死ぬ日が分かっている彼を私は好きになる。
20XX年。
人の寿命は、はっきり分かってしまう。
例えば?
○○年、〇月、〇日、PM118:34分、車に撥ねられて即死。
死ぬ日が分かっていて、残りの人生を生きていく事は辛い。
死ぬ日が分かっているからこそ、やりたい事を死ぬその日までに
やり遂げたいと思うだろう。
死へのカウントダウンが、毎日のようにカウントされているよう
で恐怖を感じる。
“人は何故? 死ぬ事が怖いのか?”
何も知らずに、死んでいく方が楽なのに...。
それでも、自殺は禁止されている。
人に頼んで、殺しの依頼も禁止!
死ぬ日を変更する事は出来ないのだ。
*
私は、そんな時に彼と出会ってしまった。
彼はさくらの花びらの下で、爽やかな顔をして佇んでした。
私は、そんな彼に目を止めてしまう。
ふいに、彼から私に話しかけてきた。
『君は、桜がとっても似合うね!』
『えぇ!?』
『桜の花びらが、僕と君を会せたのかな?』
『・・・ううん。』
普通の男性が言うと? 気障なセリフも...。
彼の声や言葉で話すと? 自然の流れのようにスッと
私の心まで届いたのだ。
彼の気取らない、気障なセリフが私を虜にしていく。
・・・気が付けば、私は彼のいるこの桜道を歩くようになった。
何回かに1回、彼と話す事ができた。
彼は、いつも一人で桜を眺めている。
そんな彼に、私は話しかけるの。
『・・・今日も、一人なの?』
『ううん。君も?』
『うん。』
お互い言葉数が多い訳じゃなく、ただただ桜を二人で眺めている。
『桜の花びらは、天使のようにヒラヒラと舞い降りるんだよ。』
『うん、そうだね。』
『“恋が実、愛の花びらだね!”』
『うん!』
『僕と君を結び合わせてくれたのも、この桜の花びらだよ。』
『ううん。』
『・・・でもね、僕の死ぬ日が近づいている。』
『えぇ!?』
『せっかく、僕と君を出逢わせくれた桜の花びらには申し訳ないけど...。』
『・・・い、いつなの?』
『3日後だよ。』
『えぇ!? そんなに早いの?』
『うん! ごめんね、やっぱり僕と出逢わない方がよかったかな?』
『そんな訳ないでしょ!』
『僕もだよ。死ぬ前に、君に会えて良かった。』
『・・・・・・』
『この3日間は、僕の為に君の時間をくれないか?』
『えぇ!?』
『最後の僕の望みなんだ。』
『うん。』
私と彼は、彼の残りの時間を桜の木の下で過ごした。
特別、何かする訳でもなくいつも日常。
私と彼だけの時間。
ゆっくりと流れるこの時間がずっと進まなければいいのに...。
私は彼との時間を、記憶に刻んだ。
【死なないで! 死なないで! 死なないで!】
何度も、頭の中で繰り返し繰り返し想い続けた。
それでも、彼に死ぬ時間が近づく。
『もうそろそろ、僕の死ぬ時間が近づいている。』
『・・・ううん。』
『最後の最後まで、僕の傍に居て!』
『うん! 分かってるよ。』
・・・でも、彼は死ぬ日のその時間が来ても死ぬことはなかった。
【何故?】
私の死ぬ日を確認すると? 私の死ぬ日が早まっていた。
まさか!? そう、彼に私の寿命を分け与えていたの。
私は、嬉しくなった。
だって! 彼はまだ生きていられるから。
まあ、死なないで!
私の為に、もう少しだけ生きていて。
そう願ったから、、、。
願いが叶ったのかのかもしれないわ。
最後までお読みいただきありがとうございます。




