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転生して、【自然神】(一応人間)になってまったり暮らしてただけなのに‥  作者: 瑞浪弥樹
第二章〜乙女ゲームの世界?〜
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キリアちゃん怖えよ -キリア目線-

今回は、前回領地に来た続きから!広場に向かったキリアちゃん!怪我人の集まるその場所で見たものとは?


※グロい表現・一方的な攻撃の表現があります。その他諸々の関連が無理な人は避けて読んでくださいm(*_ _)m

 転移してすぐに飛び込んできたのは、ガラスの割れる音と血しぶきが飛び交う光景。まさにグロデスクそのものである。これマジの乱闘じゃないか。

 みれば、獣人やドワーフ、精霊などが一同に争っていた。むせかえるような血の匂いと、遠巻きに怯えている元々いたであろう怪我人の数々。その中には、止めようとして返り討ちにされたのか生々しい傷が絶えない人もいた。


「くそっ!あんな、子供ともわからん奴がっ!我らが神な訳が、ないだろう!」

「……ッ!ゲホッ、いいや、あの御方こそ我らが、神なのだ!」


 乱闘から聞こえてくる声を拾う限り、私の名前は出てないしただの宗教関連の摩擦にしか聞こえないんだけど。ねぇ、私これ関係ある?

 あ、私も一応神様か。


「っうぅ…うっ…」


 乱闘騒ぎを呆れながら見ていると、視界の端から忍び泣きをするような泣き声が聞こえてきた。視線を移せば、そこには膝をすりむいて泣いている小さな女の子がいるではないか。急いで駆け寄ると、女の子がビクッと肩を揺らした。


「お、お姉ちゃん後ろ!!」


 女の子は顔を青くして私の背後を指さした。後ろからヒュンヒュンと嫌な音がして何かが近づいてきている。それに気が付くまでコンマ0,01秒。

 私は何が来ているのか振り返るまでもなく、女の子を守るように抱きかかえた。直後、背中に言いも知れぬ鈍い衝撃が走り、大きな破裂音がする。背中に痛みはない。が、そんなことよりも女の子の無事が心配だ。


 パラパラと地面に細かいものが降る音がして目を開けると、女の子もギュッと目をつむったまま私の腕の中にいた。よかった、怪我はしていないみたい。

 それでも、怖かったのかその目じりにはうっすらと涙が浮かんでいた。こ、子供を泣かせるとは許さんぞ!


「…」


 女の子の頭を一度撫でてから、ニィッと笑みをかぶせる。自分でも作りものと分かるほどの、フリスア直伝営業スマイルだ☆ふらっとその場を立ち、乱闘騒ぎを起こしている方に身を向ける。ゆらりと私の背後に黒いオーラが現れて私を飲み込み、オーラが私の中に取り込まれた。


「……ねぇねぇ、おじさんたちィ、【あーそびーましょぉ】???」


 乱闘騒ぎを起こしている方に大量の殺気をわざとぶつけると、一瞬だけこの空間から音が消える。まるで、時(・)が(・)止(・)ま(・)っ(・)て(・)し(・)ま(・)っ(・)た(・)か(・)の(・)よ(・)う(・)に。

 静寂の中を歩きながら、一人一人、懇切丁寧にフェルアが本気を出しても割れなかった結界を張ってあげる。

 そして、持っているガラスや武器を取り上げて空間に入れ焼却し、無に帰した後。ひとまとまりに集めて空中に放り投げる。そして、落ちないように水球の中に入れ、その水を凍らせた。

 はい☆永久保存の完成☆


 これで一生奴らは動けないねぇそうだねぇ!きっと乱闘も起こることなんてないし、女の子も泣かせないよやったネ☆


「あハハッ、ねぇ、聞こえてますかー、皆さん!」

「ア゛?んだよこれ!俺らを解放しろよ!!」


 煽るようにそう言い放つと、氷の中から一人の熊の獣人、さっきギルドの中にいた人が声をあげていた。

 へー、様子がおかしいねぇ。熊の獣人は、基本行動はとっても穏やかで気性は優しかったはずなんだけどなぁ!


「いーだね!反省するまで一生その中だよ!

 周りの危険も顧みずに自分たちの勝手で恩人にけがをさせる?怪我人の前でめちゃくちゃな乱闘?頭おかしくなっちゃったの?

