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一人転移の冒険  作者: 玉砕
新しい世界での始まり
5/5

クレートの町へ


俺たちはゴブリンキングを倒した後、死んだ兵士たちを弔った。


「皆さん…本当に申し訳ありませんでした。ご冥福を…」


姫様は泣いて嘆き悲しんでいた。


それから俺たちは、離れたところで隠れて待っていてくれた馬車へと戻った。

ちなみに護衛の馬車は壊れてしまっていたため、姫様には現在こちらの馬車で休んでもらっている。



すると、ダンとエリーはすぐにトムさんの元へ行き言う。


『トムさん、馬車をほったらかしにして申し訳ありません。』

「いえいえ、襲われている人達を見殺しにはできませんよ。」


トムさんに謝ったところで、今度は俺の方に振り返り


「すまなかったソーマ、まさかゴブリンキングが出るとは思わなかったんだ。あのランクの魔物とは初めてで動揺してた。そして魔物を引き留めてくれて助かったよ、ありがとう。」

「それは仕方ないさ、でもあの状況で皆生き残ったんだから良かったよ。また一人犠牲になっちゃったけどね。」


その言葉に無言になる皆…


そこで口を開くのは一人の騎士。


「いや、彼は姫様を守るために勇敢にも散ったのだ。」

死んでも責務を果たすか…


「そうだな。彼は騎士の誇りだよ。それでこれからなんだけど、そっちはどうするの?」

「うーん、我々だけで姫を護衛するとなると少々…」

「一度戦力と馬車を補給しないとだしな…」

「ちなみに何をした帰りだったんだ?」

「西にあるクレートの町の視察ですよ。」

「皆大変そうでした。物価も上がってるみたいですし、兵士たちは町の安全を守るために常に町の中も外もパトロールをしていました。この国の状態、どうにかできないのでしょうか。」


この姫様はちゃんと庶民のことを見てるんだなぁ。


「まあ俺のような庶民にはどうしようもありませんが。そしてその視察の後に襲われたと…それにしても姫を守る騎士なんだろ?何でゴブリン何かに苦戦したんだ?」

「それが…実は皆新人だったのですよ。」

「え?それは一体?」


そこで姫様が口を開く。


「きっと私がまだ何の力にも目覚めていないからでしょうね…

私が外に出向くときは外見上はしっかりと護衛しているように見せるために人自体はつけているのですよ。もちろん皆さんがた新人さんが悪いとは言ってませんが。」

「なるほど。あの王のことだ、やりかねないな。」

「ええ、それに周りから散々笑われてきましたもの。王の娘は無能なのかってね。それでこんな風にあわよくば襲われでもすれば良いとでも思っているのでしょうね。」


姫様はとても悲しげな表情を浮かべる。


「能力なんか関係ない。あなたのような優しい人はこの世界に必要だ、特にあの国何かには最もだ。」


俺がこういうと、驚いたような顔をするも、すぐに嬉しそうに姫様はこう返す。


「そんな言葉をかけてもらえるのは久しぶりです。本当にありがとうございます。私もまだ頑張ってみます。」


すると馬車からマークさんが降りてくる。


「姫様、実は私がクレートの町の町長なのです。」

「そうでしたか、それで町にいなかったのですね。」

「部下のものに任せていたのです。少し王都に直談判をしに行っていたのですが、 その節は私が自らもてなすことができずに申し訳ございません。」

「いえ、そのようなことをさせてしまう我々がいけないのですよ。」

「ところで先程の話なのですが、一度私の町で休憩なさってはどうですか?」

「よろしいのですか?ありがたく受けさせてもらいます!」


こうして俺たちは姫様と騎士と共に次の町へと向かうことになった。



「それにしてもダンの斬撃とエリーの魔法、すごかったな。」

「そうだろ?俺たちも上位ランク目指してるからな。だがさっきも言ったが動揺しちまった。ソーマがいなかったら被害は増えてただろうな…」

「そうね…冷静ならあれくらいは普通なのだけど、私もまだまだ未熟なのかもね。でも私から見たらあなたも大概なものよ?」

「え?何かしたっけ?」

「あなたの魔法よ。まず、発動スパンの短さね。あんなに連続して魔法を打てるのは少なくともCランク上位以上?位の実力者じゃない?まああなたの場合まだ初級魔法程度なのだけどね。」

(ソーマうちにほしいわね。)

(そうだな、あれだけ魔法が打てれば活躍できるな。)


「へぇ、まあ初級ならそんなものなんじゃないの?ってどうかした?」

「いえ、なんでもないわ。それにね、逆に初級魔法だからこそすごいってのもソーマにはあったわ。」

「どゆこと?」

「普通ね初級魔法だと上級魔物にはそう簡単にダメージは通らないのよ。それをあなたはゴブリンキングの目に致命傷を与えてたわ。つまり相当の魔力なのか、もしくは魔力の精度がすごいってことなのよ。」


つまり魔法の才能はあるってことか?

