだ。

ハスコもそんな子の一人。

僕らの大好きなクリームシチューの日もハスコにとってはツラい給食になってしまったに違いない。


5時間目の習字の授業が始まろうというギリギリまでハスコは給食を食べていた。

「5時間目始まっちまーぞー」

そんな彼女を僕たちは面白がって急かした。

泣きながらシチューを食べるハスコが習字の授業中に悲劇のヒロインになろうとは、この時点で僕たちは気付いていなかった。

ハスコの席は僕の左斜め前。

机の上から机の中の教科書まで良く見える。


授業が始まってどのくらい経っただろうか?みんなが習字に集中し出した頃だった。

「ヴォェ〜!」

唐突にハスコが嘔吐した。

「うわーっ!ハスコがゲロ吐いだー!(吐いた!)」

突然の惨劇に僕たちはパニックになった。

皆さんも吐しゃ物には厄介な連鎖という副作用があるのをご存知だろう。ハスコの様子を見ていた周りの数名がその副作用の犠牲となってしまった。

「オヴェーッ!」

「ヴエェー!」

連鎖が連鎖を呼び、次々と悲鳴のような声も連鎖した。


もう授業どころではない。とにかくハスコと被災者救出が最優先された。

10分後には先生が用意した新聞紙でハスコの席の周りはキレイに清掃され、平常を取り戻したかのように見えたが、平常心で習字に集中出来た者は何名いたことか。

「ゥプ…」僕もハスコの机が一望できる斜め後ろという位置が災いし被災しそうになったが何とかこらえることには成功した。


この日以来ハスコの給食を急かすバカ者はいなくなったのだが…


しかしハスコは、その後もたまに嘔吐した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