 あ、もしかしてぇ、もう一回大怪我して動けなくなりたいとか?いいよイイよ!そうして欲しかったらその氷割ってあげる!きっと氷が肉を引っ張って今まで以上に凄惨な光景になるだろうねぇ!骨とか内臓が見えて、血が沢山噴き出して!うんうん、きっと綺麗だよね!」


 狂ったように私は氷の中の彼らにそういい放った。今は感情に身を任せればいい。最悪の行動をとらない限り、私は彼らの敵になればいいのだ。

 周りの怪我人には防音と不可視の二重結界を張って、何をやっているのか分からないようにしている。私はただ恐怖心を植え付けたいわけじゃない。


 氷を介して、彼らから私への恐怖が感じられる。


「そ、そんなのはったりだろ!やれるもんならやってみろよ!」

「あ、言ったねぇ!じゃあ、貴方からにしようかな?

 きっと毛皮も巻き込んで痛みが増して、絶叫じゃ済まないくらいに痛覚が敏感になって痛いよぉ?」


 一応警告はしておいた。それでも、熊の獣人ははったりだと思っているらしく、私の事を睨みつけていた。

 正直にいえばやりたくない。けど、お(・)か(・)し(・)く(・)な(・)っ(・)た(・)彼らの目を覚ますにはこれくらいがちょうどいいかな?


「……じゃあ、一名様ごあんなーい♡」


 私は高らかに掲げた指を鳴らし、熊の獣人がいた所の氷だけを魔法で砕いた。すると、男が他の子には聞かせられないような奇声を発する。

 氷にくっついていた皮膚ごと剥がれ、血肉が飛び出し氷を赤く染めあげていく。

 流れた血は、氷に吸い取られるように消えると、巨大な氷が少しだけ赤みを帯びた。


「アハハハッ!ねぇー、今どんな気持ちぃ?これがあなたが望んだ結末だよ!血肉が飛び散って、骨も見えちゃって!楽しいねぇ愉しいねぇ!アハッ、アハハハハハッ!!!」


 愉悦の笑みを浮かべて氷から垂れてきて顔にかかった血を舐めとる。あ、これキリルに見せたらゲス顔だねぇって言われそう。まいいや、そんなことよりこの人たち。


「ね、貴方たちはどうする?あの人みたいに血肉と成り果てるか、大人しく言うことを聞くか。さ、今なら選ばせてあげるよ?」


 加虐にも満ちた表情で、身動きのできない彼らにそう言うと、今度は怯えの感情が見て取れた。まぁ、誰だってそうなるわな。あはは〜などと軽く思っていると、一人のエルフが口を開いた。


「……ば、化け物がっ!!」

「おー、その呼び名懐かしいねぇ…うんうん。まぁこんな力見たら化け物かよ!って思うよねぇ!」


 懐かしい言われに思わず相槌を打つ。そんなこともあったなぁと過去に思いを馳せていると、それを不審に思ったのか捕らえていたものたちがいっせいに罵声をあびせてきた。


「この化け物がっ!なぜこんな所にいる!」

「忌み子か!?即刻ここから出ていけ!!」

「……………………………」


 声を上げるものたちがいる中で、一部。私が怪我を治した人の極小数は私を覚えているのか口を噤んだまま苦悶に耐えるような表情をしていた。

 その中には、私が町にはいる時に見たエルフも。彼らは怒りにブルブルと震えているが、私の氷のせいでどうも動けなかったようだ。


 あぁ、そういう事ね。大方崇めていた神を侮辱されて怒り狂っていたってこと?


「清々しいくらいに尊敬するよー。よく散々嫌っている人間と、同じようなセリフがぽんぽんでてくるねぇ!」

「!?貴様ァ…!!」


 あれま。事実を言っただけなのに怒らせちゃったか。人狼の毛が逆立つ。だけど、氷はビクともしない。

 まぁ、それぞれにフェルアも壊せなかった結界が張ってあるせいだけど。


「私を殺したきゃ殺せばいいよ?その後、貴方たちがどれだけ後悔するかは私の知ったことじゃないけど」

「……ッ、」


 精霊やエルフなどを筆頭に、私の本質を知っているものたちが息を飲む。自然神である私を殺せば自分にどのような火の粉が降りかかるのかは分かるのだろう。それが分かればいいのだ。


「まぁ、出来ないか。貴方たちは今、私に命を握られてるもんね?」

「……お主は、一体何がしたい?」


 ふと、ドワーフが口を挟んできた。おお、なかなかに冷静な対応。流石は地の妖精ってか?