めっちゃ嬉しいな。


「なるほどな。確かにそれは嬉しいことだけど、俺は剣でもちゃんと戦ってみたいんだよな。」

「それだけ魔法がすごいって言われてんだ。剣の実力も伸ばしたら相当なもんだぞ?」

「そうだなぁ…」


剣での攻撃には身体能力系の無属性も関係するらしいからなぁ。

無属性にも能力の差はでるらしいし。

まず剣ははじめて持ったし、剣術とか知らないんだよな。ん?



すると会話中、姫様がこちらをぼんやりとした顔でこちらを見ているのに気付く。


「姫様、どうかしました?」

「えっ?い、いやなんでもありませんよ!」

「そっ、そうですか?」


顔を赤くして話す姫様を見て、俺は怪訝な表情を浮かべた。


たくさん騎士たちが死んだからまだ気に病んでんのか?



そして、日が沈むこと俺たちはクレートの町へと到着した。

そこには他にも列に並ぶ馬車の姿があった。

するとマークさんが馬車を降りて門番に説明しにいく。

説明を聞いた門番は驚きながらもすぐに通してくれた。


流石町長だなぁ、それに姫様もいるからか。


馬車は大通りを進む。

道はたくさんの人でうまっている。

商店も多いが、特に宿屋が多く見受けられる。


「この町は宿屋が多いですね。」

「ええ、隣国アートリスからルナトリアまで続く道ですからね。ここも貿易が栄えているのですよ。まあ最近では不景気で、これでも少ない方ですよ。」


姫様や町長は少し悲しそうな顔をする。


そうかこれでも人が減ってる方なのか。マックスに人がいるときなんか満員電車みたいになりそうだな。


するとここらでは一番大きな宿屋の前へと着く。


「では、皆さんにはこの"宿場ウィスクム"でお休みになってください。」

『このような宿を提供していただき感謝します。』


姫様と騎士たちは素直に喜んでいる。

そして冒険者の二人はと言うと、


「いや、俺たちみたいなのはもっと普通の宿じゃないと…」

「そうね、こんな高そうな所私たちにはね…」


かくいう俺もこんな豪華な所には来たことがなかった人間だ。

それに、


「俺なんかまずお金がほとんど無いからなぁ…」

「皆さんもどうぞお泊まりになってくださいな。代金はとりませんよ、なにせ今回は活躍なされた皆さんにはしっかりと休んでほしいのですから。」


『ありがとうございますっ!!』


そうしてチェックインした俺は四階の部屋の中のベッドに腰かけていた。


「この世界は怖いな…」


先程も人が平気で死んでいった。

普段の生活ではあり得なかったことだ。

俺だって死んでいたかもしれない。

あと時はたまたま魔法が使えて、そしてダンとエリーがいた。

あの時二人がやられてたと思うと…あぁ、ホント怖い。


俺は少し気を晴らすため窓の外を見る。


この宿屋はこの町では一番高い建物だ。

この町には高層ビルなんかもない。


あらためてここは異世界なんだなぁ…


すると、俺の部屋をノックする音が。


「どちら様?」

「俺だ、ダンだよ。一緒に下で飯でも食わないか?」

「いいよ、ちょっと待ってて。俺たち三人だよな?」

「ああ、流石に姫様たちは別室だ。」



この宿屋は一階が食堂になっている。

俺たちはエリーの待っているテーブルに着く。


「それじゃあお酒と料理は頼んどいたから乾杯しましょ。」

「?二人はもうお酒飲めんの?」

「?ええ、18から飲めるわよ。ソーマの国は違ったの?」

「まあな。こっちは20からだった。」


すると、若い店員さんがジョッキと料理をもってくる。


「こちらエールとオークのステーキになります。オーナーかお代は無料と聞いてますので。」

「オークのステーキ?」

「なんだ?ソーマはオーク食べたこと無いのか?」

「いや…うん無いな。」


オークってあの豚の魔物だろ?普通の豚はいつも食べるけど。

魔物って上手いのか?

俺は運んできてくれた店員にきいてみる。


「オークって…旨いの?」

「はい!赤身と脂肪のバランスもいいですし、何よりこちらではしっかりと臭みとりをしてますので。」


ちゃんとした肉なんだな…


俺はその店員にチップを渡した。海外とかだとあるもんな。


「!ありがとうございますっ!!」


店員は喜んで厨房の奥に戻っていった。


「ソーマ、ちなみにいくらあげたんだ?」

「え?銀貨1枚だけど?」

「結構あげてんな…まあいいや酒と料理も来たとこだし乾杯といくか。」

「じゃあ今日は私が…ええ、ゴブリンキング討伐とソーマとの出会いに乾杯!」

『乾杯』

《ゴクッ、ゴクッ》

「ぷはー、疲れた体に染み渡るなぁ。それじゃあいただきます。」

『?』

「なんだそれ、方言かなんかか?」

「俺の国のあいさつだよ。」



しばらく飲んで食べていた俺たち、ふとダンとエリーがこちらに顔をむける。


「俺たちの町のギルドに来ないか?」





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