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とし少年の絵日記  作者: 椎名焦茶
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第18話「ヤマウチセンセーと卒業アルバム」

 僕らの6年間はヤマウチセンセーの担任で幕を閉じる。

 ヤマウチセンセーは基本的に無口で、余計な事は言わず、必要な指示を伝えると後は僕たちの自主性に任せた。余計なことを言わない代わりに、僕らが責任のない行動をしたときにはとんでもなく叱った。

 自習時間に自習もせず遊んでいたのをヤマウチセンセーに見つかった僕と数名は、放課後に2時間以上正座されられた。だが、なぜ正座をさせられるのかをヤマウチセンセーは説明しない。『自習時間』の意味を理解せず遊んでいた、行動の責任を取ると言うことをを自分たちで気付かせるのだ。

 ヤマウチセンセーは男女の区別無く叱った、圧倒的に男子が叱られることをするのだが。そんな、区別のないヤマウチセンセーが、僕らは意外と好きだった。ヤマウチセンセーはいつもカメラを持ち歩き、何でもない授業風景を撮影した。プールで泳ぐ僕たち、地層を調べる僕たち、中庭で遊ぶ僕たち、雪の中でスキーをする僕たち。理由は【卒業アルバム】だった。大量の写真から好きな写真を選び、自分の卒業アルバムを自分で作るのだ。

 一つとして同じアルバムはない。

 その写真の貼り方をヤマウチセンセーはチョッと微笑みながらも淡々と説明した。

 写真はかどを落とすだけでグッと引き立つし、色紙を丸く切り取ってコメントを一緒に貼るとその瞬間を思い出されるし、ただ歩いているだけの写真を船や飛行機の形に切り抜いただけで、修学旅行の写真だと判るし、綺麗な景色が思い出された。

 その一人一人思い出深い素敵なアルバムが完成する頃に、僕たちは卒業式を迎えた。僕たちは、楽しすぎる思い出、苦い思い出、痛い思い出、4月からの中学校生活に対する一握りの不安を学生服に包んで卒業した。


 これで『とし少年の絵日記』は一応の完結でございます。現在、【とし少年】は【とし中年】になりました。お陰様で警察の世話にもなることもなく、良好な生活を送っております。この稚拙な文章を最後まで読んで頂いた皆様に感謝いたします。ありがとうございました!

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