「別に?私はただ怪我人の前で乱闘騒ぎなんて起こすんじゃないって言いたかっただけ。むやみに命を狩ろうとか、痛めつけようだなんて思ってないから安心してよ」

「けっ、んなの信じられるかよ!」


 ここで感情を抑えて、本当のことを言う。いや流石にこれで信じて貰えると思ってるほど私はバカじゃないよ?


「じゃあ、貴方たちは信じたの?私みたいな子供が、争うなと言ったところで。貴方たちは乱闘を止めるの?いいや、止めないでしょうね。

 こんな子供一人の言葉が興奮している貴方たちに届くはずもないし、届いたところでまた起こるのは必然でしょう?

 だったら、無理矢理にでも分からせればいい。それが多少強引な手でも…ね?」


 ギルマスの言っていた火種は、早めに潰しておくに限る。それこそ、本当に強引な手を使おうとも。

 今回は来年に比べてあのバカ領主が連れてきた数がダントツに多い。そのうち乱闘騒ぎに巻き込まれて町の人が大怪我をしたり最悪の場合死ぬだろう。


 そうなれば、今は受け入れられている他種族達も受け入れられなくなる可能性だってあるのだ。この国は元は人種主義。過激になれば彼らはいずれ行くあてがなくなってしまう。


「分かってくれるならいいんだけどね?私は貴方たちが何も起こさない限りは危害はくわえないし、望まない限りはさっきみたいに血肉なんて剥いだりしないよ。

 そんなサイコパスみたいな趣味はないもん」

「っ…ならば我々はどうすればいいというのだ!」

「簡単だよ。勝手な真似はするな。言うことは正しく聞け。周りを見て行動しろ。たったの3つ。ただこれだけを守ってくれればいいんだけどね?まぁこんなの、そこらの子供でもできることだからあなたたちにも…いや、できてなかったか」


 ニコッと笑って見せると、歯ぎしりをする音が聞こえてきた。そりゃプライドズタボロにしてるからしょうがないか。

 まず、精霊やドワーフなど比較的私の正体に気が付いていて逆らう気のない人たちを氷から解放する。落ちてきても、結界が張ってあるから安心安心。


「君たちはきっと気が付いていると思うけど、この土地で争おうなんて思っていたらどうなるか分かるよね?」

「!!も、勿論我々は逆らう気などございません!」

「ん、分かってくれたならそれでいい。あでも、ただ普通に暮らしていれば私からは何も言うことはないから安心してよ。それと、頑張ってる人にはちゃんとご褒美上げるように皆にも言っておくから」


 とっくに感情など押し殺した表情でそう言う。私の様子を見て安堵したのか、解放した者たちはその表情から緊張を解いた。

 で、まだ私に対して反抗心を持っているものと言えば氷漬けにされてる人たち。


「貴方たちはどうするの?大人しく言う事を聞くか、熊の獣人さんみたいに皮膚を剥がされて血肉と成り果てるか。あ、氷漬けのままがいいならそれでもいいよ?」

「……っく、言う事を聞く。それでいいのだろう?」


 獣人の中にいたフクロウの獣人がそう言った。その言葉に対して、他の者たちからの反論はない。へぇ、あの人がこの中での頭ってことかな?


