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スパイシーマン  作者: シギ
1/1

上杉秀

「なんで、こんなのも出来ないの!」俺が、バイト先のコンビニで、50代のおっさん店長にほぼ毎日言われる言葉だ。


「いつになったら出来るんだ」「雇うんじゃなかったわ」元々どんくさい俺が、言われなれてる言葉だ。


この言葉を言われながら23歳フリーターとして生きてきた。


学校では蔑まれ、社会では役立たず扱い。そんな世の中が嫌いと言いたいが、世の中を俺が嫌いと言ったところで何にもならない。むしろ世の中を好きか嫌いと判断する位置に俺は果たして立っているのか。死のうと思ったことも、無いわけではないが、俺が死んだところで、残るのは両親の悲しみと、息子さん自殺したそうよと言う近所の人間の、両親への低評価だけだ。


そうなふうに考えながら生きていた時だった。あの男に出会ったのは......。


「すいません...。もう一度並べなおします。」


「もういいよ!じゃまだから店前掃除してきて!」


くそ店長が、死ね!と思うが、誰かに死ねと思われるだけ、俺より存在意義がある。



「ハハハ!おめぇマジかよwだから言ったじゃんかよ」


「だってよ〜普通あそこまでいったらヤレるっしょあの女。まさか男いるとは思わねぇじゃん。」


「男、ボコって奪えばいいじゃんw」


「それありかもw」



店前の掃除ってコイツらのことか。だとしたら、取り扱い注意で危険なゴミ達だ。待てよ、誰かにゴミと思ってもらえるだけ俺より存在意義があるのかもしれない。



「あの〜すいません。他のお客さまのご迷惑になりますので。」


この状況で、この言葉以外のベストな言葉を俺は知らない。


「は?何?」「迷惑になるほど客いねぇだろ」


確かに。と思う俺へ、クソ店長の視線が突き刺さる気がする。




「あの〜迷惑です。」


20代後半くらいの背の高い男だ。


「誰、お前?」


「上杉秀と言います。」


「いや誰だよwてかお前に迷惑かけてないだろ。」


「迷惑かどうかは、かけられた側が判断するんじゃないか?かけた側が判断するもんじゃないだろ。」



「うざ。お前喧嘩売ってんの?」


1人のゴミが、その男の胸ぐらを掴む。



「いや、喧嘩はうってませんよ。でも、あなたが私を殴りたいなら全然殴ってもらっていいですよ。

ただ、そことそこにカメラがあるので、殴られたらあなたの通帳のお金を少し貰いますね。」


ゴミ三人が止まる。


「ただ殴るなら3人で私を殴ってよ?友達なんでしょ?私もその方が金いっぱい貰えるし、君たちも友情を確かめれるよ。まさにwin-winだな。ハハハ!」




「チッ、なんだよこいつ」


ゴミ三人はこうして掃除された。



「あの、ありがとうございます。」


「ん?別にあなたを助けたわけじゃないよ。

だいいち、俺このコンビニ嫌いだし。たまたま使ったら、あいつらが邪魔だっただけ。だから感謝なんてしないで。」



そうやって、その男、上杉秀は去って行った。



なんだアイツと思ったが、不思議とその男のことが気になってしまった。言っておくが俺はゲイではない。




これが、あの男との初めての出会いの話。

何度も言っておくがゲイではない。















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