現地には現地の問題がある
(何も喋らないな)
質問をして二分程経ったが、こいつは言葉を喋べる気がないのか何も喋らない。
「何か喋ったらどうだ。言葉は通じてるだろ?」
「あ‥あなた達は何者なの?」
「喋れるじゃないか。まあいい、人に聞くときは自分からだ」
機械の故障だろうかと焦ったが、そうじゃなくて良かった
「私はアミ、人間よ」
「ほう、人間という単語も翻訳可能なのか、驚いたな」
「え?翻訳?どういうこと?」
「ああ、こっちの話だ。で、俺は巽仁だ。ていうか、人間なのは前提なのだからいちいち説明しなくても良くないか?」
そう、俺らのような見た目の生物を人間とするなら、俺らが人間であるのは前提に等しい。だが、こいつはわざわざ人間だと説明した。これじゃまるで、人間のような見た目をした人間ではない何かがこの星に存在しているということじゃないか。いや、いてもおかしくは無いのだが、何か引っかかる。
「あなた、まさか人間以外を見た事のないの?」
「いや、異星人なら沢山見てきたぞ」
「異星人?なにそれ?」
こいつ…まさか宇宙を知らないのか?まあ、技術力があまり発達していないのなら可笑しくはないのだが。さてどうやって説明するか
「異星人というのはだな…そうだな、空の上にいる奴らだ」
「ええ!空の上があるの?!分かってはいたけど、やっぱり世界って広いのね…」
「ああ、広いぞ。恐らく全てを知るのは不可能なくらいは規模がデカい」
「もしかしてあなた達も異星人なの?」
「ああそうだ、よく気付いたな。俺たちは地球から来たんだ。この星の名前は何というんだ?」
「この星に名前なんか無いわ。あるのは地名だけよ。それにしても、あなたたちの目的はなんなの?なんの為にこんな所に来たの?」
「それに答えたら、俺の質問にも答えてくれるか?」
「ええ、可能な限りね」
「いいだろう。俺らはこの星を自分達の星にする為にきたんだ。お前らには退いて貰う事になるな」
多分だが、上の奴らは他の生命体を説得しようとなんか思っちゃいない。侵略をするだろう。以前は、圧倒的な戦力の差を見せつけて諦めて貰おうとしたのだが、俺ら人間に渡すくらいならと相手側が惑星ごと自爆してしまった。説得などせず力でねじ伏せる、その方が効率が良いのだ。
「そう…出来たらいいわね」
「あまり驚かないな、お前達はこの星を捨てることになるんだぞ?」
「もうすぐこの星は終わったも同然になるわ。あなたちに有意義に使って貰った方がこの星も嬉しいでしょう」
「聞きたい事が増えたな。お前らの質問に答えたんだ、約束通りこちらの質問にも答えて貰うぞ」
「ええ、質問は?」
「まず1つ目、お前はあそこで何をしていた?」
「言っても分からないと思うけど、かつての魔神リザイア率いる四将の内の一人、ディナーテに追われていたの」
「本当に分からないな」
「ふふ、じゃあ、昔話でもしましょうかね。それを聞いたら分かると思うわ」
「頼む」