「いいよ。解放してあげる」


 もう一度パチンッと指を鳴らすと、氷があたかもなかったかのように消えて身動きの取れなかった人たちが降ってきた。こっちも結界はそのままになっているから怪我もないね。

 そして、降ってくる者たちの中に紛れて降り注いできた血肉を魔法で受け止めて、治していく。

 すると、元の熊の獣人の姿に戻って倒れていた。


「!?生きているのか!??」

「まぁ、血肉になったってだけで殺したとは言ってないしね?ほら、貴方たちが乱闘騒ぎ起こしたせいで怪我人が困ってるんだからさっさと行った行った!」


 周りの人が驚く中で、私は周囲に張り巡らしていた結界を解く。すると、結界を施す前と同じ光景が現れた。まるで、結界の中だけ時間が進んでいたように。


 私はさっきの女の子のところまで行くと、くしゃっと頭を撫でて安心させるように言った。


「もうこれで大丈夫だからね。痛かったでしょう?お姉ちゃんが治してあげる」


 状況が飲み込めずに放心状態の女の子の膝に手を当てて、治癒魔法をかける。

 手を離した後は元通りの可愛い膝が見えていた。傷跡一つもない。


「……あ、ありがとう!」

「ふふっ、どういたしまして。怖くなかった?」

「ううん。大丈夫!私、慣れてるもん!」


 女の子はそう言ってパタパタと獣人たちの方にかけ出していった。あの子の年からすると、前回の事を見ているからだろうか。他種族に対して緊張もなく接している。

 余計な心配だったかな。


「さてと…、私は怪我人の方をちゃんと見に行くか」


 ここでやっと本来の目的を思い出して私は他の怪我人の元へ向かい、日が暮れるまで淡々と治療を続けた。



 空が夕染めになってきたころ。最後であろう重傷者の手当てを終えた私は、再びギルドに寄っていた。


「失礼しまーす……ってまだ話し合いしてたんですか御三方」

「ああ、キリアか。ちょっとこっちにこい」


 扉から顔を覗かせると、大量の書類とにらめっこしているギルマス、アルスナさん、エルキアス様の三人がいた。エルキアス様が何だか怖い顔をして私を手招きしている。

 うげぇ、あの顔の時は近づいちゃいけないって私の経験が言っている行きたくない!


「キリア?」

「……」


 怖い笑みにすすッと目を逸らしながらも、嫌々エルキアス様の膝上に座る。嫌な予感は的中し、後ろからガバット抱きしめられると、ぐりぐりと髪に頭を擦り付けられた。痛い痛い。痛いです師匠。

 もう半ばあきらめた私を見て、アルスナさんとギルマスは手にした資料を落としたことにも気が付かないほど目を丸くしていた。


「え、えっとぉ?キリアちゃん?」

「何も言わないでくださいお願いします何でもはしませんけど」

「……どうしたんだ。それは」


 止めてって言ったのにギルマス言わないでよぉおおお!!!

 うぅ。


「……エルキアス様の禁断症状です」

「「禁断症状?」」

「……………………」


 師匠、後ろから睨まないでください、と言うかさっさと元に戻って。

 だから嫌だったんだよこんちくしょう!


「えぇっと、主にメルフィリア様不足による禁断症状でstage1の状態ですねはい」

「メルフィリア様が何か関係しているのか?と言うかステージ1ってなんだ」

「エルキアス様はメルフィリア様に大変御執着で長い間(大して長くない)会っていないとこうして禁断症状が現れて、最終stageまで行くと発狂します」

「「……………………」」


 これは、紅莉さん(メルフィリア様)から聞いた話だけどね。エルキアス様が留学で紅莉さんと逢えない間相手先の学園で問題起こしそうになったほど執着しているのだとか。それはもうバカップルかよお前らと言いたいほどである。

 エルキアス様も大概だけど、それを笑って見過ごしている紅莉さんも大概に大物だと思けどね。

 そしてエルキアス様。婚約者でもない弟子の体を抱きしめるのはいかがなものか訴えるぞ。


「いい加減離れてくれませんかねぇ」

「ヤダ」

「いい年して『ヤダ』とか言うんじゃありません。と言うかなんで私なんですか、メルフィリア様呼べばいいじゃないですか」

「今王妃様方とお茶しているのだから邪魔は出来ないだろう…それに、メルに『領に戻って仕事でもしてきなさい』と応援されたんだぞ?!会いに行くこと何てできるわけがないじゃないか…」


 うわぁ……見てよ。流石のギルマスもエルキアス様の変わりように引いちゃってるよ?と言うかそれって全然応援とかじゃないですよね?ただの厄介払いにしか聞こえないのは私だけですかね?

 バカップルフィルターかかりすぎやしませんか?


