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キス  作者: 歪瑞叶
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友達を好きになってしまった少女。

 自分が女であることを心の底から呪った。友人になって、新しい表情や仕草を見つける度に、君の癖や好みを知る度に、鼓動が二倍速に跳ね上がるのを感じた。

 けれど、わたしが抱きついても、楽しそうなだけで、そんな君を見ていると「お前の片思いだ」と言われているようで苦しくなった。いくら態度で示そうとも彼女にとってのじゃれあいの域を出ない。

 好きだと言えば私もと笑って返される。それが穏やかな否定にも思えて、冗談ですよ、なんて笑って気持ちを隠していた。ずっと何も言えないまま、どうせこの想いは叶わない。伝える勇気すらない。それでも他の誰かの隣で笑う君を見たくないと思ってしまうのは、わたしの我が儘なのでしょうか。せめて誰のものにもならないでと可愛く泣けたならどれほど楽だったのでしょうか。

 それなのに君が今日はキスの日なんだねなんて、いつものすました顔で尋ねてくるから、つい意地悪をしたくなって、「キスしてみます?」と微笑んでみた。そんな冗談じみた一言に君が「もし、いやなら避けてね」なんて私が待ち望んだ答えを返してくれるから、嬉しくて何も言えないまま君の唇で口をふさがれた。その事実がどうしようもない程に幸せだと叫ぶから、今までの押し殺していた想いも我慢も、どうでもよくなった。本当はずっとこうしていたかった。


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