「ふふっ、青春ねぇ…」

「どこがですか全く…紛らわしの為に抱き着かれるこっちの身にもなってくださいよ……」

「でも、他の女の子からしたら役得よね。こんな御曹司に抱き着かれるなんて羨ましいにも程があるわよ」

「ならアルスナさん代わってくださいよ。私からしたら傍迷惑なだけです」

「あらあら、女の子の嫉妬を買いに行くのねぇ…」


 チっ、誤魔化したか。代われるものならどうぞ喜んでだよ。本当に、切実に。この間は身動きが取れないし変な目で見られるし損な事しかない。と言うか、普段あんなに怖い師匠に抱き着かれて恐怖を感じない方がおかしいわ。


「あのエルキアス様が、こんな態度を取るなんて知ったら尚更町の娘たちは興奮するだろうなぁ。そのうち呪い殺されるんじゃないか?」

「こっちが代わってほしいわ!何ならギルマスやる!?」

「いいや、私は遠慮しておくよ」


 もうほんとやだぁこの人達…


「ロリコン罪で訴えたら勝てますよこれ」

「兄妹みたいで可愛いじゃないか」

「もうこれ以上兄が増えてたまるか!」


 現時点で5人いるんだよ!?そのうちの三人は年がケタ違いで離れてるしもう二人は血がつながってること知らないし!

 もういらないっての!


「ん?私はいいぞ?養子に来るか?」

「ちょ、エルキアス様まで乗らないでください!」

「いいじゃないか。こんな面白い妹ができれば弟たちも喜ぶというものだよ」


 やっぱり面白いってだけだよね?!私はすでにルアナの養子になってるんだからこれ以上はもうこりごりです!こんなに意地悪な兄がいてたまるか!意地悪役はレオンだけで十分なの!


「もー、レオン兄さまとアレク兄さまの目が離せないので、できないです!」

「そうかそうか、殿下方とは本当の兄弟のように仲がいいと聞いているからな。大事にするといい」

「?誰から聞いたんですか」


 アレクをいじ…構っている時も周りに人はいないし、いたとしても精々知人だけなんだけど………と言うか、本当の兄妹だからね。

 レオンに関しては公務からよく逃亡しているのを捕まえてるから仲が良く見えるかどうかは知らないけど。


「我が可愛い末っ子からだ。あいつは殿下方と面識があるからな」

「ルト君が?」


 意外な情報源だった。まさかあのちょっと裏が黒そうな子が情報源だったとは…ってあれ、私王城に行った時以来ルト君と逢ってないんだけど。…………寒気がした。

 え、え、私ルト君に監視でもされてるの!?ちょ、怖い怖い!


「ああ、あいつは情報網が広いからな。それこそ、なんでお前が知ってるんだと言いたくなるような物まで知ってるぞ」

「怖っ!ルト君こわっ!」

「あ、殿下方の情報なら私も知ってるわよ?最近、機嫌が良くなって側近一同の胃が守られて感激してたって」

「こっちにも怖い人いた!何なの!?情報屋かよ!」


 アルスナさんまで…王城の情報には皆機敏なのかな。それにしても知り過ぎだと思うけど。私明日から普通に寝られないかもしれない。

 愕然としていると、満足したのかやっとエルキアス様が腕を離してくれた。やっと解放された。ううぅ、もうあれは嫌だ。今度から無理やりにでも紅莉さん呼び出してしまおうか。


「ともあれ、キリア。そろそろ帰らないとアッチが心配しているんじゃないか?」

「あ、そう言えばもう日暮れだったっけ。そうだね、怪我している人の経過も見れたしそろそろ帰ろうかな」

「もう帰っちゃうの?」

「はい、ギルドの皆さんにお土産もたくさんもらったので、帰りにちょっと魔の森に寄ってから帰ろうかと」


 行きにウルファの遠吠えが聞こえたのも何か引っかかるからね。少し見に行ってから王城には戻ろう。

 ユキはもう帰ってると思うし、フリスア達が夕食は準備してくれているだろうから少しくらいゆっくりして行っても問題はない。


「そうか、気をつけろよ」

「それじゃ、さようなら」


 部屋を出てから、魔の森に向けて転移魔法を使う。

 転移先は、ウルファたちの住処である魔の森深淵部、シルバーレッドウルフの巣穴だ。

 魔の森につくと、眼前に広がるはもふもふの集合体。銀色の毛並みを風にそよがせてみんなで仲良くお昼寝している。

 シルバーレッドウルフの山の頂点で眠っているのは、私の友達のウルファだ。可愛い寝顔をして眠っている。


(ここは天国か!?)

読んでくださいありがとうございます!


キリア「あースッキリした」

ユキ「なんだかキリア、二重人格みたいだった」

キリア「まぁ似たようなものだよ?実際性格とか変わってただろうし」

ユキ(!?)


二重人格者?キリアちゃん。


次話は、もふもふ天国達にお話を聞きます!キリアちゃんの夜の散歩はよく人に会うなぁ。

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